暴虐な悪役貴族に転生したが、死にたくないので人を癒せないはずの闇魔法を極めて病気のヒロイン救います〜の感想
【タイトル】
暴虐な悪役貴族に転生したが、死にたくないので人を癒せないはずの闇魔法を極めて病気のヒロイン救います〜病弱なヤンデレヒロインをケアしたら主人公じゃなくて俺が溺愛された件〜
【あらすじ】
昔から病弱な俺は、死んだ後ゲームの世界に転生した。
主人公に断罪される、暴虐で傲慢な悪役貴族――ディアボロ・キングストン――に。
がっかりしたが、あることに気づく。
(この身体……健康だぞ……!)
やりたいことが全然できなかった俺は、思う存分新しい人生を楽しみたい。
断罪される原因は、俺が苦しめた病弱なヒロインたちにあったはず……。
固有属性の闇で、回復魔法の習得を決意。
前世の経験から俺自身の病気も怖いし。
凄腕の魔女曰く不可能らしいが、ゲームをやり込んだ俺は知っている。
過剰な努力で習得できることを。
必死に頑張っていたら、周りの人も少しずつ見直してくれた。
回復魔法を習得したら、ヒロインたちのケアをしよう。
体が弱いメイド、俺のせいで車椅子生活になった婚約者、不治の呪いに侵された王女様……。
命乞いのつもりで治しているのに、重く溺愛されるのはなぜ。
メイン舞台の貴族学園でも闇魔法で無双した結果、これまたなぜか主人公超えの英雄になっていた。
【感想】
本編開幕で「俺様様」という誤字から物語が始まります。
誤字かと思いきや、その後まもなく主人公が人格を乗っ取るまで3回も俺様様なる表現が出てきます。
最初の部分だけ読み仮名を付けている点や、感想で誰一人指摘する人がいない点から、最近できた新しいなろうテンプレなのでしょうか。その割には『俺様様』で検索しても何も出てきませんが……。
ゲームの咬ませ犬が自室で高笑いしていると、何の前触れもなくナローシュの人格がインストールされました。
元々主人公は病弱で、高校時代は病室でゲームをして過ごしていたそうです。
で、心電図モニターが平坦になった時の音を聞きながら死んだそうです。
開幕の誤字と言い、死んだときに聞く音を死にながら聞くなど、中々のなろうっぷりです。これは期待できるか。
転生し現状を把握するナローシュ。病弱なメイドを普段からこき使っており、最終的にそのメイドに焼き殺される末路をたどるそうです。
今までのパワハラを帳消しにしようとするナローシュですが、そのためにメイドの病気を治そうとし始めます。
従来の悪役転生物と比較して、至極真っ当な行動原理をお持ちのようです。
と思ったのも束の間、元キャラが持っている権力を使って医者を雇うのではなく、元のゲームのシステムで闇属性魔法を極めることで習得できる回復魔法で治そうとします。
「開放度★10」なる、何をどうすれば到達できるか分からない上に時間のかかりそうな方法を選ぶナローシュ。
そもそも、闇属性魔法は回復魔法を使用できないらしいですが、極めた結果回復魔法を習得できるって、ゲームのシステム的にもどうなんですかね?普通ゲーム最強の魔法が使用できると思うんですけど。
早速魔法の修行を始める主人公。実家の権力を使用し、最凶の魔女を講師として迎えます。医者を呼べや。
それに加え、実家にある「超成長の洞窟」なるエリアを使用し、疲労が五倍になる代わりに経験値の獲得スピードも五倍になるそうです。
読者の皆様はもう想像できていると思いますが、疲労なんてものはなろう小説において作者の胸先三寸でどうとでもなる要素ですので、作者が疲れてないと設定すれば疲れないヒロポン形式となっております。
肝心の修行シーンはどうかというと、「魔力で作ったボールを積み木のように積み上げる修行」となります。
なんでも、魔力の維持やコントロールを鍛える訓練らしいですが、光景を想像したらバランス感覚が鍛えられるだけにしか思えません。私の想像力が貧弱なのか、作者の描写に説得力がないかのどちらかです。
ちなみにどれくらいきついかというと、「両肩にボウリング球を乗せたままフルマラソンをさせられている」程度のきつさだそうです。
そんなことをやったら当然一日で潰れるものですが、一週間続けられたそうです。つまり、作者の描写に説得力がないってことです。
修行して2か月経過し、開放度とやらが★10とやらまで上昇しました。
単純計算で10か月で極められたことになりますが、ゲームなら長い道のりですが、人生だとぬるい世界です。
しかもやっていることが積み木遊びですからね。ナローシュは努力したと思っていますが、傍から見たら只の作業でしょう。
習得した回復魔法で早速メイドの病気を治療するナローシュ。まだ数話の為、当然話は続くわけですが、メイドを治療した話の次にメイド視点でナローシュを褒め称える話が続き、その次の話でメイドの父親視点でナローシュを褒め称える話が続き、またその次の話で師匠である魔女視点でナローシュを褒め称える話が続きます。
どういう経緯でナローシュをここまで持ち上げようとする意志が働くのでしょうか。正直恐怖しかないです。
メイドを治療したナローシュですが、他にも断罪される原因を抱えているらしく、その一人が婚約者でした。
なんでも、小さいときにナローシュと二人で森に遊んでいた時、冗談で小さな崖から突き落とした結果、車椅子生活を余儀なくされたそうです。
……普通は新しい話を書く際、前の話で出てきた解決策で解決できない問題を提示するものですが、これはなろう小説。
どうせナローシュさえ持ち上げれば、話を使いまわしても読者は評価するというのでしょう。
先に展開を言っておくと、案の定魔法で治療し歩けるようになるのですが、いくら謝罪とともに治療の申し出をしようとも、相手方としてはホイホイと受け入れるはずはありません。
本編でも申し出に対して帰れと返答しますが、メイドと師匠が弁明したらあっさり申し出を受けます。
言っておきますが、令嬢はメイドと師匠に(恐らく)面識はありません。
令嬢からしたら「お前ら誰だよ」と言わんばかりの立ち位置ですが、ナローシュのチートで解決できない問題に苦心するシーンなんぞ需要がないということでしょう。
なろう小説で求められるのは唯一つ、代り映えしない、ワンパターンな内容です。
メイド、令嬢と、バッドエンドの原因を努力という名の積み木遊びチートで解決した主人公ですが、まだまだ迷惑をかけたキャラがいるため学園へ通います。
そこで元のゲームの主人公と出会うのですが、原作のキャラと違い人間の屑のような性格でした。
何でかって?ナローシュを聖人君子に見せるためでしょうね。
その後はゲームと同様に学園生活の幕が上がるのですが、入学試験が終わり、オリエンテーションが始まったと思ったら実践様式の試験が始まりました。
何を言っているかわからないでしょうが、私も何を読まされたのか理解できませんでした。
授業は?訓練は?主人公が入学前にやっていた積み木遊びは?
まともにカリキュラムを組んだら、積み木遊び10か月でナローシュのアドバンテージが完全に消失するのでしょう。ナローシュを最強に据えるため、周りは雑魚のままでいてもらうという作者の考えです。
なろう小説かそうでないかを見分ける方法は簡単です。学校が学びの場か、ナローシュのイキる舞台か、どちらで描かれているかを見れば一目瞭然ですね。
今後はナローシュが人間の屑と化した原作主人公を尻目に暴れるだけの展開のため、特に語ることはありません。
久しぶりに感想を書きましたが、やっぱつまんねえわ。なろうは。




