ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた~
【あらすじ】
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』
俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。
レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。
「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」
レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。
それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。
「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」
狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。
その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった――
【感想】
あらすじで開幕ぶっこまれる「恋愛アクションRPG」なる新ジャンルが目につきます。何故混ぜた?
検索したところ該当するゲームがありますが、問題はそこではなく、なろう小説でまともな「恋愛」「ゲーム」要素を見たことがありません。大体主人公に都合がいいシステムになりますから。
主人公はその世界のキャラに転生するのですが、転生先が寄りにもよってどの選択肢を選んでも死亡する咬ませ犬でした。
そのキャラについて説明しますと、代々有名な剣士を輩出してきた名門貴族の四男であり、スキルガチャで剣聖スキルを得た兄たちと違い、タイトル通り【テイム】スキルを受け継いだため一族から邪険にされます。
追い詰められた四男は自暴自棄となり、スキルを使って家族を皆殺しにした上で主人公たちにも襲い掛かり、挙句の果てに魔王軍に殺されるという末路だそうです。
流石なろうですね。このキャラに対して「咬ませ犬」と形容するのは並の感性ではできませんよ。
ちなみに、スキルガチャ外す前は妾の子ということで余りいい目で見られてこなかったにもかかわらず、剣聖スキルを得て成り上がるために訓練に打ち込んでいたそうです。
どうやら、なろう作家的には主人公様に逆らった時点で碌な末路にならないという不文律を順守されているようですね。どんな凄腕の脚本家が手掛けたらこれで名作RPGになれるんでしょうか。想像もつきません。
ここまで読んだ方の中に「自暴自棄にならなきゃ死に直結しないんでしょ?だったら転生した身なら別に憂う要素なくない?」と思われる方もいるでしょう。
ナローシュ曰く、そのキャラのテイムスキルは普通のとは違い、家畜だけでなく魔物も効果の対象となるため、魔王軍に知られると目を付けられるそうです。
そのため、ゲーム知識を利用して力をつける必要があるそうですが、ナローシュに力を隠せというのは、猫に鰹節を預けるようなものです。
本編でも工夫の余地があるのに、隠そうとしないナローシュのムーブが見られます。
外れスキルを得たナローシュがどうやって強くなるかという話ですが、まあ、ナローシュに都合のいいようにできているゲームシステムを利用するというのは説明不要でしょう。
そのシステムが「深夜トレーニング」というものであり、一日が終了するタイミングでトレーニングしてパラメーターを伸ばす物です。
物語冒頭の時点では学園などにも通っておらず、仕事をしている描写もないため、昼にトレーニングして夜寝れば良いのでは?
と思いきや、ふつーに日中にトレーニングをやっています。
日中にやっているというか、描写が希薄すぎて昼やってんのか夜やってんのか分かりません。
訓練中に兄たちがちょっかいかけて来たので昼だと思うんですけど、その前に「【深夜】トレーニング」なる単語をわざわざ出してきているせいで読者を混乱させてきます。
訓練開始から1週間後に、兄たちが師事しているSランク冒険者の存在を知り、剣術の稽古を志願します。
冒険者は一目見て素質のなさを見抜き、指導を断りましたが、ナローシュがどうしてもというため試合形式で審査することに。
その結果、身体能力は最低限の上、剣の扱いは素人同然ですが、心意気が悪くないから合格だそうです。
心意気なら試合する前から一丁前だったんですがそれは・・・。ナローシュの特別扱いが始まりましたね。
で、心意気が良かったのか、ナローシュの話が冒険者を通じてこの国の第二王女に伝わり、興味を持った王女はナローシュに会いに行くことになりました。
ナローシュ目当てとは知らない父と兄たちは王女を迎えて剣術をアピールしますが、聞いていた話と違うと拍子抜けします。
ならば実戦を見せようとした兄たちは、立ち入りを禁じられている、魔物が跋扈する森に王女を連れて行きました。
その森には偶に強力な個体が出没する危険があるのですが、万が一遭遇したらひとたまりもないことを知っているナローシュ。かといって自らが出しゃばると目立ち、魔王軍に目を付けられてしまう。
普通に考えれば何が最善手か分かりますよね?
そう、父に報告する……ではなく、出しゃばって助けに行きます。
ナローシュは戦闘に役立つスキルを持たないため、努力してもスキル持ちに追いつく程度と説明されていたのですが、この時点で兄たちを凌駕する戦闘能力をもっているため、偶然遭遇したCランクの魔物を撃退します。
「いきなりCランクとか言われても、強さわかんねーよ」だって?私にもわからん。
今までSランクしか出てこず、具体的な等級の説明もなしにいきなりCランクだのBランクだの出てくるんですよ、この作品。
そもそもの話、なろう小説自体が過去に受けた設定のコピーのコピーのコピーみたいなものなので、ランクについても他の小説を読んで感覚を身に着けとけという作者からの叱責でしょう。
ちなみに兄たちが森に入ったのは独断ですが、父は監督不行き届きとして王女から叱責されます。
ナローシュが父に報告しなかったのはこの展開の為だったんですね。糞が。
王女を救出したナローシュですが、父にとっては外れスキルと知った時点で後継者候補から外したと公言したため、現状では「見る目がない」とみられて面子が保てない状態です。
かと言って第二王女に気に入られている現状で家から除名するわけにもいかない。
そこで父がとった行動とは……。
ナローシュを第二王女に婿養子婚させる
それによりナローシュを実質家から追い出す形になるうえに、王族との繋がりも作れます。
第二王女がナローシュに好意を抱いていると判明しているため、この作戦の成功率も低くないでしょう。
今まで散々ガバガバな描写や設定を積み上げてきたのに、ここに来て至極まともな展開です。ゴーストライターでも雇ったんでしょうか?
何にせよこの作戦により、父の面子は保たれるどころか、王族とも懇意になり繁栄しましたとさ。
はーい嘘です。
なろう小説が咬ませ犬に機知なんか与えるわけないじゃん。
本当は「強力な魔物に殺されることを願ってナローシュを森に行かせる」でした。
そのことを追及されたら「知らない、ナローシュが勝手に行った」で押しとおるそうです。
さっきそれやって王女から監督不行き届きと叱責されたんですが……。
総評としては、いつものなろう小説です。
ナローシュはシステムを超越する権限があって設定は陳腐化し、咬ませ犬はまともな選択肢を与えられず沈むのみ。実にテンプレに沿ったこてこてのなろう小説です。
この先は読む気にならないので、万が一気になったら読んでみてはどうでしょうか。




