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<#0 おはよう、僕ら>

静かな草原

深い森

温かな木漏れ日と日向

風はとても心地の良い音を奏でている

木陰は緑に優しく光っていた


「呼び出しだ、出てこい」

「№0」

檻の中

そんな檻の中とは思えないような白い壁

その異常な程の白が目立って目の奥にしみた

「……はい…今……向かい、ます…」

フラフラと虚ろな目

足枷の鎖がチャリチャリと静かな廊下に響く

裸足の足音は掻き消された

でも研究員のコツコツと気味が悪い揃った足音はハッキリと浮かび上がる

「………」

(どうして……なんで…僕が…)

どこを見ても白い壁

延々と続くような長い廊下

窓はない

青白い電気の光だけがやけに眩しい

「入れ、着いたぞ」

「今日はまた新しく兵器を作る予定日だ

理解しているな?無駄な抵抗は、よせ」

淡々とした口調

ここの人間は皆そうだ

頭に残る

別人の声なのに、全て同じに聞こえる

男も女も…

「…この前…作ったばかりじゃないですか…」

「……また…廃棄処分、したんですか…?」

無意味な質問だろう

わかっている

その子は廃棄処分《死》んだ

いや、殺された

「……始める」

ギラギラと焼き付けるような光源

ベルトで固定された身体

別に…抵抗する気は無い

もう、何百年と続けられていることだ

慣れている

研究員の手が視界を覆う


『よぉ、迎えに来てやったぜ』

朝日に町が白む

初夏の涼しい朝

1人の少年が駆け寄ってくる

『…陽輝君…おはよ……』

何度見たのだろうか

この景色、この声、この顔、そしてこの町

この性格も台本いつも通り

予定通りに進む日々

本当の世界なのか…リアル…

そんなの分からない

『どした?灯向、元気ねぇけど…』

『え…いや……なんでも、ないよ…』

朝日が照らす、人外じみた藍色の髪

今日は少し、青く見える

僕は…僕は1度全てを終わらせたはずだ

いや、罪人、と女神アイツが言ったっけ

何と謎すぎる人生だろう

僕はもう…良いんだ、なんて思っている

異世界、と呼ばれるところにも行ったっけ

(そんなこと…誰も信じないよね…当たり前か)

物語…僕の生い立ちのようなこの文字列

始まって直ぐに並べられた「転生者」の文字

バカバカしいよ

少年も、そう思う

『じゃあ今日も休み時間一緒に話そうぜ!

まだまだ先だけどなっ』

元気に笑う顔

灯向はその笑顔が大好きだ

表には、出さないけれど本音はそうだった

『…うんっ、もちr…ザザッ…

ボトッ

そんな音が陽輝の背後で聞こえた

振り返る

…そこには灯向のランドセル、そして

ボロボロになった…サイズの合わないあの子の片方の靴だけが残っていた

『は…灯向、、?』

呼吸の音だけがどこまでも広がる田んぼに響いた

  ⟡.──────────── .⟡

『ぇ……あれ…は、陽輝…君…、?え、?』

視界が変わった

自然に囲まれた町から目が痛いほどの白い空間に

まるで異空間だ

目の奥がしみる

痛い

『やぁ、灯向君、初めまして』

純白を身にまとった男が現れる

淡々とした…口調

気味が悪い

人間味が感じられぬほどだ

『警戒する必要などない』

『私はこの研究所の研究員、佐々木だ』

そう名乗る男は灯向に手枷、足枷を着けた

『ぇ…な、何で…?はっ、ち、違う…此処、は…何処…!は、陽輝君は…っ』

『仕方ない事だ、研究に必要なんだ

…陽輝……あぁ、あの子供か、情報処理済みだ』

冷たい目だ

まるで冷たい氷だ

『とりあえず…来い、早速…呼び出しだ』

『壊れてくれるなよ、折角の器だ』

(器…?呼び出し…?何…?こわい…こわい…)

訳も分からぬまま灯向は連れられた

窓もない、ただただ長い廊下

所々にある扉には番号がふられていた

「研究室58」の扉が開く

煌々とたかれた電気が白い壁を更に眩しく光らせた

『入れ』

言われるまま部屋に入った

未だ混乱している

ガタガタッ、ガチャ……

灯向の視界は直ぐに天井を向けられた

体はベルトによって拘束

白すぎて青く見える電気が視界いっぱいに広がった

『ぁ……』

『それでは始めよう、カルテは?』

『こちらです』

もう数人の白衣姿の大人が現れる

見た目に違いが分からない

シワひとつない白衣

淡々とした口調

何も変わらない

『実験#1、開始』

『っ…!!?あ"っ、ぁ…ぁぁぁぁあああ!!』

麻酔も無しに刃が肌を割く

痛い痛い痛い…

痛すぎてどこを切られているのか分からない

視界が涙で歪む

意識が遠のく

早く、早く意識を手放したい

『…終わりだ』

そんな声が数分もしない内に聞こえる

傷口が縫われ、包帯が巻かれる

痛い

『はぁ…ぁ"…は、ぁ…』

スッと視界が黒くなった

先程までの白さが嘘かのように


目を覚ましたのは何時間後だろうか

分からなかった

ただ、目を覚ました

『ぁ"…、、っ…』

頭が痛い…

起き上がって手を動かす

………思い通りに動く

『……!!』

傷を見る

…無い

痛みもなかった

『なん…で…?』

部屋を見渡す

先程の部屋とは違う

窓があった

淡い空色のカーテンが風に揺れた

ベッドは雲のように柔らかい

お洒落な机にカーペット

そして本棚には数冊の本がある

赤茶色、淡い空色、ベージュ…様々な色に満ちていた

見た事ないものを見たような気持ちだ

別の場所のようだ

扉すらも木造のようだ

まるで…まるでいつしかの記憶にあるような

貴族の小部屋のようだ

『きれい…』

そんな声が聞こえた

自分の声、そう認識するまでに時間がかかった

窓の外を見る

小鳥が鳴いていた

広い草原のようだったが、遠くには柵が見えた

木でできた先の尖った、可愛らしい柵

お隣さん家の庭の柵を思い出させた

中心には大きな木

木漏れ日が芝生を照らしていた

風が吹く

リン…と隣の部屋から聞こえる

窓が開いている

(誰か…居るのかな…僕、以外にも………)

窓を締める腕が伸びてきた

その腕はシワ1つない純白の袖だった

(…居るはず…無いか………帰りたい…

陽輝君に…会いたいな…会いたい…)

いつ帰れるのか、陽輝君に会えるのか、

そんな疑問が頭を過ぎった

1人は寂しかった

いつも…いつも1人だったのに

両親は灯向に関心はない

邪魔なだけだった

その時の灯向の部屋も、包丁の傷跡

窓を塞ぐ板を打ち付けた釘のあと

それでも…異常な程に白い壁だった

殴られて散らばる血は乾ききっていた

見たことも食べたこともない

〝チョコレイト〟の色

鮮明に覚えている

(……寂しい…鳥の声が…うるさいな…)

そんな事を最後に灯向は眠りについた


3日後───

『№0、呼び出しだ』

『……№…0…?』

『お前だ』

今までは灯向君、と呼ばれていた

なのに今日は№0…

もう、二度と名は口にしなかった

『ぇ…あ、はい…い、今行きます』

返事を返す

ベッドからおりて扉に駆ける

扉を開けると3日ぶりに見る廊下と壁

目の奥にしみる感覚が戻る

『…お久しぶり…で、す……』

『……』

『あ、、あの…僕はいつ、か、帰れますか…?』

『……』

何も返ってこない

声をかけるのは諦めた

そのまま後を着いていく

この前とは別の部屋に入った

そこはまた別の空間のような場所

カフェのような雰囲気だ

(…陽輝君の写真の…かふぇみたい…)

見回すと、椅子に1人の人影が見えた

幼い子供のようだ

『先日の実験で生成した』


『実験体№1 峰川 暦だ』


『実験…体…?』

(№1…僕は…№0、、ぇ…僕も…実験体…ってこと…?どういう…え…?)

『№1、コイツは№0《お前》の一部だ

お前から生み出されたからな』

『ぇ…』

『お前の感情、感性、夢、希望、光、憧れ…そんな無意味なものからcloneを作り出す』

淡々と説明する

その目には光なんてなかった

『作って…どうする、んです、か?』

『戦争に駆り出す

もちろん、お前もだ。〝コイツら〟には能力がある、それも殺戮に特化したものを付属させた』

灯向…№0を見下ろした

『だがお前はただの肉塊だ

これから能力は手に入るだろう

コイツらの能力はお前のものだ、だからお前も時差で手に入る』

研究所のような場所…ではなかった

ホンモノの研究所だった

どこまでも白い世界で、新たなる命が殺戮のため、戦争のために生み出されていく

そう、幼い№0は理解した

ここで生まれてくるものは人間では無い、と

『これからも実験をし、お前から新たに作り出す、仲間割れしては駄目だろう

仲良くしておけ、カルテには進捗を書くように』

パタッ、と薄い、まだ紙2枚ほどのカルテが

目の前の机に2冊置かれた

研究員はそのまま白い光の中に消えた


『…№0《オリジナル》、よろしくね』

緊張してるように見える

恐く№0と同い歳くらいだろうか

『よ、よろしく…君、本当に僕から…』

『うん、そうだよ、』

『……、、ね、ねぇ、番号呼び…なんか悲しいから…名前で、、呼ぼうよ…っ』

思い切ってそう、声をかけてみた

№1の表情の表示は「緊張」から「喜び」に更新された

『名前…うん…っ、君は灯向、でしょ?

君の記憶…受け継いでるからね

番号が若いだけ…君の情報が多く残るから』

『そう…なんだ、あ、そうだよ、灯向っ

暦は僕のこと、、なんでも知ってるんだね』

『なんでも…って訳じゃないけどね……』

№0と似た顔立ち

髪色は黒かった

長く、重い前髪の隙間から黄色い目

影の中で不気味に輝いていた

 『ONEマイライフ!#0』を読んでくださりありがとうございますっ

 初投稿作品となりますが、どうぞこれからも読んでくださると嬉しいですっ

 投稿は不定期ですが、あたたかすぎる程の目で見守っていてほしいです!

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