第四十話 勝負!
「俺と勝負だ!」
「分かりました。」
小さい男が転校してきてから一日一回は決闘をするようになっていた。理由は言わずもがなどちらがクリスちゃんに相応しい相手かと言う感じの決闘です。今更こんな決闘をしても誰がどう見ても勝敗は既に決まっていると思いますけどね。
自慢じゃないですけどそもそも私たちは両思いになったのですから後から割って入ろうなんてその時点ですでに負けているという事に気が付かないんでしょうか?そしていつもの様に決闘は開始されます。
「うおおおお!」
いつもきまって小さい男は剣で私に切り掛かってくる。今回は足を引っ掛けて石化魔法で足だけを石化する。
「ブッ。」
足が石化した以上身動きが取れずに顔から地面に激突する。だけど手は石化していないのだから剣を離して手で起き上がればいいのにと思います。
「……剣をいったん離して自分の手で起き上がらないんですか?」
私の言葉で小さい男はハッとすると急いで剣から手を放して起き上がる。そしてまた剣を構える。足を動かそうとするも動けずに私を青ざめた表情で見つめたまま動けずにいる。そんな小さい男を一頻り眺める。
「凍てつく氷の世界に幽閉せよ。氷世界!」
氷の上級魔法をぶちかます。小さい男のオブジェが完成した。
「また、負けたの。ブルーノもよくやるわね。」
マリエルは呆れた様に小さい男のオブジェにお湯をぶちまける。バシャッ
「あっつ!?」
魔力を弱めに込めただけなのでお湯をかけただけで簡単に溶けました。
「テメー何てことしやがる!」
そして負けると何かにつけて文句を言い出す。
「一々うるさいですよ。だから何時まで経ってもあなたは小さい男なんですよ。」
「勝負に大きいか小さいかは関係ねえ!」
いや、あると思いますよ。これ以上反論すると余計に煩くなるし、そろそろ休み時間も終わってしまいます。
「そろそろ戻りましょう。」
マリエルに声をかけると頷いて一緒に教室に戻りました。小さい男は文句を言いながら教室までついてきました。
ブルーノ視点
畜生ッ今日も負けた!ブルーノは悩んでいた。何故なら最初はクリスが好きだったはずで、そしてクリスには好きな人物がいた。リーズという女の子だった。
今まで農業と剣の事しか頭になかったブルーノに同性恋愛というものが理解できるはずもなく、当然解決できる術も見つからないまま現在も悩み続けている。
そして最近は更に厄介な悩みが出来ていた。最近のブルーノは何故かリーズを見ると心臓がドキドキするという病気に襲われていた。そして本人もその病気というものが恋だと自覚もしている。けれど、好きな人物達はその当人同士でカップルが成立してしまっている。当然ブルーノが入る隙も無い。
ここまで言えば分かるだろうが、どちらに転ぼうと悲惨な結末しか無いのである。頭では理解できても感情を抑えることができず、ブルーノは戦うという事で落ち着かせようと必死だった。
ブルーノは恋多き年頃であった。非常に悲しい青春であるが。




