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第三十七話 決闘

「そんなわけで最初の決闘はマリエル・ミュラトールVSマカル・サルミン!」


 アイス先輩の実況の元勝負が開始されました。マリエルの相手は獣人らしく遠目からでもわかるほどに鋭く長い爪と猫のような耳が特徴的です。と言うかまんま猫ですね。


「はああああああ!」


 マリエルは自身の拳で相手を殴る。と言うか肉弾戦!?思わず私は衝撃を受けました。マリエル、あなたシスターを目指していたんでしょう!?普通杖とかそう言う物の類を装備して戦うのが普通なのではないんですか!?


 内心シスターのあり方について疑問を抱いていました。獣人相手に肉弾戦を仕掛けているマリエルは一歩も引いていないどころか寧ろ有利な状況になっていました。


「おおーっと!マリエル選手止めのアッパーを放った!マカルにクリーンヒット!マカルは動けないぞ!この勝負マリエル・ミュラトールの勝利!」


 獣人相手にシスターが肉弾戦で勝利する。この言葉だけ聞いていたら何とも恐ろしい話ですよね。若干傷は負ってはいる様子でしたが、本人にしては問題は無いらしく此方に近づいてくるとドヤ顔でピースをしてきました。


「勝ったわよ。これで私もこの学園の生徒ね。よろしく。」


「おめでとうございます。」


「おめでとう。」


 とは言え私もクリスちゃんもマリエルと一緒に学校に通えることが嬉しかったので祝いの言葉を贈る。そう言うとマリエルは嬉しそうに笑った。


「次は俺だー!」


1人気合を入れるかのように叫ぶ小さい男


「次の対戦はブルーノ・ディックハウトVSレギーナ・シカナキナ」


 小さい男は剣を構え、対戦相手をじっと観察する。相手は黒いフードを被っていて特徴がそれと言って無かった。小さい男は剣を相手に向かって振り下ろした。小柄な体系もあってそのスピードはとてつもなく速かった。


「うおおおおおお!」


振り下ろした剣は見事に相手に直撃する。相手は一撃でその場に倒れる。


「えーとブルーノ・ディックハウトVSレギーナ・シカナキナ勝者ブルーノ・ディックハウト」


アイス先輩もつまらないと感じたのか実況はテンションが低かった。


「お、おいこれで終わりなのかよ。俺まだ必殺技出してねえぞ!?」


 あまりにもあっさり終わってしまったので小さい男は不完全燃焼だとでも言わんばかりに嘆いている。何を思ったのかフードをとった。すると相手選手は可愛らしい女の子だった。小さい男はその姿を目撃すると顔を真っ青にしてその場に倒れた。


「そう言えば彼奴女には手を出さねえ主義なんだ。とか言ってわね。」


思い出したように呟くマリエル。


「今は最低だけどな。」


 DVモードでポツリと呟くクリスちゃん。


 小さい男にもそういうプライドはあったんですね。取り敢えず小さい男をステージから引っ張り出し端っこに寄せる。


「これで良し!」


 因みに女の子の方はテレポートで保健室に連れていきました。私は魔族の方をチラリと眺める。魔族は如何にも怯えています。と言った状態でしたあんな状態で真面に戦えるんでしょうか?


「マリエル。」


「何?」


急に話しかけられて少しびっくりしていました。


「魔族の方は大丈夫なんですか?」


「リーズあんたその呼び方変えてあげなさいよ。」


マリエルは可哀想よと言わんばかりの表情で訴えている。


「リーズちゃん。」


クリスちゃんも若干苦笑いでした。


「イグナーツは大丈夫なんですか?」


 私の言葉にはそもそも戦えるんですか?という意味も含まれていた。


「彼奴の実力は私たち四天王の中でも最強よ。」


「私よりは弱かったけど、本当に強いよイグナーツ。」


 その言葉に私は目を見開く。


「でも、明らかに怯えています。とても戦える状態とは思えません。」


 イグナーツはビクビクと青ざめた表情で怯えたままの状態でした。戦闘面で強いのなら怯える理由なんてないはず。


「見ていればわかるわ。彼奴は間違いなく最強よ。」


 あんな状態のイグナーツを見ながら負けるはずがないとばかりに自信満々に言い切っている。クリスちゃんを見てもマリエルと同じ意見なのか余裕と言った表情で試合の観戦に入っていました。


「それでは最終戦イグナーツ・ドレイシーVSセシリオ・デルバジェ試合開始!」


私の納得がいかないまま試合は始まった。


「俺はほかの奴等とは違うぜ!」


 相手の選手も今の状態のイグナーツを見て、余裕で勝てる!と確信しているようだった。相手が魔法を放とうと呪文を唱え始める。


「燃えろ!炎玉!(ファイアーボール)」


カッコつけてポーズまで決めたのに魔法は発動しなかった。そのカッコ悪い姿に思わず吹き出す。


「プッ。」


「ダサいわね。」


「バカみたい。」


 ああ、一つ思い出しました。確か相手の目を一定時間以上みると魔法を使えなくさせられるんでしたっけ。確かにただの怯えている弱虫では無かったようです。でも、それだけでは勝負には勝てませんよ。


「魔法が使えねえなら力だ勝負だ!」


 何故魔法が使えないのか分からずにイグナーツに向かって何処からか取り出した槍を突き出す。


「全てを闇に葬れ……暗黒空間。(ブラックホール)」


 相手の選手が暗黒空間ブラックホールに吸い込まれていくのをじっと眺めていました。


 その光景に思わず鳥肌が立つ。闇魔法の上級呪文。私も上級魔法は幾つか習得しています。でも、私が使ったことのある上級魔法とは魔力が比べ物にならないほど練りこまれていました。私があれと同じ魔法を使えたとしてもあそこまで大規模なのは使えません。


 流石魔族と言うべきなのか圧倒的な魔力量、本人は顔が青ざめたままの状態だったけれど、特に疲労している状態でもなく普通にこちらに戻ってきます。


「勝てた。」


ホッとして嬉しそうに笑っている。


「確かに強いですね。」


「もしかして嫉妬した?」


 意地の悪い顔でにクリスちゃんが微笑む。


「そうですね。ただ案外強い人物は何処にでもいるんですね。」


私も、もっと強くなりたい。そう感じる出来事でした。

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