ゴミスキルから始める異世界英雄譚 ~〖○○〗がインストールされました。つまり無敵です!~の感想
英雄ってのはさぁ...英雄になろうとした瞬間に失格なのよ。お前、いきなりアウトってわけ
【あらすじ】
書物など記録媒体の情報を読み取り、記憶するだけのゴミスキル『インストール』。他に取柄もない雑用係の青年レオルスは、所属するギルドのボスに一か月後のクビを宣告されてしまう。
自身とは違い出世する同期のカインツと共に、最後のダンジョン攻略に挑むレオルスは、世界に名を遺す冒険者になるため、この機会になんとか成果を上げようと奮闘する。しかし、一同を襲った凶悪モンスターを前に、仲間に裏切られ囮にされてしまった。
絶体絶命の窮地、それでも夢を諦めたくないと叫ぶレオルスの前に、美しく可愛い不思議な少女が現れる。
彼女はこう名乗った。
私の名前はライラ。
世界図書館の管理者だ!
今ここに、新たな英雄譚が始まる。
【感想】
あらすじを読んでこう思った方も多いのではないでしょうか。
「このスキルがゴミ扱いって、覚えたことをすぐ忘れるの?」と。
最序盤で分かりますが、このスキルを使えば書物に触れるだけで一瞬で内容を暗唱できます。
また、決して忘れることがないため、小説にこのスキルを使うことはないそうです。
このスキルを得た主人公は、あろうことか冒険者を志しました。
しかしどれほど努力しようとも武術の才は開花せず、ギルド内で荷物持ちとしてこき使われており、1か月後のクビを宣告されました。
が、ギルドメンバー曰く、秘書や事務仕事なら雇ってくれるかもしれないそうです。というかそれが当然だろうよ。
物語冒頭で「世界は不平等だ~」だの、「環境や才能で左右される~」だの親ガチャ理論を語って自身の人生を悲観していますが、主人公の場合はどう考えても明らかな才能をまるで生かそうとしないという、遠回しに親ガチャ理論を馬鹿にしてんのかとしか思えない行動をとりやがります。
本作品も冒険者は一獲千金を狙える職業として描かれていますが、富や名声を得て何かをしたいといった主人公の目標も語られません。
読者に疑問点を植え付けておいて、やることはテンプレという、手抜きにもほどがある作品となっております。
無能だとギルドから1か月後にクビを宣告され、失意の中パーティとともにダンジョンに潜る主人公。
そこで思いもよらない強敵と遭遇し、主人公は囮として見捨てられます。いつもの。
モンスターに襲われた衝撃で下の階に落下した主人公ですが、落ちた先で本が飾られた黄金の祭壇を見つけます。
その本に触れると少女が出現。彼女は自身を世界図書館と称しました。
なんでもあらゆる世界線の英雄譚が記録されており、主人公が接続することで様々な英雄の戦闘力が身に着けられるそうです。
それどころか、何度も使えば英雄の技能を真似できるようにもなるそうです。
どう考えても何かしらデメリットがあるようにしか思えない設定ですが、なろうだからそんなもんありません。
今後は力の源である少女と行動を共にするのですが、2人の間に信頼や友情といったものはなく、お互い力を貰って守ってもらう利益だけの関係です。この評は私の悪意ではなく、実際に作中にそう記述されております。
更に主人公は少女から力を貰っているにもかかわらず、ダンジョンに潜った際「お前何もしていないな」と発言します。
本当に役に立たないから役立たず呼ばわりされていたやつが、人の役割を理解できず役立たず呼ばわりする状態です。
なろう小説なので当然と言えば当然ですが、どれほど周りを性悪に書こうとも、作中一番のクズ野郎は間違いなく主人公です。
チートによりダンジョンを攻略し、地上へと脱出を果たした主人公。
ダンジョン攻略の証であるボスモンスターの結晶を手にギルドへ帰還します。
早速ギルマスに報告しますが、開口一番クビを宣告されます。
長期間ダンジョンに潜っていたので時間の感覚がなくなっていましたが、既に1か月経過しており、契約期間を過ぎていました。
しかもパーティメンバーの虚偽報告により、主人公が逃げ出したことにされていました。
主人公は弁解し、ギルマスも話を聞く姿勢でした。そのため、ポケットの中の結晶を見せれば何よりの証明となるのですが、
>きっとボスは結晶を見ても、どこでそんな偽物を用意してきた、とか言うだけだ。
>鑑定する方法は冒険者組合の屯所にしかない。
>ここでボスに結晶を渡せば、確認して本物だと気付くだろう。
>その時どうするか?
>最悪の場合、カインツたちの手柄として奪われてしまうかもしれない。
と、根拠ない妄想を炸裂させて弁明をやめます。
「もしかしたら直感でギルマスの悪意を感じたかもしれない」と苦しい言い訳をする方もいるでしょうが、その後ばったり遭遇した、主人公を囮にしたパーティリーダーにはホイホイと結晶を見せつけ、予想通りリーダーは結晶を奪おうとします。
類まれな記憶力を持ってても役に立たないとされる冒険者を目指したり、身の潔白を証明する重要なアイテムの使いどころを誤ったりと、この小説の主人公に対する知能デバフは群を抜いていると言って差し支えない状態です。
ギルドをクビになった主人公ですが、そのまま別のギルドに属して実力(笑)を認められても、どうせギルドのために利用されるのがオチだからと、自分でギルドを設立することを決めます。
やってることがいじめっ子になりたいいじめられっ子そのままで笑っちまうよ。
ギルド設立にはメンバーが5人必要なのですが、作者から作中最強の称号を賜った主人公様は、先ほどの結晶を受付嬢に提示し、実力があるからと1か月以内にメンバーを見つけることを条件にギルド設立の許可を貰いました。
スキル、ギルド設立と早くも主人公に2つも特権が与えられましたが、まだまだ付与するつもりなんでしょうか。
メンバー集めですが、ギルドから候補者が提供されるそうです。最初に申請したときはそんなサービス無かったのにね。特権3つ目だね。
集まったメンバー?当然全員女だよ。
しかもそのうちの一人は名家の令嬢であり、パーティメンバーに加えたおかげで実家から豪邸を貰えました。
今後はそこを拠点として、最強のギルドを作るのが目標だそうです。
しかし、棚ぼたチーターが駆け出し冒険者に何を教えられるのか、そんな疑問など糞くらえと言わんばかりに主人公のワンマンチームが形成されます。
流石の作者もチート持ちの主人公にふさわしい強敵を出さないとつまらないと気づいたのか、突如「主人公のチートは、とある世界の脅威に対抗するための力だ」という設定がいきなり湧いてきます。
その脅威の名は星食いといい、数多くある世界を飲み込んで消滅させるという、なろうらしからぬスケールのでかい敵が登場します。
得体のしれない敵を相手に主人公はどう戦うのか……などと風呂敷を広げますが、不気味な生態に反して普通に物理攻撃や魔法が効きます。なので尖兵とはいえ、主人公のチートで普通に撃退できます。
ちなみに星食いに食われた人間、特に負の感情が強いものはゾンビのようになり人間を襲うそうです。
本作品でも主人公が見知った人間がそれによって襲ってくるという展開が描かれますが、その役に割り当てられたのが寄りにもよって主人公を囮にして切り捨てたリーダーでした。
登場キャラの中で文句なしに一番ぶった斬るのに躊躇が要らないキャラですが、何故か主人公は葛藤しながら斬り捨ててファッショントラウマを背負います。
色々されても許すという主人公の度量を描きたかったのでしょうか。その前にチートを我が物のように扱う振る舞いをどうにかするべきです。
星食いを撃退するも、実はそれは只の上澄みに過ぎず、もっと力を持った本体が存在することが明かされます。
しかも星食いは攻撃を学習するため、主人公が先ほどの戦いで利用した英雄の攻撃はもう通じないそうです。
その上、実は主人公が利用できる英雄は実は無尽蔵ではなく、これ以上他の英雄を引き出して戦うことはできないそうです。おいおい、そんなに風呂敷を広げていいのか?
それに対する解決策ですが、他の人に英雄の力を移して力を行使するそうですが、当然、力を行使するのは移された人ではなく主人公です。
で、移す方法は性交……ということでパーティメンバーの少女3人に手を出します。吐き気がしてきた。
そんな設定とは裏腹に、ラスボスはわずか400文字足らずで撃破。5分しか力が得られないという設定のせいで、やたらスケールを広げた割に瞬殺して拍子抜けです。
ですが、倒したのは複数体いるうちの一体だけ。今後も襲ってくることが予想されるそうです。
その度に少女の貞操を捧げ続ける必要があるのですが、そんな事など知らんとばかりに「俺たちの英雄譚はこれからだ!」エンドを迎えました。
総評ですが……これ英雄をテーマに書いてるつもりなんですかね?
確かに終盤は取ってつけたラスボスを倒して世界を救ってはいるものの、それまで降って湧いたチートを我欲の為にしか使ってないじゃん……。
作中で英雄から初めて力を借りる際、その英雄の一生が簡潔に紹介されるのですが、半分は最終的に自身と引き換えに世界に影響を与えています。
で、主人公はどうかというと、失ったのは童貞といじめっ子くらいで、反対に名声、豪邸、ハーレム要員、貴族の後ろ盾などなど贅沢すぎる程のものを得ました。
これがなろう式英雄ですか、面白くないどころか反吐が出る。
なろう作家はさっさとプレステを買ってワイルドアームズ2をやって来いと言いたい……が、なろう脳にあのストーリーは難しすぎるか。そのままなろう内で燻っててどうぞ。




