隠れ転生勇者 ~チートスキルと勇者ジョブを隠して第二の人生を楽しんでやる!~の感想
【あらすじ】
ある日、勇者召喚が行なわれたが、主人公だけは転生してしまった。
容姿が変わった彼はトーイと名乗り、異世界を自由に生きることにした。
転生したトーイはひょんなことから売れ残った老婆の奴隷アンネリーセを購入する。そのアンネリーセを買って最期を看取ってやるつもりでいたが、アンネリーセの本当の姿は絶世の美少女だった。 その世界にはダンジョンがあり、トーイはアンネリーセと共にダンジョン探索をする。探索者として先輩のアンネリーセにアドバイスを受けつつトーイは徐々に成長していき、いつしか人類最強へと至るのだった。
転生したことでトーイが得た能力は、ステータスを自由に見る能力、ジョブを自由に変えられる能力、そしてユニークスキルの詳細鑑定とアイテムボックスだった。チートと言うほどチートではないそれらの能力を駆使してトーイは成長していく。
【感想】
およそ2か月ぶりになろう小説を読みますが、何というか、久しぶりに実家に戻ったら地元で奇妙奇天烈な奇祭が催されていたような感じでした。
あらすじの最初の行からして、「召喚したけど転生した」という、いくらあらすじといっても端折りすぎだろと突っ込みたくなる意味不明な文が出迎えてくれます。
で、なんか老婆の奴隷買ったら美少女になりましたとかいう、どうせ知ってたんだろというムーブを経て、特に目的もなく強くなりましたという無個性な終わり方をするのでしょう。
転生したら色々能力を得たそうですが、後々チートが追加されるんでしょうね。
本編ですが、おそらく主人公は他の人と一緒に勇者召喚され、中継地点として謎空間で女神と対面した際に、元々の世界とは別の世界へ送るよう要求しました。
主人公は元の世界ではどのような人物なのか、何故他の人とは別の世界に行きたかったのか語られませんが、読者が求めているのはチートで暴れる事なので書く必要はないということでしょう。
転生後は従来のなろう小説同様、冒険者になるためにパーティを組んだほうがいい
→奴隷購入がおすすめといういつもの流れなのですが、この小説の奴隷には人権があり、奴隷の意思に反して何かしらの行為を強要すると普通に法に触れるそうです。
しかし、その後の奴隷の説明では「容姿の良い子供は性的な需要があるから高い」とあります。
作者がこの部分書いていた時、恐らくジャニー氏の意思が入り込んできたんでしょう。そうでもなければ息をするように1話またいで矛盾したことを言わないでしょう。そう思わんとやってられん。
なんやかんやで奴隷を買うことにした主人公ですが、それまで「大豆みたいな原料から作った食べ物」みたいなざっくりとした説明しか無かったのに、奴隷については犯罪奴隷、支配奴隷、任意奴隷、借金奴隷などなど、作者の尋常じゃないこだわりが見えて軽く恐怖を覚えました。
相変わらず、「人権があって本人の意思に反したことはできない」に対し、行動を制限できる支配奴隷なるものが出てきました。感想で突っ込んだ奴はいないのか?確認する気は微塵も無いが。
主人公が最初目にしたのは老婆の奴隷ですが、なんでも魔法を暴走させてしまったために奴隷になったそうです。
老婆に関しては事故の可能性もありますが、犯罪起こして捕まっても金払って釈放されるシステムは治安維持の面からしてどうなんですかね。
それはともかく、老人の奴隷は労働力としてではなく、知識を目当てにするのが普通らしいのですが、何故か強制労働のために数日後に鉱山送りになるそうです。
老人が過酷な重労働に耐えられるはずがないため、主人公が買わなかったらあと数日の命だと、奴隷屋の主人は主人公に泣き落としもどきを仕掛けます。
主人公は自称お人好しの為老婆を購入しますが、こんな支離滅裂な話を耳にして違和感を覚えないのはお人好しではなくただの馬鹿でしょう。
ちなみに、奴隷屋の主人はこの場面の前に、盗賊から襲われていた所を主人公に助けて貰ったのに対しこの仕打ちです。
何故それほどまでに主人公がお人好しでは済まないレベルの間抜けに描きたいのでしょうか。最近のなろうのトレンドか何かか?
自称お人好しの主人公ですが、購入後に奴隷の老婆に船を漕がせます。悪人より自称善人のほうが反吐が出る好例ですね。
宿に戻った場面で主人公の転生前について語られますが、高校に通うも同級生から毎日暴力を振るわれていたそうです。
これまでの主人公の言動から、善人を自称しながら他者の癪に障る言動を繰り返した結果にしか思えません。
せっかく老婆の奴隷を買ったのだから、その知識を役立たせて貰おうとかほざく主人公ですが、その後主人公の能力により、分からないことを全部スキルが答えてくれるため、老婆の存在意義が僅か6行で雲散霧消しました。ギャグでやってんのか?
案の定、その後の展開で主人公は知ってるけど老婆は知らないという状況になりました。話作るの本当に下手糞だな……。
生活費のためにダンジョンに潜る主人公ですが、戦闘には参加させないといいつつ老婆を連れまわすという、徹頭徹尾奇行しかしない主人公に対し読んでてきつくなってきたので、突っ込みどころを掻い摘んで紹介することにします。
町の露店を回る主人公ですが、この世界の露店では粗悪品をぼったくり価格で販売しているそうです。
それに対し、「まともなものが売られているほうが稀だから」という理由で買う方が悪いというスタンスらしいです。
その説明の直後に「悪質なものは政庁に訴えることができる」と、さっきとどう状況が異なるのか、よくわからない説明が続きます。
挙句の果てに、「露店の主人が本物と信じて販売している場合は買った方の責任」と、この世界の治安維持能力から作者の頭脳が垣間見えてきました。
余りに考え足らずで治安維持が危ぶまれたのか、この世界では「レコードカード」なる、マイナンバーカードみたいなのが体に備わっており、それに犯罪歴が記されるために冤罪とかがほとんどないらしいです。
でも奴隷制のために疑似的に犯罪者が野放しになってるって?アーアーキコエナイ。
老婆についてですが、実は呪いをかけられており、本当は18歳らしいです。
従来のなろう小説なら買った直後に解呪されるのですが、この作品では13話まで引っ張ります。
が、ヒロインの呪いが解けるという、一般作品ならターニングポイントとなるイベントにしては登場が早い上、内容も「ダンジョンの隠し通路を偶然見つけ、その先に解呪ポーションを見つけた」という雑なものであり、その後も特に何か起きることもなくダンジョン探索を続けます。
全体的に設定の整合性だけでなく、話の流れも盛り上がりに欠け、「異世界」という未知との遭遇が肝となる舞台を設定しても、聞けばなんでもすぐに全部答えてくれる能力を乱用して探究の醍醐味を台無しにします。この作品に限らず、なろう全般に言えますが。
一章だけ拝見しましたが、やっていることがダンジョン潜って「ぼくのかんがえたげえむ」のシステムで強くなるの繰り返しが続き、最後に申し訳程度に盗賊団を壊滅させて終わりました。
その間の主人公の変化らしい変化は、当初怯えながら戦っていたのに、相手が盗賊とはいえ平気で殺人や拷問を行えるようになったくらいですかね。
成長どころか更生が望まれる主人公の時点で、この作品の程度が知れるというものです。




