第五十話 三年後
あれから私はお母さんから陰陽術と言うものを習いました。此方の世界には魔法と言うものが存在していなくて、しかもその陰陽術の存在を知る者も少ないと聞きました。
そして何より此方の世界の服は私の世界の服と生地が違いすぎて落ち着かなかったです。それに前の世界に比べるとこちらの世界は色々と発展していてクリスに申し訳ないと感じるほどには快適な生活を送っていました。
でもそんな生活も今日で終わります。何故なら今日は私の16才の誕生日!
そう、元の世界に帰る日なんです!思わず拳に力が入ってしまいます。
それに今の私は服装が着物と言うものに身を包んでいるので少々落ち着かないという事もあります。肌触りが気になるので着物の下に首まである黒い服を着用しています。本来の着方とは違って動きやすいように所々捲ったり帯で縛ったりしているのでいつどこで奇襲を掛けられても対応できるようになっています。さて荷物もすべて持ちました。いざ、成人の儀式を行います。
「来たか。今日で最後になるのか。」
お爺ちゃんは少し寂しそうにしています。
「お爺ちゃんも大事な家族ですよ。でもそれよりも私は愛情をとっただけですから。」
「せめて後半のセリフは言わないでほしかったのう。」
お爺ちゃんは涙を滝の様に流しだす。
「そう言えばお母さんはどちらに?」
大体このくらいのタイミングで何かしらの襲撃を掛けてくるのにと辺りを見回したり気配を探ってみても何もありません。
「鈴も向こうの世界に行きたいとかで別の方法を探すそうじゃ。」
「そうですか。」
向こうの世界に行ってもお母さんとまた一緒に暮らせるのかもしれないと思うと嬉しく感じました。
「さて禊を行う。」
三年と言う月日は短いようで長かったです。それにこの世界は平和という事もあって実践を行った相手がお母さんとお爺ちゃんしかいなかったんですよね。
魔法の代わりに陰陽術を覚えたので多少の違いはあるでしょうが少なくとも一撃で殺されてしまうようなことは無いでしょう。
クリス今会いに行きますからね。私は覚悟を決めると禊を行うために滝の中に入リます。滝の中に入った瞬間淡い光が私の周りに集まりました。すると景色は一瞬で変わり、私は三年前にいた場所。クリスと暮らしていた家に移動していました。
私はペンダントに魔力を込めて会話をしようと試みます。
「聞こえますか?」




