断罪された転生聖女は、悪役令嬢の道を行く!~聖女のいない世界線、後悔したってもう遅い~の感想
【あらすじ】
「――偽りの聖女ルナ、貴様を火炙りの刑に処す」
そうしてルナは焼かれた。これまで助けた人々に、罵詈雑言を浴びせられながら……。
(あぁ、疲れた……。もしも来世があるのなら、今度は自由に……そう、小説の中の『悪役令嬢』のように自由気ままに生きたいな)
300年後、彼女は元の世界に転生し、絶大な聖女の力をそのままに伯爵令嬢の地位を――二度目の人生を手に入れた。
「もう誰かが困っていても、絶対に助けたりなんかしない。悪役令嬢に、私はなる!」
聖女学院に入学したルナは、聖女バレしないよう目立たず静かに過ごし――表の世界では『悪役令嬢』として、裏の世界では最強の冒険者『シルバー』として、悠々自適なセカンドライフを楽しむ……はずだったのだが……? 聖女の力はあまりに凄まじく、無意識のうちに注目を浴びてしまう。
一方その頃――世界には邪悪な魔王の手が伸び、人類は存亡の危機に瀕していた。追い詰められた人々はかつての過ちを後悔し、聖女の救済を求める。しかし、今更になってもう遅い。聖女は死んだ、否、彼らがその手で殺してしまったのだ……。
【感想】
主人公は聖女として人類のために働いていましたが、身勝手なお偉いさんに世界の混乱の責任の全てを押し付けられて処刑されました。
従来のなろう小説なら「人間はクソだから、宿敵のほうについて人類滅ぼす」系の話が始まりますが、本小説では処刑されて300年後の世界に転生します。
前世ではどんなに慈悲を振りまいても人類は傲慢だったそうですが、転生後は娘思いの老夫婦のもとに生まれ変わりました。
生まれ変わったというか、事故にあって魂が消滅した少女の体に主人公の魂が入った形になるのですが。
今後は老夫婦のやさしさに触れた主人公が聖女にふさわしい心を取り戻す物語になるんだろなぁ……。
転生後、主人公は自宅の書庫で前世で処刑された後の歴史を知ります。
なんでも、長年続いていた列強諸国の争いは主人公の処刑により収束し、一時的に平和になったそうです。
しかし、主人公という抑止力が無くなったのをみた大魔王とやらが出現して人類に宣戦布告し、人類はその生存圏を縮小するほかなかったそうです。
この小説のタイトルやあらすじを読んだら、普通は主人公が何かやっていたのを排除したせいで事態が悪化するものと予想していたのですが、なんと主人公が死んだら争いがなくなって一時的とはいえ平和になったんだって。
その説明だと数々の争いの原因が主人公にあったとしか思えないんですが……。
いくら主人公が大魔王とやらの抑止力だったといえ、その主人公自体が争いの元だったら排除した人類は愚かでもなんでもないだろ!?
でも生き残った人類は聖女の復活を望んでいるそうです。どういうことなの……。
死後300年の歴史を知った主人公ですが、もう一度聖女として活動するなんてことはなく、やりたいことをやるそうです。
何をやりたいかって?悪役令嬢だそうです。は?
前世で自分勝手で我儘な悪役令嬢の小説を読んで憧れたから、今度はそれを猿真似するつもりとのこと。
人々に嫌われて死んだというのに、生まれ変わっても反省とかせずまた嫌われることをするつもりなんでしょうか?
ちなみに元々の体の持ち主の少女のことですが、転生直後だろうが主人公は少女のことなど一顧だにしません。
両親から愛されて暮らしていた事は想像に難くありませんが、主人公は
>「……よく似ているなぁ」
と、外見を気にするだけで少女が送るはずだった人生について考えることとかマジでありません。
やってることは乗っ取りと何一つ変わりませんが、一番の問題はこの性格で聖女と呼ばれていたという事実です。
もしかしてこの世界では人を騙すことは挨拶みたいなもので、他人から奪うことを美徳とする文化なのでしょうか。
それならば文化に沿った行動と思考をする主人公は、美徳を備えた聖女と呼ばれていたとしてもおかしくありません。
それで何で人類の敵みたいになって処刑されたかって?ナローシュお馴染みの「また何かやっちゃった」んじゃ無いですかねw。
転生後まもなく王都のパーティに参加することになった主人公。
貴族の社交場であり、結婚相手を品定めする場ですが、アピールする令嬢たちに対し主人公は猿呼ばわりします。
が、他人の人生乗っ取りというやばいことを序盤でやったせいで、今後主人公が何しようとインパクトに欠けてただ退屈なだけです。
その後主人公は次代の聖女を選抜する「聖女学院」とやらの入学試験を受ける予定があることを知らされるのですが、聖女になる気がないのになぜか試験対策をします。
試験は筆記と実技であり、白紙の解答用紙を提出して何もせず突っ立っているだけで聖女にならずに済むのですが、筆記は馬鹿正直に回答するわ、実技はナローシュのテンプレ通り力加減を間違えるわで結局合格します。
当然ですが、冒頭で聖女になりたくないという方向性から考えが変わるイベントなど何一つ経ていません。
かと思えばいきなり冒険者になりたいといってお忍びで冒険者登録したりと、話に流れがなさ過ぎてもはや寝る前の妄想と称する以外の表現が思いつきません。
読み進めると聖女を目指す令嬢や、聖女を熱望する聖騎士などまともなキャラが出てくるのですが、増々主人公の存在が不要に思えてきます。
総評ですが、いつもの邪道主人公でした。以上。




