<#6 喧嘩するほど仲がいい>
『久しぶりだね…ヒカゲ…いや…晷、と呼んだ方が良いかな』
ヒカゲ、と呼ばれた№18は驚いたように目を丸くした
『……前に…会ったっけ?俺覚えてねーよ?戦の時以外はね』
『もちろん、、会ってはいないよぉ〜?』
『はぁ〜?どゆことぉー?』
№18は顔をしかめる
そりゃそうだ
わけが分からない
『ヒカゲ…って、この前由武くんが言ってたヒカゲ…?はじめまして…って……』
『そうだよ!ねね、ヒカゲ、君ぃ…液体カプセルん中入ってたでしょ!出口から見て一番手前の……あ、やっぱどーでもいっか!なんでもない!』
『ん、は、あぁ?んだよー』
クシャッと髪をかき上げる
№18はそのまま椅子に腰掛ける
『いやぁー、ねぇ〜?ふふふっ
いつか…きっと分かるさ、みんなね』
№6はそう言って№5の作ったぬいぐるみを手に取る
そして解れた刺繍糸の部分を撫でて№5に渡して返した
『ん……、どもぉ…』
№5はとりあえず受け取るが首を傾げる
『えと…晷と由武くんは初対面……でも由武くんは晷の名前をこの前言った…』
『だね!アイサツしたの〜』
笑っている
理解が追いつかないのは皆がそうだろう
『まぁまぁ、意味不明なオハナシはこのくらいにしてさっ
なぁ?別のオハナシ、しようぜ?』
№18がそう、話を終わらせた
『は〜いっ』
『ぇ…あ……、、』
名残惜しい気がした
『ま、まぁ…大丈夫ダヨ〜…ウンウン』
№5はフォローしてくれているのだろう
棒読みすぎてなんか悲しい
『ねね…あ、あーちゃんが……お茶淹れてくれたよ…』
♢ №12が恐る恐る紅茶の入ったポットを持ってくる
その後ろには♡№12が人数分のカップを持ってお淑やかに歩いてくる
『成功品よ、きっと今までで一番美味なはず』
そう言ってカップを並べた
♡ №12が手を差し出すと♢ №12は流れるようにポットを渡す
おとぎ話のメイドと執事を連想させた
『え!!楽しみっ!』
№6が笑う
慣れた手つきで紅茶を♡№12が注ぐと
部屋いっぱいに甘い香りが広がった
『わぁ…いー匂いするぅ〜』
№5がリン…と鈴を鳴らす
『すごぉ〜い!キレーな色!アカい!』
№6も淹れられた紅茶を見て大はしゃぎ
つい昨日の戦争のことなんて、忘れてしまったかのように…
(どうして…?メアも…あんなに震えてたのにさ、あれは嘘だったの?僕を励ますために?)
疑問符ばかりが頭に浮かぶ
先日と今日のメアの差
敵だった人敵だった人が“今”みんなと楽しそうに笑っていること
誰一人として自分のようになっていないこと…
全てが謎だった
(怖い…怖い……)
今度こそ1人…独りになった気がした
もう、誰も同じ場所にはいない、下にもいない
不安定な足場に立たされている気分だ…
早く終わりに────
『灯向?おーい?やほー?』
№5の声…現実に戻された気がした
(はっ……あ…メア…)
『…っ』
言葉が詰まる
さっきから〜な気がした、気がした、と
おかしくなりそうだ
そのせいか、№5に救われたと…瞬間的に、そう錯覚した
『大丈夫…だよ
うん、大丈夫、心配…しないでよ』
優しく微笑んでそう返した
『ほんと?』
グイッと№5の顔が近づく
少しの間が空いた
『…うん。へーきっ、なんでもないよ』
『…………やって…』
『え?』
聞き取れずに首を傾げた
『っ……また…またそうやってメア達に隠すの!?』
みんなが一斉にこちらを見る
話し声は消えていた
『どうして…!教えてよ…っ
そうやって独りで耐えようだなんて…
メアは許さないから!!』
涙声だった
急に声をあげられて№0も驚いた
『メア達が信用出来ないから隠すの!?』
『ち、ちが……っ』
『け、結局は別の……“他人”だから!?』
『ちがう…違う、よ……っ』
否定するが、少し躊躇してしまう
どうして…
『灯向は人間で、メア達は…
メアは人間じゃないから!!
言っても無駄だって…そう思ってるの!?』
№0の服がギュッと掴まれた
その手は小さかった
とても小さな…子供の手
自分と少ししか変わらない大きさの手
『……っ…違う…違うよメア…』
『じゃあなんで…っ』
『……っ…あ、あの…ね…』
言葉がどうしても詰まってしまう
さっきも…
本音知られちゃったら…嫌われちゃう…
面倒臭いやつだって…思われちゃう…
(こんな考えだから…ダメなのかな)
ネガティブな思考が幾つも過っては消え
過っては消えを繰り返している
『……キライならキライって言ってよ…』
どうすればいい
なんて言えばいい
好き?なんでもない?
好き……
『…キライじゃない…好きだよ、大好き…』
腕を擦りながら№0は言う
『…いつもメアが言ってくれるみたいにね』
№5の顔を恐る恐る覗いてみる
『じゃあ…どうしてさ……どうして隠すの?』
『だ、だって……』
『……だって何?信用出来ない?』
『違う…』
『…やっぱキライ?』
『そうじゃなくて…っ』
『人間だったら教えてくれた…?』
『人間…だとしても…』
ザッ
「お前に人望だとか、そんなもんはねぇだろ」
ザザッ ザッ……
ノイズのかかった記憶
あと少しで忘れられた記憶
『…異形だから?』
『異形なんかじゃ……っ』
『…いつも子供っぽくて…バカっぽく見えた?』
『違う…違うってば…っ』
『じゃあ何さ!早く言ってよ…っ
教えてよ…っ』
睨みつけるように№5の鈴が光る
昨日の光る刃物が脳裏に浮かぶ
(…刺されたの、メアじゃなくって…良かった…)
無意識だった
無意識にそんなことを思ってしまった
『ぇ……ちが…そうじゃ…』
『何?』
少し顔を顰めた№5の顔が見えた
『あ、えと……いや……なんでもな…っ』
ハッと口元を抑える
どんどん悪い方向へ進んでいる
『……もういいよ、メア分かったから…やっぱ
灯向はメアが信用できないんだって…』
そう言って№5は自分の部屋へと姿を消した
『あははっ!やらかしてやんの!』
明るく笑う声
№18の声
耳障り……なんて、初めて誰かに思った
(いつも…誰かが増えるとそれは光だと思ってたけど……違うんだ……やっぱ、僕は幸せには向かえないんだなぁ……)
ギュッと自分の服を握る
№5も握った場所
まだ少し温もりがあった
『お前はどこでも雑魚だな』
不快な笑い声
いつまで笑っているつもりなんだ
……でもやっぱり、自分が今は一番憎かった
今までも自分だけだと思っていたことは、
本当はみんなそうだったのかもしれない
少なくとも№5は確実だろう…
『自分の…僕の被害妄想だったのかな…』
そう声に出して言っていた
『…そうかしら?
ここにいる子はみんな被害者よ、特にあなたがね』
♡№12が紅茶を飲みながら言った
『いや…えと……』
『あなたがここに収容されなければこうは…
ならなかったのでしょう?
clone《私たち》も造られなかった…
でも収容されてしまった、結果的にはあなたが…一番の被害者じゃない』
♡№12がもう一度カップに唇をつける
『……でも…』
(でも…きっと僕がなにかしてしまったから…
バチが当たったのかもしれない…だから…)
俯く
その顔には涙が滲んでいた
『……バチが当たるようなことしてない…灯向は…何もしてないよ…
俺…知ってるよ……』
№1が能力で心を読む
そして№0の手を握った
『……暦…僕……っ』
涙が床に落ちる
小さな小さな水滴が落ちては弾ける
喉の奥の今までの気持ちが流れ出す
『んぐっ……ぅっ…僕ねぇ………っ』
プツ────
『はぁ……』
ため息をついて画面を切る
『なんや…兄弟喧嘩やと思うたら…
絆物見せられちょるんか…』
髪をかき上げてもう一度ため息を着いた
『笑って終われるんやったら…俺らは存在しと存在しとらんじゃろ…』
『ONEマイライフ!#6』を読んでくださりありがとうございますっ
またまた短い回になってしまいました…そして皆さん、兄弟姉妹で喧嘩…したことありますか?ともくん。はですね、よくしてました…なんなら現在もしてます、、、
仲良しな兄弟姉妹が羨ましいです…そう思いながら今回も書かせていただきました!




