第七十二話 遊びましょう
現在私たちは、カモミールさんの自宅に遊びに来ていました。目の前には、吸血鬼が住んでいるような、真っ黒い瘴気に包まれた城。そして周りには真っ黒な薔薇が咲き誇り、空に太陽は無く、代わりに幻想的な月があります。
「そんなに、引っ付かないでもらえますか?」
何が怖いのか、イグナーツとブルーノは私に、しがみ付いています。そして、私の背後には目の前の城に劣るどころか、禍々しいオーラを背負うクリスの気配がありました。
「あんたたちは、死人を出すつもり!」
そう言ってマリエルは、私にしがみ付いている、二人の頭を拳で殴る。
「いって!」
「うう……。」
ゴンと痛そうな音がしました。
「でも、本当に此処なの?」
エリザベスさんはおびえた状態で、微妙に震えていた。その質問に答えるように、私はカモミールさんに貰った、紙を見せた。
「どう見ても住所は此処なんですよね。」
内心、出来ればもう少し普通の家だったらよかったのにと思いました。
「取り敢えず入ってみようか。間違えてたら、ごめんなさい。って言って出てくればいいんだし。」
クリスが家についていた、ベルを鳴らすと、
「イーヒヒヒヒヒッ」
という、まるでしわがれた老婆のような声が響きました。
「「きゃあああああああ!?」」
「うわああああああああ!?」
「っ!?」
うわあ、と辛うじて私は叫び声は上げませんでしたけど、心臓がバクバクと言っていて、凄いビックリしました。何なんでしょうか?この悪質な仕掛け。
すると、ギイイイイッとドアが開き、そこから青白い手が、私たちに向かって手招きをするように動いている。
「何あれ……?」
エリザベスさんが怯えた様子で、それを指さす。
「手、ですね。」
「それは分かってるよ!?私が言いたいのは、何で手だけが出てきてこっちに向かって、手招きしてるの?って話!」
エリアべスさんが1人叫んでいる間、妙に静かな他の人たちが気になり、そっちの方向を向くと、ドアからは、青白い手が消えて、代わりに黒いベールをかぶった、きれいな女性が立っていた。ただ女性は、青白い手で手招きをしている。
そして女性の背後から、青白い手が此方に向かって伸びて来たのでした。
青白い手は私たちに逃げる隙も与えず、私たち全員を捕まえると、奥の部屋に高速で移動していきました。
「「きゃああ!?」」
「っ!?」
と、またしても悲鳴が響く。そしてブルーノに至っては、恐怖で気を失っていました。全く、これだから根性なしは……。
悲鳴を上げる事無く1人冷静にクラスメイトを侮辱してますけど、一つ気が付いたことがあります。私たちを掴んでいる手、如何やら
「魔法じゃない?」
確信はないんですけど、私の目には、???と表示されているんですよね。
「うわああああん!お家帰りたい!」
少し考え事をしている間に、エリザベスさんが泣き叫んで、マリエルとクリスが必死に青白い手をから逃れようと、必死になっていて、イグナーツに至っては、怯えて動けなくなっていました。
そして、青白い手の動きが急に止まり、私たちは何処かの部屋へと放り投げられたのでした。
「皆さん、いらっしゃい。ようこそ、私の自宅へ。」
そこには、悪戯が成功した。と嬉しそうに微笑むカモミールさんの姿がありました。




