<#13 時期外れの七夕>
『…はぁ……』
ため息
ため息
ため息ばかり
口を開けばため息ばかり
僕は何をしてんだろう
『…メアは行っちゃったし…僕は…』
無意識に立ち上がったからか、
瞬きをした瞬間に視線が高くなった
そりゃ…壊れるよ…
普通に…こんなところで半年も正常でいられたことに疑問だよ
僕だってただの子供で外の世界育ち…
知らない場所に捕まってさ…
瞬きをする度に視界が変わる
部屋を出て、廊下に出て、別の道から広間の先の廊下に出る
フルフルと頭を振る
『……疲れた…』
僕ははっきりとした意識を取り戻して歩く
何処へ向かおうか
いっその事、抜け出してしまおうか
ドンッ
『あ…ごめんなさい……』
曲がり角で誰かとぶつかった
咄嗟に謝って顔を見る
背が高くて顔を合わせるのに時間がかかった
見覚えのある顔…誰だっけ…
赤い髪……
『大丈夫か?すまんのぉ、俺もよぉ周り見とらんかってんな…』
『李…医務官……』
そうだ、李医務官…
由武が教えてくれた人だ
遠くからしか見てない人だけれど
『ん?知ってくれてはるんか?』
不思議そうに首を傾げながら頭を搔く
すると手にチェーンピアスが当たってチャリ…と音が鳴る
そして口元のピアスも目に入る
少し…怖い…
『ま、まぁ……』
『おぉ、そうかそうか、俺もよぉ知っとるで?お前のことをな』
そう言って長い足を折ってしゃがみ、糸目の顔を近付ける
『え…僕を…?』
『そうじゃ、医務官じゃからな、
いつか診るもんの情報くらいは知っておかな』
そう言って立ち上がる
『じゃあなぁ、俺はもう行くべ
仕事が残っておる』
そのまま長い足で、大きな歩幅で歩いてく
ぼーっと見ていたら李は立ち止まって振り返る
『あ、そうじゃそうじゃ…
お前も怪我したら俺んとこきぃな
手当しちょるけん』
手を振って医務室の方角を指さす
『あ…はい…ありがとう…ございます』
軽く会釈する
『どもー』
手を振りながら角を曲がり、見えなくなった
…また静かになる廊下は冷え冷えとしていた
誰か…№6を埋められる人は……
『…何考えてんのさ…
由武くんの代わりなんて…いないのに…』
(由武くんが悲しむだけだよ……)
『…でも…心の支えが欲しい…』
それは№5で…他の子でもいいじゃないか
『…誰かの声が聞きたい…』
それはみんながいるじゃないか
『笑えるかんきょーがほしぃ…』
みんなといれば笑えるさ
『……つかれた…にげたい…』
みんなが悲しむよ?
それでもお前だけ逃げるのか?
『…もう誰もナニもしないで…っ』
また忘れられたいの?
『ボクにはなしかけないで…』
また消えてしまいたいの?
お前は弱虫のままだ────────
『わかってる!!!』
気付いたらそう叫んでいた
自分の言ったことに自分で返して…
それを繰り返して、結局自分に叫ぶ…
なんて馬鹿らしい行動だろう
なんて無意味な行動だろう
なんで自分を愛せない
なんで
なんで
なんで
なんで
なんで
なんで…………っ
『…ボクはもう僕じゃないんだ…』
(いや…何言ってんだよ……ボクは僕だよ)
ボクは歩き出す
いや、走り出した
息が切れても走った
何度も階段を駆け上がる
真っ白な階段
ずっと同じ景色
全く同じ場所にある照明
全く同段数の階段
たまに揺れる視界を無視して足を動かす
ガチャ!!
思い切り扉を開く
屋上…
遠くに見えるのは森と、どこまでも続く草原
本当に日本なのか疑う景色だった
『……ちっ…何処もかしこも…っ』
ボクが言ったとは思えない発言…
もう嫌だった
自分を隠すのも、偽るのも……
『ボクは…僕が何をしたって言うんだ!!
幸せになろうとしただけだ!!
笑っていたかっただけだ!!
疲れた…だけなんだ……っ
もう全部全部消えちまえ!!
何もかも…!!!』
ボロボロと涙が溢れる
そう叫ぶ声も震える
何処か遠くまで響くはずの叫び声は
見知らぬ風に掻き消された
『ONEマイライフ!#13』を読んでくださりありがとうございますっ
なんだか最近まで#も1桁だったような…そう思いながら着々と進む執筆作業、灯向たちの感情にのって書くという作業も、読者さま方に読んでいただけているという事実も作者のモチベ上げにとても役立っております!
本当にありがとうございます!!これからも応援、よろしくお願いします!!




