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<#9 かくれんぼ>

『おかえり〜、お疲れ様ぁっ』

№5が抱き着いて出迎える

みんなはもう部屋に戻ったのか、居なかった

…№5の声はよく通る声だ

だからとても響いた

口調はとても№6に似ている…

いや、№6が№5の口調に似ているのか

……どうでもいいや

『…ありがとっ、今日は6人もいて…少し悲しくなっちゃった…』

大丈夫なフリをする

『あー、だから泣いちゃったの?

目、赤いよぉ…?』

そう言って№5は自分の目元を指さす

『…………うん、』

頷いてから笑ってみせる

『そっか!ならメアが撫で撫でしてあげるっ』

そう言って腕を広げるメア

ゆっくりと近付いて抱き締める

温かい

ドクドクと聞こえる心臓心臓(コア)の音


(……そういえば、僕の心臓もコアになったんだっけ…

僕ももう人間じゃないんだなぁ…)

違和感は何も無い

けれど僕のカルテには何を変更したのかが全て記されていた

…でも覚えていたくない

『……』

ギュッとメアの背の服を掴む

『大丈夫じゃないよね…悲しいよね…』

そう言ってくれる

耳元で聞こえる優しい声

でもいつものおちゃらけた声ではない

少し低くて重みのある声だった

『うん……うん……っ』


「おに…ちゃ…だい、す…き……」


由武の声が耳元で聞こえる

『……深呼吸できる…?そう…

ほら、少し楽になったでしょ…?』

背中をさすってくれる

さっきまで心の真ん中で渦巻いていたものが

解けていく感覚があった

『メア……、、メア…あの、ね……』

言うのが怖い

由武は本当は生きていた

なのに僕は廃棄管に落とした…殺したんだ

僕も…みんなも大好きな由武を僕が…

そんなの、口が裂けても言いたくない

怖い

『うん…なぁに…?』

そっと問う声

『…………怒ら…いや…怒ってもいい…っ』

怒るな、なんて僕は言える立場じゃない

殺したのは僕だ

由武と一番仲が良かったのは

今目の前にいるメアなんだから…

『…大丈夫…メアは怒らないよ……

とは言いきれないけど、言って…?』

そう言ってくれて少し安心する

『あのね……うっ…ひぐっ…うぅ…っ』

言おうとすると泣いてしまう

涙がこぼれる

泣き声で言おうとしていたことがかき消されてしまう


『灯向……大好き…大好きだよ…』


安心させようとしてくれるのか

メアが「大好き」と何度も言ってくれる

でもそれが返って心を締め付ける

『……ごめっ…なさぃ…っ…ごめんっ……』

早く言え

早く言ってしまえば楽になる

そして怒られればいい

そうすれば…そうすれば……


『……そっか…そうか…っ

………………ごめんね、勝手に読んじゃった…』


メアがそう言って僕の胸に手を当てる

心を読んだ…という事だろうか


『そっかぁ……もう…いないんだぁ……

もっと一緒に遊びたかったなぁ……』


声が震えている

ギリッと歯の削れる音

強く噛んでいるのだろう


『…………灯向…』


怒られる…そう思ってギュッと目を瞑る


『ありがとう』


次に聞こえた言葉だ

「最低」でも「もう嫌い」でも怒りの言葉でもない、感謝の言葉だった

『ありがとう…最後まで一緒にいたんだよね…

大好きって伝えてあげたんだよね

後悔も…したんだよね…っ』

震える声でそう言って抱き締めてくれる

『きっと由武ちゃん…喜んでるよ、

メア、分かるもん…大好きだから』

顔が歪む

包帯が少し滲む

メアが包帯越しに目を擦ると包帯が解れる

その隙間から覗く目は涙に濡れていた

真っ白な目だった

大きな傷がある真っ白な目

色素の薄い金髪が目にかかると、光にあたって白く見え、境目が分からなくなる

ツーっと筋を描いて流れる涙

でも笑っている

微笑んでいる

『ありがとう、灯向』

何度も何度も言ってくれる

でもすぐに笑顔が消えて大粒の涙がポロポロとこぼれ出して何度も何度も涙を拭った

『うぅ…っ…あぁぁ…っ…んぐっ…うっ…うぁぁ…っ』

声を上げて泣き出す

そして次はギュッと僕の服を掴んで床に膝をつく

それに合わせるように僕も膝をついて抱き締める

『会いたい…っ、会いたいよぉ……っ

ごめんね…ごめんね…うぁぁっ…ぁぁああっ』

いつものメアとは想像のつかない姿

泣いている

感情に動かされている

『由武ちゃん…っ…由武……っ…ゆん…っ

だいすきっ……大好きだよ…だから…………っ』

だから帰ってきて…そう言いかけたのだろう

僕も同じ気持ちだから

ここで生きている限りは…突然の死は当たり前となるのだろう

外の世界……


「死は救いだ」

そんな事をいつしか聞いたことがある

ここにいるみんなも、きっとどこかでそう思っているだろう

自然と感じることだろう

でも…死んで欲しくない

死んだら外の世界に生まれ変われる…

そう信じている

そしてこの研究所でもそう言われる


「死によって魂あるものは転生し、この世に戻ってくる…どこに、どうやって生まれ変わるかは不明だがな」


研究員が言っていた言葉だ

外の世界にも生き物はいる、それはみんな知っている

結果的に、死ねば外の世界に出れると認識している

だから自らコアを破壊した者や悪事を犯して研究員によって廃棄処分されに行った者もいた


その最終処分は僕の仕事だ

『……灯向は……死なないで…っ

ずっと一緒に…いて……っ』

メアが泣いて、顔を歪ませてそう言った

『うん…もちろん……1人にはしないよ…しないから……っ』

そう言って小指を出す

『約束、指切りげんまん…』

『……?』

『ほら、小指出して……?


 指切りげんまーん…嘘つーいたーら…

  針千本のーます…指切ったっ』

小指を絡ませてそう歌う

するとメアがふっと笑った

『あははっ…針千本飲まされたら困るなぁ…』

『ふふっ…ほんとだね…』

笑って互いの小指を見て、また笑う


✧• ──────────── •✧


今日もみんなは広間に集まっている

トランプで盛り上がっているみたいだ

№1の悔しがる声と№18の煽る声

『……ねぇメア』

『ん、なぁに?

…………どうしよっか』

№5が心を読む

№6のことを言うか言うまいか…

そう悩んでいた№0の心を読んで応えてくれた

『……』

(できれば…言いたい…伝えてあげたい……けど…)

『うん……そうだね…そうだよね、わかるよ

…でも、悲しませたくない…でしょ?』

№5の手が№0の手に触れる

そしてそっと握られた

『うん…』

頷く

『じゃあ……一旦保留にしてから…

そのタイミングが来たら言おう


大丈夫…メアがついてる』

ふっと微笑む

№0は頷くしかできない

でもちゃんと“僕”を知った「大丈夫」だった

だからこそ№0は安心して頷けた

声を出さずとも伝わるって、分かるから

『ん?あ、雑魚とナイメアじゃんっ』

№18が気付く

いつもなら…

(違う……悲しくなるようなこと思っちゃダメ)

自分の胸に手を当ててポンポンと叩く

その間も№5は手を握っていてくれた

『……ナイメアって何さぁっ!ナイトメアかメアって呼んでっ!

メアはメアなんだからぁっ


それに!灯向を雑魚ってゆーなぁっ』

人差し指を№18の頬に押し付ける

いつの間にか、№5の包帯はキチッと巻かれていた

『ん……由武は?』

№1がトランプのカードを引きながら聞く

『えと……』

やはり俯くばかり

『えっとぉ〜、なんかねぇ

別の施設に一旦お引越しだってぇ〜』

№5がそう言って隠してくれる

『引越し?なんで』

№1が不思議そうにこちらを見た

『さぁ?ニンゲンがそこまで教えてくれると思う〜?』

『……まぁ、そうだな』

納得…してくれたのだろうか

『少し…寂しくなるね…』

♢№12が小さな声で言う

そしてカードが揃ったのか、カードの束を捨てる

『そうね、メアもさぞ悲しいでしょう?

相方…双子が片方居ないのだものね…』

♡№12もそう言ってチラッと№5を見る


『そうだね、できることなら…“そこ”に探しに行きたいよ……』

№5はそっとそう言った

『あら、かくれんぼみたいね……ふふっ』

『かくれんぼ……?』

№5が首を傾げた

『えぇ、鬼ごっこの時のように鬼を決めるの

そして鬼になった人以外はバレないように隠れるのよ』

♡№12がそう説明した

『そして…鬼が隠れた人を探しに行くの…』

♢№12が付け足した

『かくれんぼ……

そうだね、まるでかくれんぼだよ』

そういう№5の鈴が弱々しく鳴る


『見つけられるといいな』

そう聞こえた

『お前が鬼…ってことだろ?』

№1が真面目な鋭い目で№5を見ていた

その目は全てを知っているかのような目だ


『なら頑張れよ、ナイトメア…お前が鬼だ』

№1がそう言うと№5は目を丸くする

そしてすぐにふっと笑う

『もちろん……』


 『メアが鬼だ…だから見つけてやるよ…』


 『キミが何処へ行こうと……メアは…』


あの子は何処へ行ったのだろうか

外の世界?

死の世界?

暗闇の世界?

まぁ…知る由はない


それでも⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯


あの子が止まることはない

見つけるまで探し続ける鬼(ナイトメア)

ずっと


ずっと


どこまでも


大好きな双子双子(生きる理由)を……

 『ONEマイライフ!#9』を読んでくださりありがとうございますっ!


 どうもこんばんは、こんにちは、おはようございま〜すっ!毎日眠いともです!

 聞いてくださいよぉ…っ、執筆は進まないのに、未来の分の文構成だけが進んでいくんですよ…。結果的には進まないんですよ…


 ストックもなくなり、更新するその日や前日に急いそと書き綴る日々…どーしやしょー…w

 なんか良い方法あれば教えて欲しいです…

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