<#3.0 はじめまして>
コツ…コツ…コツ…………………
ガチャ
⟡.──────────── .⟡
『灯向〜っ、お呼び出しだよぉ〜』
『あ、メア…え、んー…嫌だなぁ…報告ありがと!
行ってくるね』
№0は部屋を出る
無機質な廊下に響く軽い子供の足音
陽の光は無いのに異常なほど明るい照明
『……次は何…また…新しい子…?……っ…カワイ…ソウニ……』
そう呟いて廊下を歩く
みんなに見せているあの笑顔なんて忘れて、
ゆっくりゆっくり、重りが足に着いているかのような感覚だ
(長いよ……飽きるってば、この廊下…)
はぁ、とため息を着く
コツ…コツ…
コツ…コツ……
目の前から誰かが歩いてくる音がする
(よく響くなぁ…はっきり聞こえる)
顔を下げて、、俯いて歩く
視界の端に見える人影
コツ…コツ…
コツ…コツ……
すれ違う
(小さな子供…いや、そこまで歳は離れてないなぁ…んー、やっぱ新しい子…?)
そんな事を思う
金髪…グリーンゴールドといった方が良いか
そんな不思議な髪色の少年
藐の深い色の目
赤い花の飾りの着いた学生帽のようなものが特徴的だったっけ
花や草のいい匂いがした
でも、そんな綺麗な時間は短くて、すぐにいつもの無に等しい匂いの世界に戻された
気付いたら、足を止めて振り返っていた
(綺麗…)
そう思うのも束の間、呼び出し警報
“赤い声”と実験体達は皆そう呼んだ
我に返り、走って部屋に向かった
『はぁ……はぁ……』
呼び出された部屋の番号の書かれた、白い近未来の扉を軽くノックする
開いたと思ったらやはりあの部屋…
ではなく、実験室だった
『遅い…遅い…遅い遅いお、おそ、遅、い…』
『っ……!?う、ぁ……ごめっ…なさぃ、、』
(ぇ…なにこれ…怒らせちゃった…?)
いつもと少し違う様子の研究員を見て体が震えるのがわかる
恐怖しながらも台に寝転んだ
忽ち真っ白に目が焼かれるような光源に照らされる
(……こわい…こわい…いつも、そうだ…この瞬間…弱い麻酔が打たれて…頭がふわふわするまで…すごくこわい……なんて、誰に説明してんのかな…へへ……きもちわるい…)
意識が遠くなる感覚と共に…
ギラギラと光る金属の道具が視界の端にチラついたのを覚えている
⟡.──────────── .⟡
『………っは!…ぁ…ぁ……』
(いっ……たぁ…、、麻酔…切れて…)
目が覚めると、まだあの光源の余韻なのか、頭が痛いのと、実験の傷も痛い
大きなため息を着くのを追うように、視界も立ち上がった足元に落ちた
(………疲れたな…寝てただけ…なのに)
ふわっ…
(…、!…さっきの匂い…っ)
ふわりと鼻筋を撫でるようなあの匂い
それが部屋いっぱいに、まるで水槽の中の水のように漂っていた
研究員は、、一人もいない
『……、、っ』
あの子がいるかもしれない、そんな事を思って当たりを見回した
いても…特に何も用などないのに
『……え、ぁ…いた…ね、ねぇ…君…』
『ぼく?ぼくねぇ……お散歩っ!ちょーど開いてたの!』
そう言って少年は開いた扉を指さして
質問なんてする暇がないくらいに、元気に、無邪気に口を動かす
『え…?ぁ、そ、そうなの…?』
『はい!あ、そだそだ…ぼくね、お部屋!探してるのっ、
なんかぁ…大人の人急にいなくなっちゃってぇ…えへへ…わかんないのっ』
そんな、№5を思い浮かべるような無邪気さで話した
見た目もどこか面影があるように思えた
気のせいだろうか
『お、お部屋…?
えと…しゅ、収容棟…の?』
『あ!うん!!しゅーよーとーっ!』
楽しそうに頷いて、両手をあげて飛び跳ねた
『じゃあ、案内……するよっ、僕ももう帰って良さげ…?、だしっ』
『わぁ〜っ!ありがとぉ〜』
優しい笑顔だ…まるで…花畑で風と遊ぶ小鳥のような…
そんな比喩が頭に浮かんだ
自分で並べた言葉にバカバカしいとさえも思った
でも結局、その綺麗さに、そんな考えは消しさられてしまった
(…それか…雪どけ……)
そんな表現がしっくりきた
『おいで?ちょっと…歩くの遅くなっちゃうけど、案内頑張るねっ』
『ありゃりゃ…無理しちゃだめだよ〜?』
眉をひそめて、心配の声をかける
『もちろんっ、ありがと…あ、君…名前は?』
そう、№0は少年の…白い白い、研究所そっくりな肌色の顔を覗き込んだ
すると少年は驚いたかのようにぱちくりと瞬きをしてフッと微笑んだ
『…実験体№6…由武だよ』
『ゆん…№…6……、、』
『そう!№6!ずっと前から…と言っても、3ヶ月くらい前?№5と一緒に作られた…双子実験体?とかゆーやつ!』
『双子……』
びっくりしたぁ?なんて笑いながら、その匂いを振りまいて空間に色を…色彩を踊るように生み出す
形となるなら、美しい生命でも作ったのでは、と思うほどに明るい色彩だろう
やっぱ…綺麗以外の何でもないだろう
『そそっ!双子ぉ〜、あ…!』
笑っていた№6の顔がさらに明るくなった
眩しい…でも、優しい明るさ
『ん?どーしたの…?』
『…』
指をさした
その先には白衣を着た者の姿
真っ赤な髪が白い壁や白衣を霞ませるほどに鮮やかで、目に焼き付けられた
『李医務官!』
『知ってるの…?』
『もちろーんっ、やさしー人っ』
李医務官と呼ばれた者は軽く会釈をして、何も言わずに通り過ぎて行った
『ふーん…医務官なんて…いたんだ』
『え!知らなかったの!?』
『え、うん…だって…目が覚めたら研究員さんが縫ってくれてたり…してたからね』
『はぇ〜……雑ッ』
『今更!?』
そんな会話がはじけ合う廊下は珍しく…いや、初めて“シロ”という色に染まった気がした
『ONEマイライフ!#3.0』を読んでくださりありがとうございますっ
今回は#3の前編ということで、書かせて頂きましたが、如何でしたでしょうか
そして脱線させていただきますが…実はですね作者、自分のキャラクター達があまりにも大好きすぎるんですよ。結果、管理が大変です…、夢に見た手際の良い執筆は未だに夢のまた夢なのです…
ですが私、こうやって読者さまに読んでいただけて、ほんっとぉぉーっに!!本当に嬉しいのです!!
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!!
長々と語ってしまいましたが…これからもご期待のほど、よろしくお願いいたします!




