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第六十七話 植物

 取り敢えず、私は図書室で本を借りると、知識を詰め込んでいった。


 本によると、植物は水や肥料などから栄養を取り込む。植物によっては環境を整えなければ、直ぐに枯れてしまうものもあります。


 とのことでした。以上のことを踏まえると、植物のごはんは水と肥料。そして育ちやすい環境。これらの事を総合すると、そうか、人間みたいに育てればいいんですね。と何故かこの時の私は本当にそう思ったんです。

 

 その日の夜に、クリスがいる前で、植物の種を水に浸したり、お散歩させたり。というよりは縄を付けて引きずり回したり、一緒のベッドで寝ようとしたら、流石にクリスに止められました。


「リーズはいったい何してるの!?」


 それはもう全力で止められました。止められた理由は、植物の種が自分よりも、私に愛されてると思ったからだそうです。嫉妬ってやつですね。こんな時に言うのもあれですけど、私って愛されてますね。


 その後、クリスに説明を受けて、ようやく私は、植物という生物の育成方法を理解したのでした。クリスの話では、他にも植物専用の栄養剤や、それを育てるための鉢と言うものがあるそうです。このことを知られたのがクリスで良かったです。


 だってほかの人から見れば、頭のおかしい人にしか、見えませんから。学園で植物を育てようとしなくて、本当に良かったです。そんなわけで私は、植物の正しい育成方法を、実行しました。


 でも世の中、そんなにうまくいくわけないですよね。何というか育成には成功したんですよ。でもですね。一日経ったら、綺麗な紫色の花が咲いたんです。  


 私は綺麗に咲いている、紫色の花を眺めて水を上げた。


「ありがとうございます。とってもおいしいです。」


植物って喋る生物なんですか?


花の中に、何か別の生き物でも、寄生してるんじゃないですか?


そもそもこれは花なんですか?


 この植物の現状が良いものなのか、悪いものなのか、植物を始めて育てる私には、まったく解りませんでした。


 でも枯らしたわけでは無いので、問題は無いでしょう。と、そのまま感謝祭の当日になるまで、クリス意外に相談することもなく、ただ、愛情をたっぷり注ぎ育てました。


因みにクリスは、私お喋りするお花なんて初めて見た。と喜んでいました。


 感謝祭当日

 

 私は例の喋る紫色の花を抱え、会場へと進んでいました。周りにはクリスや、イグナーツにマリエルといった、同じクラスのメンバーがいます。


「リーズさんのお花とっても、きれいですわね。」


 興味津々とカモミールさんは私の育てた花を見つめる。その目の動きに、私は硬直する。


「カモミールさんのもきれいですね。」


自分の花から話題を変えるように、カモミールさんの花を話題に持ってくる。


「ええ、頑張りましたわ!」


 えらく気合の入ったカモミールさんをチラ見すると、私はまた、自分の花に意識を集中させる、ああどうか、家に帰るまでは喋りませんように……。それが一番の気がかりでした。どこを見ても皆が持っているのは、綺麗なお花ばかり。人によっては、見た目が珍しいものを、持ってくる人もいました。


 でも、喋る花を持ってくるのは、私だけでしょう。だって、誰もお花に話しかける人なんていませんから。冗談交じりに、花と会話を試みる人もいますけど、今はやめてほしいです。私の心臓に悪いです。


今までの人生の中で、一番緊張しているんじゃないかと思いました。

 


 感謝祭は学園内では、コンテストとして行事の一環に入っています。当然のごとく、私のお花も参加しています。そして、困ったことに私のお花が、上位に残っています。


 いや嬉しいですよ?自分の育てたお花が沢山の人に、綺麗だね。って言われたのと同じなんですから。でも、それ以上にこっちは、花がどのタイミングで喋るのか分からないので、ドキドキしているんです。


私の花は、会場のど真ん中に、置いてあるんです。


 上位に残っている花は私のを含めて三つ。華やかでホンワカとした、祭りのはずなのに、何故こんなにも、私は気配を研ぎ澄まし、花に対して集中しているのでしょう。


「それでは今年の感謝祭、最優秀賞は……」


 魔法で華やかにライトアップされる会場。そんなに目立つようなことしないでくださいと心の中で叫ぶ。


「リーズさんの育てたお花になります!」


その言葉に嬉しいのと同時に、まだ喋らないでください。と必死に心の中で呪文の様に唱える。


「リーズさん登壇してください。」


「はい。」


呼ばれた以上台に上がり、賞状と優勝賞金を受け取る。


「おめでとうございます。」


「「はい、ありがとうございます。」」


「ん?」


「どうかしましたか?」


 私と同じ言葉を喋る花を、今日ほど憎いと思ったことは無いだろう。と必死にごまかしながらそう思いました。


 花と一緒に階段を下りて、クリスのところに行くと、クラスメイトである皆が、私の持つ花を驚きの表情で凝視したことは、言うまでの事でもないですね。


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