第五十三話 イグナーツ・ドレイシーVSブルーノ・ディックハウト
「行くぜ!イフリート!」
ブルーノの掛け声とともに彼の体と武器が真っ赤な炎に包まれる。如何やらブルーノの守護精霊は火属性の守護精霊みたいですね。私もペガサスがいますけどあの子は翼をはやして飛ぶという移動手段専用であまり戦闘には使わないんですよね。
それにああいう属性付の守護精霊の憑依はコントロールが下手だと自分自身にダメージがあるので余程の実力が無いと無傷で使用することはできません。その点を考えると小さい男もちゃんと成長したんですね。今度からちゃんと名前で呼んであげましょう。
「僕も行くよ。サキュバス!」
イグナーツもブルーノに対抗するように自身に守護精霊を憑依させる。その体から悪魔のような羽が生え、誰が見ても分かるほど魔力が上昇しています。
「おりゃああ!」
ブルーノが剣を振ると纏った炎がイグナーツに向かって襲い掛かる。
「水よ敵を閉じ込めろ水檻」
イグナーツが魔法を唱えるとブルーノが水に閉じ込められました。
「やはり魔法に関してはイグナーツは目を見張るものがありますわね。」
感心したようにカモミールさんが感嘆の声を漏らす。その言葉がやはり気になってしまう。
「彼はどんな感じでしたか?」
自分のいない間の事がやっぱり気になってしまって思わず問いかけました。
「そうですね。容姿は可愛らしい方だとは思います。戦闘では体術は苦手としています。でも逆に魔法は得意といった典型的な魔法使いタイプの方ですわね。」
カモミールさんの説明に思わず見た目通りじゃないですか。あんまり聞いた意味がないような気がしました。
「その点ブルーノ君は魔法剣士タイプの方ですわね。本人は農民出身と不機嫌でしたが体術も優れていて魔法の才能も彼はあるんですよ。不思議なほど彼は才能があると思いますわ。」
まるで獲物を見つけた猛獣のような目つきでブルーノをうっとりと眺めるカモミールさん。思わずブルーノに同情しました。
私は再び観戦モードに入ると、ブルーノを閉じ込めたはずの水の檻はブルーノの炎によって蒸発していました。カモミールさんが言っていたように確かにブルーノにはとてつもない才能があるのでしょう。
まあ自慢ではありませんが私もクリスも魔法の才能についてはかなりあります。そうでなければわずか12才くらいでSランクになんかなれるわけがありません。
「終わりだ!」
水の檻から出て切ったブルーノはイグナーツとの距離を一気に縮めると炎を纏った剣でイグナーツを吹っ飛ばす。
「グハッ。」
イグナーツは頭を地面に強打するとそのまま意識を失った。
「勝者ブルーノ選手!」
アイス先輩がブルーノの勝利宣言を報告しました。負けたイグナーツはダリア先生によって保健室に連れて行ってもらいました。
「次の対戦はエリザベスVSクリス両者フィールド内へ!」
クリスは私の方を振り向くと
「私がどれだけ強くなったかその目に焼き付けといてね。」
自信満々に宣言してフィールドに入っていきました。そして隣には
「一回戦目からクリスサンとか私を殺す気!?」
恐怖で怯えているエリザベスさんがいました。




