第五十六話 マリエルVSリーズ
私は手甲を付けました。これは手に付ける防具で誕生日にお爺ちゃんからもらいました。攻撃には使えませんがマリエルの様に肉弾戦を得意とする相手になら有効に使えます。
「それ向こうの世界で手に入れたもの?」
「はい肉弾戦を得意としていると聞いた覚えがあったのでどうせ戦うのなら同じ戦闘方法で勝ちたかったので。」
相手にしてみれば挑発に思えるかもしれません。でもこれは私の意地です同じ条件で勝たなければ意味がありません。
「上等よこっちは全力で行くわよ!」
特に気にした様子もなくマリエルは私に向かって拳をぶつけて来ました。私も応戦するように手甲で防ぐ手甲の上からなのにとてつもない衝撃に思わず笑みがこぼれました。
「私も本気で行きますね。」
嬉しくなって私は向こうの世界で出会った仲間の鬼を憑依させる。鬼を憑依させると身体能力が大きく上昇するので今のこの状況にはとても相性がいいです。
そしてそのままの状態で私は思い切り拳をマリエルに向かって振るいました。
元々力の強い私が身体能力を上げて思い切り拳を放てば、当然相手には大きなダメージになります。このように
「きゃあああ!?」
マリエルは上手く私の攻撃をかわしましたが、拳の風圧でフィールド外まで吹き飛ばされました。ですがその程度では気絶まではしなかったようで再び私に向かって拳を振り上げてきます。力では私に勝てないと踏んだのか、スピードを上げての素早い攻撃の連続でした。
「クリスも言ってたけど本当に強いわね!」
状況は私の方が有利だというのにまるで恰好の獲物を見つけたとばかりにギラギラとした目で拳を振り続けるマリエル。
正直こっちの世界に戻ってきてからはどれくらい私の力が通じるか不明でした。でもこれだけ戦えるなら向こうの世界での特訓は無駄ではなかったようなのでとてもうれしく思います。
「ありがとうございます。でしたらこんな技はどうですか?」
私はわざとマリエルのガードの上に拳ではなく掌底を入れる。マリエルはこの技の事を知らないようで警戒はしていたけれど、でもすぐに分かります。
その掌底に少し力を入れて外傷ではなく内側に響く様に力を込めました。
「うあっ!?」
その内側からの衝撃に驚きそしてダメージが強かったのかマリエルはその場に倒れました。
「勝者リーズ選手!」
「リーズ凄いよ!今の何!?」
クリスは技の事を知りたいのかまるでおもちゃを見つけたような子供のような顔で私に近づいてきました。
「あれは掌底です。」
「掌底?」
「はい、普通拳を相手にぶつけた場合傷ができますよね。」
「うん。」
「でも私が使った掌底は内側に傷をつくる攻撃なんです。」
「そう言う事か。」
今の説明で分かったのか嬉しそうな顔で納得していました。
「全ての一回戦が終わったので一旦休憩をとります。」
アイス先輩のその言葉にそれぞれ休憩に入る。
「リーズさんご一緒に紅茶を飲みませんか?」
何時の間に近づいてきていたのか背後からカモミールさんに話しかけられました。
「何時の間に私の後ろに居たんですか!?」
吃驚して構えてしまいました。
「今ですわ。ゆっくりお話しできる機会なんて久しぶりですし。いろいろ聞きたいことがあるんですよ。」
真剣そうに私を見つめるカモミールさんその横ではクリスが私の腕をぎゅっと握りしめながらカモミールさんをじっと睨みつけています。
これが噂の修羅場というやつなんでしょうか?
「そちらの世界の紅茶はどんな感じでしたの!」
カモミールさんの異世界の一番の興味は紅茶なんですね。思わず気が抜けました。クリスもその言葉に睨み付けるのをやめて笑顔になりました。
「私もリーズが暮らしてた三年間のお話聞きたいな!」
右にクリス、左にカモミールさんというこれぞ両手に花という展開になっている私です。
「そうですね。紅茶は沢山種類がありましたよ。どれも美味しかったですよ。」
私のその言葉にカモミールさんが目を光らせる。
「羨ましいですわ。」
そして残念そうに目を伏せています。向こうの世界だけにしかないでしょうから残念に思うのも無理もないですね。
「ねえやっぱりおいしい物とかもたくさんあった?」
「いっぱいありました。料理もとてもおいしい物が沢山あって驚いたくらいですよ。」
向こうの世界での暮らしはとても平和でとても裕福でした。おかげでクリスに対して何度罪悪感を抱いたことか。
「そろそろ次の対戦に移りますので皆さん集まってください!」
アイス先輩の声が聞こえたので話を終わりにしてフィールド近くに集まります。
アイス先輩が全員が揃ったのを確認すると
「では次の対戦はブルーノVSクリス両者前へ!」
その言葉に嬉しそうな顔をしたクリスが颯爽とフィールド内に移動します。
逆に酷く青ざめたり真っ赤な顔したり忙しそうな様子を見せるブルーノの姿がありました。




