<#14 お引越し>
息が切れたまま
風はボクの声を乗せたままどこか遠くへと流れていく
果てしない景色の向こう側へと……
柵を掴んでいる手に力が更に籠る
軽く跳び、腕で体を持ち上げる
そして柵に腰掛けた
『どこか遠くに…行けたらな……』
そのまま後ろに体重をかける
もちろん背もたれも壁もない
あるのは澄んだ空気だけ
瞬きをすると天地が逆さになっている
空が足元へと流れる
風の音がする
内蔵が浮かぶ感覚…少し…苦手な感覚だった
今になって思う…怖い
落ちる
落ちる
落ちる…
怖い怖い怖い…
風が鋭く頬に触れる
痛いかもしれない
痛くないかもしれない
すぐに終わるかもしれない
終わらずに少し時間ができてしまうかも…
(……何…やってんだよ…っ)
ゴツッ
痛い…
痛い…
熱い…熱い…
……寒い…冷たい…
指の感覚…ない……
苦しい…痛い……痛い…痛い…
暗いよ…怖いよ……っ
『…カ……ニカ……』
誰かの声…
あぁ…見つかっちゃったのかな…
また……戻されちゃう…
……でも…みんなと居れる…
後悔したばかりだもん…みんなに…会いたい…
『ルニカ…!!大丈夫?怪我…してない…?』
幼い声だ…
ボクより歳下…かな…
ルニカ…?別の子かな…
もう…カプセル…いや、医務室かな…
『ルニカ…っ、お願い…起きて…起きて…!』
徐々に激しく体が揺さぶられる感覚が伝わる
…ボク……?
ボクは灯向だよ…ルニカじゃない…
人違いだよ…
『ルニカ…!!!!』
パチッと目が覚める
真っ暗だ…黒くゴツゴツとした壁が見える
光は足元の方から差し込んでいた
7歳くらいだろうか…
そのくらいの男の子が泣きそうになりながらボクの体を揺する
目を開くと安心したかのようにホッとため息をつく
『ルニカ、ルニカ…立てる?大丈夫?』
『っ………』
痛い…怪我している…
パチャッ…
濡れている地面に手をつく
『…あれ……?』
自分の手が異様に小さい
下手したら目の前の少年よりも…
『ルニカ…?』
首を小さく傾げている
『えと……ここは…?ボクは…』
『え、あっ、そうだよね…今目が覚めたばかりだもんね…
ここは村から数リョウ離れた洞窟だよ…
たった数リョウ…バレちゃうかな…』
そう言って頬を搔く
『……ボク…が…ルニカ……?』
『えっ?』
何言ってるの?と言うように声を落とす
『そう…だよ…僕の弟のルニカ…』
すぐに真剣な面持ちで言う
『…色々…あったもんね…ごめんね…
もう少し気遣ってやれれば…忘れなかったかな……』
そう言って抱き締める
小さな体はボクの体を包み込む
不思議な感覚…
少し耳を澄ますと、水の音がする
ポチャン…ポチャッ……ピチャッ…
ポタ…ポチャッ……
途切れ途切れにうめき声のような風の音もする
『……ルニカ、僕の名前わかる?』
悲しそうな表情表情で問う
首を横に振る
『…そっか……僕はテオ…君はルニカ…
僕の弟だよ、僕らは兄弟だ…』
そう言って僕の手を取り、自分の手を横に並べる
お揃いの腕飾りが着いていた
金に光る腕飾りは2人の腕には少し大きかった
『あ、怪我…痛いでしょ?包帯…解れちゃったね、巻き直すよ』
そう言って血のにじむ小さな手をボクの頭にのばす
『…うん…あ、あの…なんで……ここに…』
とりあえずは情報が欲しかった
だって…ボクは自ら死を選んだ
なのに目を覚ますと洞窟
歳も変わって名前も変わって…
ボクの兄弟だ、という人がいて
怪我もしている─────────
『……逃げてるの』
『…?』
『大人達から逃げてるんだよ…僕ら、殺されちゃうからね…
嫌でしょ?死にたくなんて…ない…
他の村や国の大人も一緒になってやって来るんだ…酷いよね……
頑張ったよ…僕ら、だって、何百といるはずの大人達から今も逃げ切れてるんだ』
そう説明する目には涙が青く反射する
洞窟の外では鳥の鳴き声がする
草木の揺れる音もする
洞窟によく響いて綺麗だった
『…なんで…殺されちゃ……』
『静かに…!』
テオが…兄がボクの口元を手で覆う
血の匂いがした
足音がする
大きな足音……
動物…ではない…
兄の言う大人か、?
そんな予感は見事に的中した…
洞窟の入口には人型の影が現れる
大きな体の大人…
逆光で顔は見えない
ただ、ガタイのいい、そして筋肉質なことは分かる
『最悪だ……見つかったかもしれない…』
小さな小さな、虫の足音のような声で言う
ヒタヒタと響く水の音
兄と自分の呼吸音がうるさい…
急な展開で混乱する頭を駆け巡る恐怖も重なった、言葉にできない感情
人影は今もまだ、ボクらを探しているようだった
『ONEマイライフ!#14』を読んでくださりありがとうございますっ
<雑談#5 (くらい!!)>
ONEマイ、長うなるかなぁ…なんて思ってたらその倍くらいにはなりそうな進め方にしてしまいました…
が!!書いてて楽しいので…これからもいっぱい書いていこうと思ってます!やっぱ楽しいが一番ですよね!
ここまで着いてきてくださった方々には感謝しかありません…っ、本当にありがとうございます!!これからも、末永くよろしくお願いしますっ




