45歳社長、転生先でハズレスキル「綻びの目」を武器に没落領地を再建するの感想
【あらすじ】
仲間に裏切られ、会社を奪われかけた45歳の経営者は、過労の末に倒れた。
次に目を覚ました時、彼は異世界の没落領主の息子になっていた。
だが、12歳で授かった神授スキルは、最悪のハズレと呼ばれる《綻びの目》。
人や物や組織の“壊れる前兆”が見えるだけ。
歴代の所有者も、見えるだけで何も変えられず、嫌われ、潰れ、消えていったという。
――だが、それがどうした。
前世で人の裏切りも、帳簿の歪みも、組織の腐りも嫌というほど見てきた男にとって、そのスキルはむしろ最高だった。
腐敗した家臣、横流しされる物資、崩れた徴税、終わったと思われた領地で、ハズレスキルは最強へ変わる。
これは、壊れた人生をやり直す男が、《綻びの目》と経営者の知識で領地も組織も再建していく異世界逆転譚。
【感想】
いつものなろうのように、十二歳になると神からスキルを授かり、それにより将来の進路が決まるそうです。
その説明の内容ですが、本文を抜粋すると
>剣を授かれば騎士。
>火を授かれば魔術師。
>回復を授かれば神殿か医師。
多分剣術の才能、火属性魔法の才能、回復魔法の才能と書きたかったんだと思うんですが、一話目の開幕からこのような省略がみられます。なんで建築物にされるんだよ。
掴みからこのような書き方、読者を信用しているのか、はたまたなめているのか。多分後者だと思う。
で、授与されたスキルは《綻びの目》といい、人や物、果ては組織や国が壊れる前兆が見えるそうです。
なのですが、従来のなろう小説における【鑑定】スキルとほぼ同等の性能をしており、耐久値どころかその人が嘘をついているかどうか、忠誠度や敵意も見れる優れものとなっております。要するにいつもの能力の拡大解釈です。
そんな万能な能力ですが、一般的には外れスキル扱いのようです。
理由は、「人の悪いところばかり見えるから」「倉庫の痛みや帳簿のズレばかり指摘しているから」「戦場で敵のスキが見えても自分で突けないから」だそうです。
1個目は本人の性格が絡んできそうですが、残りは本人の能力を使いこなせない周りに問題があると思うのですが……。
何でこのような評価になっているのか、それはテンプレにある「外れスキルを授与されて周りから蔑まれるけど、主人公だけは有用性を理解している有能」という表現をしたかったのだと思います。
スキルを授かった主人公ですが、早速使用してみたところ、筆頭家臣であるバスクの忠誠心が欠けており、さらに保管庫から物資を横流ししていることが判明しました。
しかし、さすがのなろう小説でも、スキルを根拠にした告発に走らず、証拠を固めて裁くつもりのようです。なんか作品のいい点みたいな書き方をしましたが、それすらできず都合良く解決するのが標準的ななろう小説です。
早速、物資が横流しされているとされている北の倉庫へ赴く主人公。倉庫を直接見ただけで、どの品がどれくらい帳簿と異なるかが判明します。
実際に調べたところ、確かに誰かが内部をいじった痕跡がありました。が、主人公はスキルに対し
>《綻びの目》がクズスキルと呼ばれてきたのは、間違っていない。
と、何故か酷評します。
何故かって?見えるだけであって、証拠を集めないと意味がないからだそうです。
スキルを使用せずとも同じ結論にたどり着けるならともかく、スキルのおかげで保管物が横領されていることやその場所、人物が一目でわかった上でこの発言である。
例えるなら、自分で絵を描かないといけないから、絵の具は使い物にならないと言っているようなものなんですが。まだ3話の段階ですが、この作品の方向性が見えてきました。
で、暗殺されかけたりしつつも、スキルを駆使して証拠を集めます。スキルを駆使して、ね。
集めた証拠を大人数の前で突きつけ、黒幕であるバスクを告発するという流れなのですが、その際に提出した証拠が
>切られた鞍帯。
>北倉庫の帳簿。
>裏帳簿の焼け残り。
>父の薬碗と、レナの袖から出た紙包み。
>灰色外套の男が持っていた、王都の闇取引に通じる符牒。
上記になりますが、正直これで告発するには証拠が足りないと思います。
切られた鞍帯は、主人公が事故に見せかけて暗殺されかけた時の証拠ですが、犯人を特定するものではありません。
北倉庫の帳簿や薬碗も、帳簿の改ざんや父の毒殺の証拠であり、実行犯もバスクから指示されたと証言しておりますが、証言の裏付けはなくバスクを陥れるための虚言と言われたらそれまでです。
(というか、伝言役を介さずに本人が直接脅迫したのか……国を裏から糸を引く黒幕としては浅い敵ですね。)
王都の闇取引に通じる符牒というのも、主人公暗殺の命を受けたものであり、首謀者の特定もスキルがなければ確信できません。
裏帳簿の焼け残りとは、バスクが裏帳簿の一部を焼却したものであり、証拠としては一番有力と思われます。しかし、この帳簿は6話で黒焦げになるまでちゃんと焼いた描写があるにもかかわらず、8話で提出された際は焼け残りの状態で提出されました。
時々、探偵もので真犯人にボロを出させるために、偽の証拠ではったりをかける場面が見られますが、なろう小説では犯人を追い詰めるために作者が証拠を改竄します。
こんな物でもランキングに乗れてしまう現状、やはり期待するだけ無駄でしたね。
で、上記の証拠と状況証拠を揃えた結果、バスクを告発し無事裁くことができましたとさ。
バスクは王都に移送され司法院にて取り調べを受けることとなり、主人公が集めた証拠も積まれましたが、そこにバスクが処分しなかった裏帳簿の残りはありませんでした。
いや、なんで出てこないんですかね?どう考えても決定的な証拠なうえに、都合よく処分されなかったんですよ?なんで伏線を回収せずに改竄したんですか?
その後は荒れた領地を復興するパートへ移るのですが、スキルはデータだけでなく、解決のための選択肢まで提示するようになりました。
そのうち、オートモードとか言って解決のために主人公が自動で行動できるようになるんじゃないですかね、知らんけど。




