<#28 田邊灯向>
〖◣オカエリナサイマセ…灯向サン…◢〗
『は……え……?』
並んだ長椅子
見覚えのあるナニか
長方形の窓ガラス
そして…ペンギン────
『は…ソ、ソフィ…!ソフィは……っ』
〖◣無事デスヨ◢〗
『良かっ……』
〖◣ア、今亡クナリマシタネ
短イ幸セは如何デシタ?◢〗
ガチャ……ガン!!
冷たい床に金属が叩きつけられる音が
この広い場所に響き渡った
『っ……うるさい!!黙れ!!ソフィは…
あの人は……!!!』
〖◣ウルサイのハ何方デショウカ◢〗
『っ……』
僕はゆっくりと手を離す
眉をひそめてギュッと拳を握る
俯いたら涙が零れそうで、天を仰ぐ
〖◣トリアエズハお疲レ様デシタ
カルテにモシッカリト記入致シマシタノデ
ご安心ヲ……◢〗
『…………どうして最後まで守ろうとせんかったんかね……僕……最低じゃ……』
そうだ
最低だ
あの人は僕をあんなにも…守ろうとしてくれたのに
なのに僕は何も…
「どうでもいい」などという勝手な本音で…
何をしてんだよ…
〖◣今悔ヤンでモ…モウ遅イデスヨ◢〗
わかってるよ
……これも、もう言い訳になるのかな
『うん…そうじゃね……』
〖◣デハ次ヘ向カイマショウ
まダ許シハ出サレテオリマセンノデ◢〗
『……ねぇ…ここ、いつまでなら…おってもええん』
〖◣デキレバ留マラナイで…ホシイデスガ…マァ……100日程度ナラバ
私ノ広スギルこノ心デ許シマショウ◢〗
『なら…そうさせてもらうよ』
僕はいつの間にかに変わった服…
自分のローブを握り締めた
『どこか…使ってもええ部屋ある…?』
〖◣……ゴ案内シマス◢〗
そう言って僕の前を歩き出した
相変わらず小さくて、宙に浮いている
音も立てずに進んでいく
目立った動きといえば少し上下に動くくらいだ
『……ねぇ…僕ってさ、ダメな人間なんかな』
〖◣ソウトハ思イマセンガ…何故デス?◢〗
『……だってさ……だって……誰も守れんのんじゃもん……
それに……こんなことしか言えんで……№0……主人公をできとるんかな……って……』
〖◣デキテイルト思イマスヨ……
1人の人間…◢〗
『…そっか…そうか…
それなら……ええわ…』
僕は足を止めた
そしてポンポンとペンギンさんの頭を撫でる
胴体と離れて浮いているからか
若干の浮遊感が手に伝わった
〖◣ナンデスカ?私ノ頭ハ遊ビ道具デハナイノデスガ◢〗
『ううん……別に…
ねぇペンギンさんっ!君、今日から僕の癒し担当ねっ』
〖◣ハ?断固拒否デ……◢〗
『いいから、いいからっ』
僕はペンギンさんの手を引いて
元の広間に戻り、紫に光る通路に向かう
通路の先の扉を開く
ガチャ……
『……僕っ、もっかいだけ…もっかい頑張る!』
〖◣ソウデスカ…
………………「もっかい」ッテナンデスカ
「もう1回」、デスヨ…国語何点デスカ?◢〗
『う、うっさいっ!て、テストは…30…』
〖◣雑魚……◢〗
『はッ!?』
僕は驚きの声を響かせながら
2度目の地獄へと足を進めた────
✧• ──────────── •✧
〖◣良インデスカ?◢〗
『……何が?』
〖◣留マラナクテ◢〗
『うん……良いんじゃ』
〖◣何ガ…良インデス?◢〗
予想外の質問だった
こうやって答えたことに対して、
「何が良いのか」…なんて、初めて聞かれた
普通ならば無言、あるいは「ふーん」だけ
それしか返事のしようがないのではないのか?
別の…この選択肢なんてあるとは思っていない
『ぇ……何が…って………………』
〖◣ナラ…何モ良クナイノデハ────
ソウ言ウノハ…意地悪デスカネ◢〗
『何も…良くない……?
何が………分からんよ……何がかは分からん
でも……良いもんは良いんじゃっ』
僕は胸を張って言う
また、どうでもいいで済ませたかったけれど
それは違う気がした
「どうでもいい」の一括りで言葉にできることではない
〖◣ソウデスカ……ソウデスカ…
ナラ私ハ止メマセン…
…止メマセンガ、呉々モ後悔ノナイヨウニ◢〗
『うん…大丈夫…今度こそは僕、
最期を幸せにしてみせる!!』
僕はそう言い残すと、直感のままに走って
ひとつの扉の前に立つ
そして大きく息を吸って────
カチャンッ……
ドアノブに手を掛けると
鍵の開く音がした
そしてもう一度息を吸う
ガチャ…ッ
1歩前に踏み出す
足元が軽くなる
『行ってきますっ』
〖◣……行ってらっしゃいませ…◢〗
ペンギンさんは周逸という…人間の姿で
頭を深く下げた
そしてもう一歩、二歩と歩き出す
後ろをふと振り向くけれど
周逸さんはまだ頭を下げていた
『……大丈夫…僕なら…大丈夫…』
僕は前にも言ったようなことを口にした
そして未来の光に向かって、飛び込んだ────
『ONEマイライフ!#28』を読んでくださりありがとうございますっ
前から目標にしていた8万文字…達成しましたぁぁっ!!投稿ができなくなる前に達成できて良かったですっ!!
夢が現実になったのは、皆さんのおかげだと思っています。本当にありがとうございます……っ
これからも何卒、よろしくお願いいたしますっ




