第五十五話 アダムVSカモミール
「うふふふ。」
「あははは」
二人の人物は今の状況が楽しいのか笑いながら戦っていました。実際は戦っているというよりはカモミールさんが一方的にアダムに攻撃を加えてそれを嬉しそうに受けるアダムの姿がありました。
「ああ、なんて幸せそうな顔羨ましいな。」
隣で欲望の眼差しで観戦しているクルトの姿がありました。勿論これを見ている真面な人たちはドン引きしています。
思い返せば人の生血が好きなカモミールさんと攻撃を喰らうのが好きなアダム組み合わせ的にこうなりますよね。
「でもアダムは普段は真面な人なんだよ。」
クルトのその言葉に
「どんな冗談ですか。」
と即座に返しました。だってあの変態が真人間だなんて誰も信じませんよ。
「本当だよ。アダムはね沢山の人に見られると興奮するんだ。だから人の少ない場所に居る時は真人間なんだよ。」
その言葉を聞いて思い返すとそう言えば三年前の私が日本に行く直前の時はいくらか真面な時がありました。でもそれは逆に言えば人が複数いる今の状況は…。
「アダムのテンションは高いよ。」
嬉しそうに笑顔で観戦しているクルトの姿に苛立ちが募る。
「行きますわよ!」
カモミールさんも興奮しているのか初っ端から自身の守護精霊を憑依させてアダムに容赦のない攻撃を仕掛けています。
それに対してアダムも守護精霊を憑依させて入るものの受け身の状態のままで一向に攻撃は仕掛けずカモミールさんの攻撃を受け続けています。
しかもアダムの体にはダメージが全然ありません。自然治癒能力がけた外れだとは聞いてはいましたがここまでとは思いませんでした。
カモミールさんが本気を出したのかアダムの傷は治るより早く増えていきます。それを見てもアダムは動こうとはせずにただカモミールさんの攻撃を受け続ける。
「もっとだ!もっと俺を傷つけろ!」
その言葉にクルトがため息をつく。
「また、悪い癖が出ちゃった。」
「悪い癖?」
クルトの呟いた言葉が少し気になりました。
「アダムは興奮すると受け身にしか回らないから攻撃しなくなっちゃうんだよ。元は結構強いのにこういう時に残念で仕方がないって思うよ。」
確かに興奮するたびに攻撃もしないで寧ろ攻撃に当りに行くんですから傍迷惑な話ですね。変態とは言え仮にもチームメイトがこんな状態になったら嫌ですね。普通は無いですけど。
「ああ、私今とても幸福な気分ですわ。」
うっとりと言った表情で呟くカモミールさんでも攻撃を加えるその手は激しさを増していくばかりです。
「俺も今最高に気持ちが良いぜ。」
此方もうっとりと言った表情で呟く、でも限界が来たようでアダムは倒れました。
「勝者カモミール選手。」
アダムが倒れるとカモミールさんは攻撃を止めました。
「私反応のない者に攻撃をする趣味は無いんですの。」
勝者はカモミールだというのに残念そうに呟くとフィールドから出て椅子に座りました。アダムの方は傷が意外と多いのか保健室に運び込まれました。
「アダムはよく今まで生き延びられましたね。」
私の時といいカモミールさんの試合の時といいあの癖は何とかしないと死にますよ。
「僕との契約があるからね。」
嬉しそうにクルトは微笑んでいる。
「契約?」
「前にも言っただろう。勘違いから始まった甘いロマンスな物語だよ。」
若干話が可笑しくなっていますが、確か子供の頃の勘違いがどうのこうのという感じだったと思います。まあどうでもいいですけど。
「次の試合は、マリエル選手VSリーズ選手。」
ついに私の番が着ました。やっと戦える。嬉しくて思わず拳に力が入ります。マリエルも嬉しいのか此方を見て嬉しそうに拳をぎゅっと握りしめている姿が見えました。
「でも残念だなこれで皆戦ったから、一回戦で戦わないの俺だけなんだね。」
クルト残念そうにため息をついていました。
「それは残念でしたね。」
私は早く試合に出たかったので適当にあしらうとフィールドに入りました。
「マリエルVSリーズ戦闘開始。」




