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<#8.5 枯れた花の咲かせ方>

昨日はそのまま遊び疲れてみんな寝てしまった

いっぱい走り回って疲れるのは当たり前だ

朝が来るのは早かった

№0自身もすぐに寝付いてしまった

『……朝…いっ…き、筋肉痛……』

ベッドから降りて着替える

カーテンを開くと明るくて早朝の暖かな日が差し込む

でも、ここに収容された日と比べると十分暑い

夏だ

『灯向…起きてるかしら』

♡№12の声

『うん、おはよぉ…』

『えぇ、おはよう…今日は食事が用意されているみたいよ、一緒に行きましょ?』

食事……久しぶりのご飯……!!

『え!ご飯!?い、行く!!ちょっと待っててっ!……お待たせ!』

勢いよく扉を開いて廊下に出る

♡№12は微笑んで「気をつけて」と言った

後ろにいる♢ №12も少しびっくりした様子だった

『あはは…ごめんごめん…久しぶりのご飯で…驚いたのと、嬉しくってぇ…』

慌てて謝り、長い長い、食堂に繋がる廊下を3人で歩いた

何となくとても仲が良いと思っていたけれど、№12たちと歩くのはなんだか気まずかった


『……今日の朝ごはん…なんだろーねぇ…』

『さぁ…?パンなら持ち帰りたいわね』

きっとなんかの料理に使いたいのだろう

『な…何に使うの?』

♢ №12が「せっかくのご飯なのに…」と聞いた

『なんか…サンドイッチを作ろうって思ったの…パンで野菜や果物を挟むものよ』

両手で挟む手振りした

『へぇ〜…美味しそうっ、あーちゃんの作るものは…全部美味しい…けどね…』

少し耳の赤い♢ №12

(あ…あ〜…ふふっ…)

№0は♢ №12の思っていることを察して微笑む

(もしかしたらぁ〜…なんて、思ってたけど……ほんとみたい…)


食堂に着くとみんなワイワイしていた

『おはよ〜』

そう言うとみんなが振り返って笑ってくれた

『おはよっ!!昨日疲れたねぇ〜』

と№5が元気に笑う

『気づいたら寝ちゃってたよ、』

№1も続けて言う

『あーちゃん達もおはよぉっ』

№5が2人に駆け寄る

『あら、おはよう…朝からあなたは元気ね』

そう言って№5を撫でた

『えへへ〜っ…あっ!あっくんも撫でてほしそー』

№5が笑って悪気もなく無邪気に言った

『へっ!?い、いやっ……そんなことは……』

頬を赤らめ、両手を振って否定する

『あら……そうなの?』

『だから違うってぇ……っ』

♡№12の追い討ちがかかって♢ №12は更に顔を赤らめた


『あれ……由武くんは来てないの?まだ寝てる?』

食堂には№6がいない

きっとまだ寝ているのだろう

よく寝坊する子だった

『んー、多分2度寝じゃなーい?

でもさっきまで居たけどねぇ〜』

№5がそう言った

『俺は見てないよ?

あ、でも少し話した!めっちゃ眠そうだったから……寝てくれば?って言ったの


ご飯も部屋に持っていくよって言ったらありがとうって戻ってったよ』

№1もそう教えてくれた


『……そっか、メアも暦もありがと!

なら心配しなくて大丈夫かっ』

№0は安心して席に着いた

『いただきますっ……うまぁ…っ』

久しぶりのご飯に目を輝かせる

口に運ぶと、普通の白米でさえとても美味しいと感じた


しばらく食べて満腹になる

『ふぅ…いっぱい食べちゃったぁ…

おなかいっぱい…』

№5も満足気にお腹をさすっ 


  ᛝザザッ……ピッ─────……ᛝ


昨日聞いた音がまたスピーカーから聞こえる


 ᛝザザッ……ザッ…№0№0(オリジナル)


 至急保管室へ…仕事が入った……ザザッ…ᛝ


そう研究員の声がしてプツッと切れた

『えぇ…んー…えぇ、とか言っちゃダメだよなぁ…怪我人かな…何番の子だろう』

№0の仕事…カプセル保管庫に運ばれる怪我人の手当や死んで死んで(故障して)しまった実験体の片付け

研究員達の手が回らなくなると、こうやって呼び出される

(でもきっと数人だから…すぐ終わるかな…)

行きたくはなかった

顔を見たことも話したこともないけれど、仲間の死や怪我を見るのは苦しかった

『…行かなきゃなぁ…行ってきまーす』

『はいはい、行ってらっしゃ〜いっ』

№5が手を振って見送ってくれた


 ペタ…ペタ…ペタ…


裸足の足音が響く

靴はもう小さくなってしまった

当たり前だろう

10歳の頃から2年間使っているものだった

新しく買い与えることはされなかった


(それでも成長が遅い僕には…ピッタリだったし…最後のプレゼントって思えば嬉しかったし……そう思うともう履けないのは悲しいな)

ここここ(研究所)でも少しは服など与えられる

それだけで十分だ


カプセル保管庫の扉の前に着く

以前にも来た場所…

その後からここに仕事で来るようになったから、場所慣れはしている


 ギィィ……バタンッ

    ガチャ…カチャッ…

         キィィィ…パタン…


そんな金属の二重扉と鍵を開ける音が響いた

毎回毎回聞く音


 ピッ…ピッ…ピッ…

  ポコポコポコポコ……ボコッ…

   ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…


液体カプセルの中の気泡の音や機械音が不気味に大きく聞こえる

真っ青な光に包まれている

この音が聞こえなくなるのはきっと…

誰もいなくなる時だろうか

『よーし…始めるか…』


机に置かれているカルテを手に取る

1番上のカルテを開く


 -̀͏̗ 戦場で故障 ́͏̖-


と書かれている

(怪我だけじゃ終わらなかったのか…)

その子のカプセルの前に行く

青い光に当たって肌も青く見える

『……カプセルの電源落とす時がいちばん嫌いだなぁ…』

そう言って目を閉じて酸素や栄養の停止をした


 ピーーーーー ヴォン…


そんな音がして電気が消え、液体が流れていく

コポコポと空気の入る音がした


 プシューー……


最後にそう鳴ってカプセルが開く

『っしょっと……』

その子を背負い、廊下に出る

廃棄管は少し離れた場所にある

そこまで運ぶと蓋を開けると四角く銀色に光る管が見える

その中に入れる


その時に聞こえる、

人が管の至る所にぶつかっている音、

そして最後にドサッと最下部に落ちる音や

他の子に当たる音が嫌いだった

『っ……、、、』

耳を塞いで蓋を閉め、保管庫へ戻る

戻ったら2人目、3人目と怪我人の手当を終える

そして4人目、5人目とまた廃棄管に運び、落とす……


最後の1人になった

カルテを開く


 -̀͏̗ 廃棄処分 ́͏̖-


そう書かれていた

その番号のカプセルに向かった

1番手前のカプセル…晷が入っていたカプセルだった

(……ここってやっぱいちばん近くて入れやすいのかな……)

そう思いながら俯いて歩く

自分の足が地面に着いて…離れて…

それを見ているだけ

でもそれが今1番の現実から離れられる方法


ポコポコ……ポコポコポコポコ…


気泡の音が近付く

顔をあげる


      『え……?』


液体に揺られる№6が目に入る

思わず声が漏れる

カルテを開く


-̀͏̗ 廃棄処分 ́͏̖-


当たり前のように変わっていない

現実だ

なんで

何故急に?

急すぎる

戦争の時だって戦っていた

強かった

ならば消されるのは№0であるべきなのでは?

戦えなかった…戦わなかった№0が…


(え…由武くん…?由武……ゆ、え……?)


思考停止状態

(……っ…でも……やらなきゃ…感情は捨てろ……大丈夫、きっと…きっと悪い夢だ…)

自分に言い聞かせて感情をできるだけ手放した

『……』


 ピーーーーー ヴォン…

   プシューー…


手際よくこなしていく

淡々と、そして無感情

なんだか、研究員にでもなった気分だ

№6を背負って廊下に出る


冷たい

昨日抱きついて来てくれた時の温かさはない

徐々に心の中心で何かが渦巻く

視界に入るのは白い廊下と自分の足

そして№6の…由武の垂れ下がる両腕だけだ


軽い…異様に軽い…

つい十数時間前の重みなんてない

気持ちが悪いほどに浮かび上がった骨

遊園地の風船のような軽さ

虚ろな目は光を反射した硝子みたいだった


その目が視界に入ったとき、無意識に思った

(やっぱ…キレイな目だな)


立ち止まる

自分が言ったことが怖かった

その拍子でか、感情が戻ってくる

『ぅ……ぐっ…ふ…うぐっ……』

涙で視界がぼやける

すぐに着くはずの廃棄管までがとても長く感じた

何キロも何キロも先のように……


先程まで気にもしていなかったが

この廊下には窓があった

明るい光が僕らを照らしている

その光は希望というより…心に何かを刺した

痛い

息が上がる


『由武くん…ゆ…ん…くん…っ』

名前を呼ぶ

返事なんて返ってこない

『お願い…っ…ウソって言って…っ

嫌だ…いやだぁ…っ…ゆ、んくん…っ』

由武の足を支える手に力が籠る

弟のように可愛がって

兄弟のように一緒に遊んで、笑った

弟にしてはとても心強くて、よく支えてくれた

そんな人が消える

兄弟を1人失ってしまう

その事実が嫌だ、怖かった


廃棄管───

ようやく見えた

『っ……ごめんね……ごめんねぇ……っ』

蓋を開ける

そして背負っていた由武を下ろす

……廃棄管の暗闇をジッと見つめる

そこに入れるために再び担ぐのに時間がかかった


きっと15分くらい経っただろう

ようやく担ぐ

『……大好きだよ、由武くん…ごめんね……っ』

そう言って暗闇に落とした

目をぎゅっと瞑る


   『おに…ちゃ…だい、す…き……』


落とした瞬間だった

でももう手の届かない距離

そこで聞こえた小さな小さな声だった


『っ…由武くん…!!』

それでも手を伸ばした

届かないのは分かってるけれど

届くと信じたかった


 ゴンゴン…ゴン……カンッ…………ドサッ…


暗闇の底で聞こえる音

大粒の涙がボロボロと流れ落ちる

そして「もう無駄だ」と言うように蓋が閉まった

『ONEマイライフ!#8.5』を読んでくださりありがとうございますっ


 皆さんは花を育てたり、植えたりしたことがありますか?ともはあります!全て枯らせてしまいましたけれど!とても綺麗な花だったんですが…下手すぎて…

 どーしたら上手く育てられるんですかねぇ…育てられる方、尊敬しますっ


 そして今回のお話だ花か一輪枯れましたが…いかがでしたでしょうか、由武くんをどうしてもここで退場させたくて…色々やってたら謎の前編後編シリーズができてしまいました…っ

 それでもこれからも楽しんで呼んでくれると嬉しいです!日本語が下手っぴなともでした!!

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