最終決戦前夜に人間の本質を知った勇者〜それを皮切りに人間不信になった勇者はそこから反転攻勢。~の感想。
【タイトル】
最終決戦前夜に人間の本質を知った勇者〜それを皮切りに人間不信になった勇者はそこから反転攻勢。「許してくれ」と言ってももう遅い。お前ら人間の為に頑張る程、俺は甘くはない〜
【あらすじ】
最終決戦前夜に人の醜さを知った勇者。
彼は倒すべき女魔王と手を組み、世界への反転攻勢を決意する。
助けてくれ? 今更遅い。
俺はもう勇者じゃないからな。
サクサク進みます。突っ込みどころが多々あるかもですが、大目に見てくださると助かります。
再公開後はタイトルと冒頭。そして内容の一部を変更しました。
【感想】
タイトルからわかる通り、「人間社会という枠からはみ出たから、人間どもを皆殺しにしてもいいと勘違いしている系」小説です。
で、タイトルにある「人間の本質」というのは、ぶっちゃけるとパーティメンバーの女に陰口を叩かれた程度です。
その程度だと主人公が「女に振られただけで自暴自棄になるキチガイ」扱いされると思ったのか、国王によって故郷が滅ぼされたという設定が付け足されます。
人類優勢で最終決戦前だというのに、国王は何故そんなことをしたかって?
>「うむ。奴の生まれ故郷。それを廃墟とし、村の者全てを磔の刑。それ全てを魔王の所業と称し、お主がもう少しはやく魔王を倒しておればと伝えれば」
>「はい。あの正義感が強く責任も強い勇者アレンなら、タダでは済まない。自らその命を絶つ可能性もあれば精神を病み……異常者となって牢獄にぶち込むことも可能かと」
作者的に「狡兎死して走狗烹らる」的なことをしたかったのでしょうか。狡兎が死ぬ前に走狗を烹るのは、なろう小説おなじみのサンドバッグらしい知能です。
お偉いさん評では主人公は正義感と責任感が強いようですが、それなら魔王討伐の褒章を多少なりとも握らせれば、反逆を起こすとは考えにくいのではないでしょうか。
そもそも故郷の位置は述べられておりませんが、どのような工作をすれば人類優勢の中、最終決戦前で魔族に滅ぼされましたなんて偽装ができるんですかね。
まあ、主人公を暴れさせるためのハリボテ設定でしょうから、考えるだけ無駄です。
因みに故郷が滅んだ云々は話に聞いただけであり、実際に見たわけではありません。
そのため主人公は、女性に振られた上に根も葉もない噂を耳にして人類を裏切るというキチガイムーブをかますことになります。
一応主人公の原子核レベルの名誉のために擁護しますと、故郷は実際に滅ぼされており、国王に対して牙を向けるちゃんとした理由にはなっています。
まあ、裏切ると決めたのは振られたときであって、故郷が無くなった話を聞いたのは裏切りを決意した後なんですが(笑)。
現時点では国王に対してのみ復讐する理由を持つ主人公ですが、対象を拡大させて全人類へ復讐を始めます。
なろうではよく能力を拡大解釈していますからね。復讐対象を拡大するなど朝飯前です。
国王を殺しに行けばいいだけなのに、主人公が向かったのは魔王城。つまり宿敵にいいように使われるという、一般作品なら哀れな道化のような扱いをされる敵のようなムーブをします。
なろう作品では散々勇者を馬鹿にしていますが、この主人公の動きはバカと思わないんですかね?私は救いのない馬鹿だと思います。
魔王を前に「信じていたもの全てに裏切られた」と宣う主人公。散々旅をしたのに、信じられたのが国王とパーティメンバーだけなんすかwww?
そして魔族に対し力を貸し、人類皆殺しの旅を始めると同時に、いかに人類が主人公の力のもとに生きていたのかというのが語られます。
まず襲ったのは魔王城の近隣の村。今まで主人公が張った結界のおかげで魔物に襲われなかったらしいですが、主人公が裏切ったのを機に結界は消滅しました。
さらに兵士たちは魔物に立ち向かいますが、今までかかっていた「勇者の加護」なるバフが無くなったせいで、最弱の魔物にすら完敗するレベルまで落ちていました。
「今まで俺のおかげで戦えていたのにwww」と、主人公はどぶのような匂いを放つ口をニッチャニッチャさせながらイキリますが、そもそも兵士から見たら理由も分からず突如主人公が人類を裏切ったようにしか見えないんですけどね。
人類にかかっていた勇者の加護はそれだけにとどまらず、魔法が使えるようになる魔力の加護や、重い防具を装備できる筋力の加護、武器防具を装備するための装備の加護、喋るための声の加護、頭を働かせるための賢さの加護がありました。
つまり、主人公が居る前の人類は装備がつかえず、喋れず、考えることもできなかったことになります。
現に人類側も下着一枚で抵抗する描写が描かれます。
もう序盤の時点で大勢が決した状態で、後は消化試合で元パーティメンバーや国王、そして無関係の人々を蹂躙して終わりになります。
蛇足ですが、チート持ちの主人公に対抗できる存在はいるんですよ?一応。
主人公の勇者の加護以外にも加護があり、その加護を持つ存在は主人公からデバフを食らいません(加護を奪われないとは言っていない)。
では、主人公とは別の加護持ちとの戦いはどんな感じかと聞かれると
VS剣聖
勇者の加護を二度掛けして瞬殺しました。
もちろん剣聖は加護の二度掛けなどできません。
VS竜騎士
神龍の加護を持っていますが、よくわからない理由で加護が主人公へと移りそのまま勝利。
よくわからないというのは訂正します。まったくわかりませんでした。
主人公が何かしたといった描写が全くされず、いきなり「竜騎士は自身から神龍の加護が解かれるのを感じた」と描かれるだけです。
なんか神龍に見限られたようなんですが、何故見限られたのか全く説明がありません。
で、竜騎士を見限って主人公に加護を与えたようです。節穴ってレベルじゃねーぞ!
VS賢者
剣聖が見えないと評した加護の二度掛けを上回る、三度掛けのスピードに対応可能。
主人公と互角に戦えると思いきや、主人公に加護の一万回掛けした魔法を見せつけられ戦意喪失。
VS真の賢者
さっきの賢者は身代わりみたいなもので、本物の賢者は身代わりが手に持ってた水晶に化けていました。
主人公は聖剣を創造し一万本に複製、一万(単位不明)に巨大化し、それにビビった賢者は戦意喪失。
さっきとやってることおんなじじゃねーか!!!
このように、主人公に糞強チートを与えてしまったが為に、強敵らしい強敵を出せず、馬鹿の一つ覚えに「加護○○!www」と繰り返すだけで勝ってしまうというつまらない戦闘描写となります。
いくらか省略して纏めましたが、何にせよ加護の暴力で殴り勝つだけの単調な描写である事に変わりありません。
総評として、糞中の糞です。
女に振られたぐらいで「人間の醜さを知った」とほざいて暴れますが、実はメンバーの女性はとある男の能力で唆されていたという事実が明らかになります。
しかしその事実を知るのは元凶の男を屠った後であり、知ったからといって主人公の心が動くといったこともありません。
事実を知らぬ間にメンバーをモンスターの苗床にしたり、小柄な少女を知的障碍者にして頭を踏みつけた後平手打ちするなど、主人公は数々の鬼畜の所業を行いましたが、そのことは微塵も思い返しません。
どんな作品を書くのも自由という風潮ですが、ここまでヘイトコントロールが下手糞なら是非とも筆を折って貰いたいところです。
下手なのはヘイトコントロールだけにとどまらず、文体そのものも当てはまります。
具体的には、やたらと句読点を多用した短文を並べるスタイルです。
元々の文の読点を句読点に変換し、それでできた複数の短文を一々改行してます。
要するに。
このように。
読点で繋げず。
淡々と説明する。
そんな文体が散見されます。
個人的にこの書き方は、衝撃的なイベントが短い時間で起きた時に使用するのに効果的ではあると思います。
しかし、それまでの文体と異なって要所でのみ用いるからこそ映える描写であり、本作品のように所かまわず乱発するのは節操がないとしか思えません。
しかも作中は殆ど「主人公がチートで圧勝しました」という話なので、ぶっちゃけ徹頭徹尾使える場面が考えられません。
文体だけでなくルビの使い方も、よく言えば個性的、悪く言えばチン〇スです。
普通ルビは、読者が読めないと予測される漢字に振られるものですが、この作品では役職名に対しルビで読みの代わりに名前を振ります。
百歩譲って、例えば多国間サミットのシーンを描いたとして、「我が君」という発言のルビに国王の名前を入れることで、誰が発言したかを読者がわかるようにするという使い方ならまだ理解できます。
当然ですが、本作品では全く活用できておりません。
一話で「『勇者』から『悪魔(オレ』になった」という書き方で人間やめましたアピールをするのですが、二話以降は「悪魔」ではなく「勇者」の表記が続きます。
そのせいで、人間側の救世主である勇者はやめるけど、チートスキルである勇者の加護は手放したくないという表れに見え、非常にダサい流れになっております。
それを表すかのように、終始主人公は何をするにしても勇者の加護を多用します。
唯一使わなかった場面は、前述した無力な少女の頭を踏みつけた後に殴りつけた所だけです。
色々と述べましたが、最後に一つ。
パーティメンバーの女性が主人公のどの部分に不満を持っていたのか、国王は何故懐柔政策を取らなかったのか。
そりゃこんなキチガイ主人公に近寄りたくも野放しにしたくもないでしょう。
まだ連載中で、この話の落としどころが気になりますが、なろう小説ですからどうせ生き残った人間は奴隷、主人公は魔族側で幸せに暮らして終わりでしょう。
作者の他の作品を見ましたが、大体魔物側に寝返って人間殺す系でした。
しかもその内の二作品は、主人公の名前が本作品と同じ「アレン」でした。
きっと、作者はアレンと名付けた人形で蟻を踏み潰す遊びをやっているんでしょうね。




