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第四十九話 昔話

「あれはリンさんとチームを組んで一年くらいの時かな。自分でいうのもなんだけど、最強という事で名を馳せていたからね。まあ最強と言っても僕は中間くらいの強さで一番強かったのはリンさんだったからね。」


 懐かしそうに話すエクセルは語りだす。


「リーズのお母さん?」


「クリスさんは会ったことがあると聞いているけど。」


「うん。最初に会ったとき死神が持ってるような鎌で盗賊の砦を一撃で消し去ってた。」


その言葉に場の空気が一瞬だけ固まる。


「リンさんは今も昔も変わらないようですね。」


エクセルは苦笑いしている。


「初対面で何で盗賊の砦を破壊しているところに遭遇するのよ!?」


 マリエルは可笑しいでしょ!?と言わんばかりに驚く。


「まあ私がチームを組んでいた時はそんなのは序の口でしたから。」


何処か遠いところを見るような目で何かを思い出している様子のエクセル。


「先生戻ってきてください!」


エリザベスがエクセルの目の前で必死に手を振る。


「アンタせめてお菓子を手から離しなさいよ。」


 マリエルのその言葉でエリザベスはお菓子を持ったまま手を振っている

ことに気付く。


「ヤバッ」


と急いで食べていたが。


「まあその話は置いてください。」


もしゃもしゃ


「ブルーノ君大事なお話をするので静かに食べてください。」


「ふぁい。」


マリエルは無言でブルーノの頭を殴った。


「昔の話ですがリンさんがこちらの世界に来る直前に成人の儀式を行っていたとか。」


「成人の儀式?」


「何でも16才の誕生日を迎えた時に行う儀式とかで。」


「じゃあリーズが16才になったらこっちに帰ってくるって事?それが本当なら私は3年はリーズに会えないの?」


クリスは茫然と呟く。3年今の状況のクリスにとって3年はとても長く感じるだろう。


「なら永遠に会えないわけじゃないって事ね。」


マリエルは嬉しそうに呟く。


「そうですわね。」


カモミールもほっとしている。


「そうだね。一生会えないとかなら大慌てだけどまた会えるなら大丈夫だね。」


エリザベスはお菓子をもしゃもしゃと頬張っている。


「ところで何で校長室に来たんだっけ?」


ブルーノもお菓子を頬張りながら当初の目的を思い出そうとしている。


「ネックレス…。」


クルトが思い出したように呟くと他のメンバーも思い出したようでエクセルに詰め寄った。クリスは急いでネックレスを取り出す。


「これでお話ししたいんですけど繋がらなくて。」


エクセルは興味深そうにネックレスを眺めると


「ならこっちの部屋に来てください。」


そう言って奥の部屋に移動した。取り敢えず全員がついていく。部屋の中には大量の魔力の結晶石が集められていた。


「何だこれ?」


ブルーノはまるで石ころを拾う様にヒョイと持ち上げる。


「バカ!これ結晶石よ!」


マリエルは重要な物を軽々と扱うブルーノを一発殴った。


「あだっ」


「欠片一つでも10000Eはいく。」


「結晶石だからね。」


エリザベスも苦笑いをしている。


「壊したら大変ですわよ。」


ブルーノの背後から脅かす様にカモミールが現れる。


「うお!?」


そしてしっかり驚くその姿にカモミールは満足げに微笑んだ。


「この部屋でなら繋がると思います。」


 エクセルのその言葉にクリスはもう一度魔力を込めてみる。するとさっき使った時よりも明るく光り出す。


「クリス?聞こえますか?」


ネックレスから聞こえるその声に思わず


「聞こえるよリーズ。」


泣きながらも答える。


「良かった!因みに重要な話なんですが、どうやら私は16才になるまでそちらには帰れないようなのです。それまでは1人でそちらに暮らしてもらう事になってしまうようです。もっと早く帰れればよかったんですけど、如何やらこれ以外には方法が無いようなの3年だけ我慢してもらえますか?」


 エクセルから聞いた情報に間違いが無かった事に少しだけ残念な気持ちになる。でも、


「分かった。3年だけだよ。それ以上は待ってあげないからね。」


リーズの声が聞けたからなのかもう不安な気持ちは無かった。


「ありがとうございます。必ず3年後に会いに行きます。」


「うん。それじゃまたね。」


その言葉を最後に連絡は切れてしまった。


「良かったのですか?」


 カモミールはもっと話しておきたいこととかたくさんあったのではないのか?そう思っていた。


「思い出話は次に会った時にする。だから今はこれでいいの。」


 少し前までは不安でいっぱいという表情だったのに今では自身に満ち溢れていた。元気になったクリスの姿に思わず全員が喜びを感じた。


「それに今まであんまりお願い事なんてしなかったリーズが待ってって言ったんだもん。」


少しだけ嬉しそうに微笑んだ。


「その言葉だけでもうれしいんだよ。」


 この言葉に元気になり過ぎではないかと若干心配になる者とうっとおしく感じる者そして再び失恋の痛みを思い出すものがいた。

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