メイド、地獄の戦場に転送される。 ~固有のゴミ収集魔法で、最弱クラスのまま人類最強に~の感想
【あらすじ】
魔獣との戦争で人類は劣勢に立たされていた。
メイドをしている私、オルセラも、いつかは戦う力を身につけて戦場に行かなきゃならない。
だけど、そんなのはずっと先のことだと思っていた。
ところがある日、不慮の事故で私は戦場へと転送される。
ただ一人、最弱クラス【メイド】のまま、武器も防具もない。あるのはゴミ固有魔法〈人がいらなくなったものを呼び寄せる〉だけ。
しかし、何の役にも立たないと思っていたその魔法が思わぬ進化を遂げていく。
「ちょっと待って! こんなものまで呼び寄せちゃうの!?」
この物語は、ゴミ固有魔法で地獄の戦場を生き抜き、最弱クラスのままやがて人類最強の戦士へと至る、私の戦いの記録である。
【感想】
主人公は15歳のメイドで、女王に仕えていました。
しかし、女王の決断により主人公はメイドから戦士にクラスチェンジさせられました。
なんでも人類は現在、魔獣という外敵と戦争状態にあり、戦況は悪化の一途をたどっていて、どの国も逐次戦力を前線に送り込んでいるそうです。
だからってメイドを前線に立たせるのはどうなのって話になりますが、あらすじを読んで察する通り、この作品は【ぼくのかんがえたげえむ】系の作品である為、クラスとやらを変えてレベルアップすれば元メイドでも活躍できるそうです。
裏を返せばキャラクターの個性が薄くなるということですが、なろう小説ではもとより「主人公」「主人公の手下」「主人公の敵」の3種類しか基本的に存在しないため問題ありません。
女王から下知を受けた後、主人公は戦場に送られる先輩メイドを見送りに行きました。
戦場に行く方法ですが、城の地下にある光の球体が転送装置となっており、それに触れると戦場に送られるそうです。
が、主人公はボケーっとしていたため、無意識に球体に触れ、戦場に転送されてしまいます。
球体の周りを柵で囲うとかの最低限のフールプルーフは無いのかという突っ込みどころですが、意図せず戦場へ転送されたのは主人公が初めてだそうです。
じゃあこの展開になっても仕方ありませんね。その代わり主人公は作中最大のマヌケなキャラと言われても仕方ありませんが。
戦闘能力を一切持たずに森の中に送られた主人公。
近隣の街へ移動するため慎重に行動するも、魔獣に見つかりピンチになります。
藁にも縋る思いで固有魔法の「人が要らなくなったものを呼び寄せる」を使うと、魔法武器と呼ばれる大型の銃を呼び寄せ、一発で魔獣を撃破しました。
そんな強力な武器がなんで「要らないもの」判定されているのか?それは主人公の魔法はすでに所有者が亡くなっている場合でも発動するからだそうです。
なので、後は作者が主人公の周りに伝説の武器を持った勇者や賢者の遺体を散布すれば、強力な武器で魔獣を殲滅してハッピーエンドとなります。
極端な例を出しましたが、主人公の能力が作者の胸先三寸でいくらでも拡大解釈が可能な類なので、間違っているわけではないと思います。
その後再び魔獣に遭遇する主人公。
先ほどの銃は弾切れのため、再び魔法で呼び寄せると、めちゃめちゃ強い少女を召喚しました。
少女は魔獣を一撃で屠りましたが、それほどの実力者なのにチームを追放されたそうです。
何故かって?一人で突っ走っちゃうからだそうです。だからなんだよ。
確かに単独行動するメンバーはチームの輪を乱すタイプと言えばそうなのですが、実力があるにもかかわらずクビにせざるを得ないような失態が説明されません。
説得力のない設定によって主人公が利益を得る展開、まさに茶番としか言い表せません。
先ほどの私の極論は間違っていなかった。
街にたどり着いた主人公と少女ですが、道中で狸のような小型の魔獣とともに行動していました。
しかし、町に魔獣を入れることは当然できません。戦争相手だしね。
それに対し、魔獣との契約書とやらを使い、主人公と狸魔獣は主従契約を結びました。
魔獣と存亡をかけた戦争しているのに、なんで魔獣が人間に仕えようと思うんですかね?
主従契約の為、お互いに同意しないと契約できないらしいですが、むしろここはなろうおなじみの奴隷契約の方がよっぽどしっくりくると思いました。
作者は「主従契約の方が美しい関係だから~」みたいな感覚でこの設定を出したのですかね?世界情勢と合わない設定を出すくらいなら、「隷属契約だけど、心でつながっているから実質主従契約だよ」みたいな主張を通してほしいものです。絆を描く実力があるなら、ですが。
その後の展開ですが、そこそこ強力な装備で魔獣を狩り、入手した魔石を狸魔獣に食わせてパワーアップし、実は主人公の出自スゲーという展開となります。
まだ物語序盤ですが、装備がそろってきたために主人公の呼び寄せ能力が無用の長物と化し、途中から王国に帰還することを考えなくなったために冒頭の展開が無意味となりました。
今後更新されれば解消されるとは思いますが、主人公の目標や行動原理が理解できませんでした。
只分かったことは、結果として主人公の承認欲求が満たされたことくらいです。
主人公に自身を投影する以外の楽しみかたがわかりません。
総評ですが、物語として一番の問題点は、キャラの個性が死んでいることでしょう。
登場人物の大部分が女性なのですが、口調や感性にあまり差が見られないため、ぶっちゃけキャラの違いが判りません。
例を挙げると、主人公の何でもありな能力に対し、作中キャラの評価が「ヤバイ」でまとめられております。
1グループ内の似た感性の集まりが同じことを言うならともかく、立場も経歴も異なるキャラが似たような表現をする状況です。
いい加減、なろう作家は登場キャラクターの履歴書を作ってから作品を書き始めるべきでしょう。




