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第二十七話 不機嫌の理由

 討伐依頼を受けたものの満足に討伐が出来なかったクリスちゃん。今でも機嫌は悪いです。


「クリスちゃんケーキ食べに行きましょう?新作のケーキが出たそうですよ。」


「行かない。」


 討伐依頼を受けたにも拘らずモンスターに攻撃できなかったことがクリスちゃんの不機嫌の原因なんです。でもさっきからケーキを食べに行こうと誘ったり色々クリスチャンの喜びそうなことをしようと試みるも先程から失敗していました。


 そして今でも見るからに不機嫌な表情をしている。エリザベスさんやカモミールさんがいると八つ当たりの対象になりかねないので帰ってもらいました。


 それにしてもクリスちゃんとは四歳の頃からの付き合いになりますが、こんなに不機嫌な顔のクリスちゃんは初めて見ました。いつもはニコニコと天使のような笑顔でした。その時にもDVクリスちゃんの片鱗は見せていましたけど今の様に極端な二重人格と言うわけでは無くて、モンスターと戦う時だけああなっていました。


「リーズちゃんは私を1人にしないよね。」


 私にギュッとしがみ付いてきました。その姿はまるで幼い少女のようでした。まあ本当に少女なんですけどね。


「クリスちゃんはちゃんと追いかけてくるでしょう。」


 私が引っ越して都会に行くときもクリスちゃんは私と離れたくないと一緒についてきました。確かに私は都会に行くことを最優先にしました。けどクリスちゃんが一緒についてきてくれた時すごく嬉しかったんですよ。そんなことを思いながらギュッとクリスちゃんを抱きしめました。


「うん!」


と機嫌が戻ったのか笑顔になってくれました。


「討伐に行こうぜ!今度は二人だけで!」


と嬉しそうに言う物だからつい


「そうですね。」


 と答えてしまいました。後でエリザベスさんとカモミールさんに誤りに行かないとですね。私たちはエリザベスさんとカモミールさんに直接謝罪をすると今度埋め合わせをしてくれればいいとの事だったのであっさり許してくれました。


 簡単なモンスターの討伐依頼を受けてモンスターの討伐に向かいました。今度はマグマベアというモンスターの討伐です。そんなに強くはないらしいのですぐに終わると思います。バルチナス王国から徒歩で数十分の火山ファイアーマウンテンに到着しました。


 暑さ対策のために氷魔法のかかった装備を装着してきたので準備万端です。全体的に薄い素材で体を覆うように出来ているので傍から見れば暑苦しいの一言に尽きますが魔法がかかっているため快適なのです。


「っしゃーいくぜ!」


 今度こそ思う存分に討伐できる!とクリスちゃんは嬉しさのあまりガッツポーズです。そしてしばらく進んでいくと真っ赤な毛並みで炎をまとった熊。どうやらマグマベアの登場です。それに一体だけじゃなくて五体もいます。取り敢えず進んでいった先が洞窟だったので丁度ここはマグマベアの巣のようですね。


「クリスちゃんどうやらマグマベアの巣のようなので気を付けてください!」


 そうクリスちゃんに向かって呼びかけたはずなのにクリスちゃんは怪しい笑みを浮かべると1人単身でマグマベアに突っ込んでいきました。洞窟が暗いせいなのかクリスちゃんの姿は確認できませんでした。


「クリスちゃん!?」


 可笑しいいつもなら何か一言は返答があるのに何だか嫌な予感がしました。心配になった私はクリスちゃんを追って行きました。突っ込んでいった拍子にかなり奥の方に行ってしまったのか物音すらろくに聞こえませんでした。どんどん奥に向かって走っていくとやっとやっと音が聞こえてきました。そして走り続けていると洞窟の最深部に到着しました。


 洞窟の最深部はマグマが活動していてとても明るかったです。バキッドカッと音がした方向を向くと既に死んでいるマグマベアを何故か殴り続けているクリスちゃんの姿がありました。クリスちゃんに近づき殴る手を掴むと


「いつまでそうしているつもりですか。」


 と冷静に声をかけました。やっぱり様子がおかしい。いつもは生きているモンスターだけをターゲットにして死んだモンスターには興味を示さないのに如何して?


「どうして?殴りたいから殴ってるだけだぜ?」


まるで私の方がおかしいとでも言わんばかりに喋りだしました。


 何なんだろうこの違和感。クリスちゃんが可笑しいのは分かっているのに可笑しい部分を明確に出来なくて、しかも討伐が終わると普通に戻っていました。


 だからあの出来事は気のせいだったんですね。なんて思ってしまいました。その場でちゃんと理由を問い詰めればあんな悲劇は起こらなかったはずなのに。

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