第五十八話 カモミールVSリーズ
キンッ パキッ
私の愛用していたナイフの折れる音が響いていました。確かに色々成長はしてると予想はしていました。けどまさか牙でナイフをかみ砕かれるとは思いもしませんでした。
「私もあれから鍛えましたから。絶対に獲物を逃がさないために。」
未だに私の血の事を諦めたわけでは無かったという事ですか。寧ろ強化されてるあたり念入りに計画を立てていた気がします。
カモミールさんはペロリと舌なめずりをすると再び私に襲い掛かってきました。
武器を失った私は手甲で防ぎました。さすがに手甲はかみ砕く事は出来なかったようでカモミールさんは残念そうな顔しています。
「いい防具ですわね。私の牙よりも固いなんていったいどんな職人がお造りになったんですか?」
その言葉に思わず笑みがこぼれる。
「これは誕生日プレゼントにお爺ちゃんに貰ったものなんです。」
「あら、そう言う事でしたの。」
カモミールさんは納得とばかりに頷いています。
「火の生霊よわが名に従い敵を燃やせ!」
私が呪文を唱えると生霊がカモミールさんに周りに集まりだす。カモミールさんは自身の爪で生霊を攻撃しましたが触れることもなく通り抜けてしまいました。
「これはいったい?」
余裕だった表情は消え、焦りから魔法を唱えようと構えました。
でも、もう遅いです。カモミールさんの呪文が発動する前にカモミールさんの体が炎に包まれます。
「きゃああ!?」
カモミールさんがその場に倒れるのを確認すると私は炎をすぐに消しました。
「勝者リーズ!」
アイス先輩の判定が決まると私はカモミールさんに近づきました。
「大丈夫ですか?」
自分がやったこととはいえ安否の確認をする。
「大丈夫と言えば大丈夫です。最後に使っていたあれは魔法なんですか?」
カモミールさんは不思議そうに私に問いかけます。
「確かに魔法と似ていますがあれは陰陽術と言うものです。」
「陰陽術?」
「向こうの世界に行ったときに学んだ術です。」
そこまで言えばカモミールさんは納得とばかりに頷きます。
「私の攻撃が聞かなかった理由は?」
「それはこの世界で言うアンデッドと同じ効果を持つからですね。一番似てるのはゴーストだと思います。あのモンスターも触れずにすり抜けますから。」
「そうですか。ありがとうございます。リーズさんは次もありますから連戦ですわね。」
「そうですね。」
私は次の対戦相手であるクルトの顔を観察する。何故か目が会うとウインクをされました。正直な話彼と戦うのは遠慮したいですね。
「次の対戦はリーズVSクルト両者前へ。」
と言われても私は既にいるんですけどね。
「カモミールさん歩けますか?」
そう聞くとカモミールさんはいつもの様に優雅な笑みをこぼし
「ええ、大丈夫ですわ。」
普通に歩き出していました。
「やあまたリーズと戦えるなんてすごく嬉しいよ。」
クルトは笑顔で私の手をがっちりと握っていました。目に入ったものだからついステータスを見てしまいました。ステータスを見ると能力値がかなり高い事が分かります。変態なのに強いとかある意味最悪ですね。でも女装はしなくなったらしいので変態ではないんでしょうか?
「リーズVSクルト試合開始!」




