<#1 新たな生活>
『え!暦も成長するの!?』
『うん!そだよぉ、clone…と言っても生命体、でも限界があって、10代までしか成長できないらしいよ』
『えぇっ!何それ!じゃ、死んじゃったりするの?』
『んー、どだろ…分からないなぁ
そこまでは言われてないし
多分、死って言う解放方法を教えたくなかったんじゃなーい?』
『はぇぇ、、』
そんな会話が研究所の保管棟から聞こえる
幼い声
興味に染まった声色
カーテンが揺れる
『灯向って人間なんでしょ?』
『ー?うん、そだけど、』
『いやぁ、俺、最近生まれたばかりだけど、人間に憧れるなぁ…って』
№1は目を輝かせて№0を見つめる
№0は首を傾げる
『そう?僕も…あまり知らないの、人間』
『普通が…分からないって、言うのかなぁ』
陽の光に照らされて反射した光
壁に飾られた「2人の思い出」が輝く
『へぇ…ガッコウとかオカシとかって何?
灯向の記憶にあったやつ!』
『んー…学校はお勉強するところで、お菓子は甘いものっ、お菓子、僕も食べたことないんだぁ〜』
2人の目はキラキラとしている
幼い子供達
声も明るい
でも幼いその体には包帯が巻かれていた
『……静かに』
『え、、』
『来たよ、あの人たち……あ!怖がらなくていいよぉ?新しい子の紹介っぽい!』
『…な、なんでわかったの、、?』
『能力、』
№1は自分の目を指さして笑う
その瞬間、扉の向こうから声がした
『おい、新人だ』
『はーいっ、今行きますよ』
『立場を弁えろ№1、廃棄処分はいつでもできるんだぞ』
『怖いなぁ、スミマセン』
そう言って№1達は外に連れられた
またあのカフェのような場所
もう何度来たのだろうか
研究員がパラ…とカルテをめくる
『№5 ナイトメアだ』
いつものテンプレートのようなことを言う
そんな事を思いながら二人で部屋に入る
そこには大きな鎌を持った人影
目は包帯に隠れ、革の鞄を肩から下げていた
服装は白いオーバーサイズの半袖
そして黒いハーパン姿だ
『あはっ、お迎え来てくれたのぉ?』
男とも女とも言えない幼い声だ
少年だろうか、少女だろうか
そんなことを考えている間にその子は近付いてきた
『№0《オリジナル》、ヨロシクね!メアだよぉ〜っ、メアは案内係、あ!でもちゃんと戦闘能力も高いからぁ〜』
『メア…よろしくね、』
『よろしく!』
№0たちも挨拶を交わす
そして慣れたように№5は廊下を出て、自分の部屋に戻って行った
『№5…』
『実験体…子供たちは一度に最大二人作れるみたいだよー!この前ニンゲン達が話してるとこ聞いちゃった〜』
『へぇ…凄いね、じゃあ…暦の時ももう一人作られたの?それと…メアの他に№6の子がいるんじゃ?』
№0は首を傾げながら問うた
『だね…会ったりはしなかったけど気配はあった、今は何処にいるか分からない』
『メアの方も分からないなぁ…最大ってだけで、必ず作る訳じゃなさそうだしっ』
№1は飴玉を口に放る
コロコロと口の中で転がす音がした
夜になると部屋は真っ暗になる
光源はロウソクのみ
でも暦やメア、そして他の子が集まる
そのおかげで雰囲気はいつも明るかった
『のわぁぁっ、それメアの!』
楽しそうにトランプをしている
その姿をみて№0は微笑んだ
『メアのだけど、取ってもらわなきゃ進まないよ?』
『え!そうなのぉ?えぇ〜っ
ハート可愛くてお気に入りだったのにぃ』
そう言ってベッドに倒れ込む№5
扉の外で大人の声が聞こえる
『おい、静かにしろ』
『何時だと思っている』
研究員だ
一斉に静まる部屋
風でトランプが舞い、影を作った
『ごめんなさい、今…戻ります』
誰かがそう言った
そしてあっという間に部屋には№0のみが残された
『人間…人間はジブンカッテ…』
そう呟いて布団に潜る
№0自身が人間であることを隠すかのように…
朝は早かった
一瞬のように感じられた
『№0、起きろ、食堂に集まれ…飯だ』
『は、い…え、ご飯!?』
№0はガバッと起き上がる
直ぐに着替えて、食堂に急いだ
『№0だっ』
『メアっ…みんなも居る、ごめんさっき起きたの…待たせちゃった、?』
『大丈夫だよ、ほら、隣来てよっ』
№1と№5が間を開ける
『ありがと…っ』
『思う存分食え、終われば牢に戻れ、邪魔だ』
『言い方キツーっ、はいよぉ〜』
№5がブーブー言いながら返事をする
『いただきます…っ』
№0は手を合わせた
それを見て皆が不思議な顔をする
そして思い出すかのように
『あ、いただきます!』
と、手を合わせた
『えぇ〜っ、これ何ぃっ』
パスタやパン、白米をみて№5は鈴の音のような声を転がした
『美味しそうっ』
つられて№1も涎を拭う素振りを見せた
『これがパンって言ってね、フワフワしてるのっ、給食によく出たなぁ…そしてこれが白米!〝しゅしょく〟って言ってね、必ずって言ってもいいくらい、出るやつっ』
№0は楽しそうに話した
朝食は…食事は№0にとって、5日振りのものだった
『んぅ〜っ、おいしぃーっ!メアこれ好き!』
マカロンを食べた№5
リン…と聞き覚えのある音が鳴った
メアの鎌に括られた紐に着いた鈴の音だ
『…、』
№0の手は一瞬止まった
が、すぐに何事も無かったかのように動く
『どしたのぉ〜?』
№5が気付き、声をかける
『んー?なんでもないよ、綺麗な…鈴の音だね、僕好きだよ、鈴の音』
『え!でしょでしょ!メアの鈴の音ね、世界一だと思うの!えへへ〜っ』
『だ、だね、すごく綺麗だよっ』
№5は嬉しそうに両腕を上げて笑う
動く度にリンリンと鳴る鈴の音
(…今までメアが動いても聞こえなかったのに…)
『灯向!ほらこれ!!』
『んぐ!?』
№1は№0の口の中にカップケーキを突っ込む
『…っぷはぁっ、な、、ななな、何!?』
『これ美味しいの!これ美味しいんだって!ほらメアも食べろ!』
『ぬ!?』
そう言って№5の口にも突っ込む
『…な、なにこれ……え、うまぁぁあ!!』
口に欠片をつけた№5がその場で飛び跳ねる
『うまうま』
満足気な様子だ
周りを見渡してみる
もう№0の癖になっていた
席が二つ空いている
6人席…でも今ここにいるのは実験体の4人だ
2人…№1と№5とは面会があったが、もう1人とは会ったことはなかった子だ
(誰か…遅れてくるのかな…)
『ねぇ、そこって…誰?居ない子、2人いるよね』
『んー?あー、№6と№3の子だよ、№3は名無しの失敗作の子。№6はぁ…知らん!』
『失敗、作…』
(失敗作には名無しとして処理されるの…?)
失敗作、名無し、処理…
日に日に覚える専門用語
『え…その子達今何処、?』
『えとね、№3はこの前廃棄処分されたよぉ』
と、№5
『へ、へぇ…』
静けさが№0の頬を撫でる
鳥肌が立つ
自分も処分されてしまうのでは?、そう本能的に思う
(怖いな…怖い…数日ぶりの感覚…怖い…)
『あー!!もうだからぁぁっ
メアのやつ取らないでってばぁっ』
『いーじゃんっ!みんなで分けるの!
俺ら次の食事はまた5日後なんだわ!』
『そうだよ、死なないけど…お腹は空いちゃうっ』
『お前が独り占めしてたんだろがッ』
二人の会話が遠く聞こえる
(こんな暗いこと…やめだやめ…)
そう言い聞かせている
『大丈夫…ここに居る以上…操り人形だよ…』
そう言い聞かせなきゃ…№1は壊れてしまうと、信じた
『ONEマイライフ!#1』を読んでくださりありがとうございますっ
次回もよろしくお願いいたします!!




