第二十八話 内に秘めた思い
あのマグマベアの討伐依頼クリスちゃんとの会話が急激に減ったと思います。前はいつどこに居てもクリスちゃんが話しかけて来たのに、エリザベスさんとカモミールさんも不思議に思ったのか、何かあったのと聞いてくる始末でした。本当に何が何なのかどうなっているのか、
「こっちが知りたい気分ですよ。」
とため息をついた。
「やあ困っているようだね。」
何故か女子の制服姿で現れたクルト。
「少なくてもあなたが知る必要はないです。」
きっぱりと拒絶すると苦笑いしながらこちらに近づいてきた。
「そうも言ってられないから一応忠告だけしておくよ。」
何時になく真剣な表情で
「彼女の事もっと気を配った方が良い。このままじゃ後悔するよ。」
それだけ言うとクルトは自分の校舎に戻っていった。確かにクリスちゃんの様子はおかしいしもっと気を配れと言ったのもわかります。けれどクリスちゃんのあのおかしな行動の意味も必要性も今の私には何もわからないんです。喧嘩とは違うと思いますし。そもそもおかしいと思い当たるとすればマグマベアの討伐依頼の時。
でも根本的な問題じゃないと思います。いくら考えても原因はさっぱり分からなかった。
教室に戻るとエリザベスさんとカモミールさんが心配そうにこちらに近づいてきました。カモミールさんは心配そうにはしているものの何処か呆れた様に
「時間がたてばたつほど解決しにくいでしょうからなるべく早めに解決されることを願いますわ。」
私に忠告するとエリザベスさんを連れて家に帰って行きました。取り敢えず私も家に帰りましょう。家は同じなのだからそこでゆっくり話をすればいいと思っていました。家に帰るとクリスちゃんの靴が置いてあるのに明かりはついていなくて真っ暗でした。
「クリスちゃん」
恐る恐る声をかけるとごそごそと物音がしてベットに居たみたいです。私の気配に気が付いたのかベッドから出てきました。でもクリスちゃんの姿はボロボロでまるで誰かと戦ってきたような姿になっていました。
「クリスちゃん怪我してます。直さなくちゃ。」
私はその場でクリスちゃんに治癒魔法をかけた。
「誰と戦ったんですか?」
クリスちゃんがここまで負傷するなんて珍しい。
「リーズは優しいよな。」
今まで私が話しかけてもずっと無言だったのに何故か急に話し出しました。
「私は優しくはないです。」
そういつだって自分のために戦っている。単純に強くなりたいから。
「だけど、その優しさは時に人を深く傷つけるんだぜ。」
そう言うとクリスちゃんは私の体に剣を刺しました。ズブリと剣が体に刺さっていくのが分かった時には私の体は床に倒れていました。
「どうして?」
「俺リーズの事大好きだぜ。」
なら何で?どうして私に剣を刺したの?私のことが嫌いじゃないなら何でこんなことするの?一番大切だと思っていたクリスちゃんに剣を刺されたという事がショックで上手く考えがまとまらなくて、でもうまく言葉にできなくて、
「でも、友達としてじゃ嫌なんだよ。だから今はここでお別れだ。でもいつか迎えに来る。」
悲しそうにそう言うとクリスちゃんは家を出ていった。待ってと手を伸ばそうとしても手に力が入らなくて私はそのまま意識を失った。




