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魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた~の感想

【あらすじ】

「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」


魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。


魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。

信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。

悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。


かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。


【感想】

主人公は魔王を倒した直後、原因不明の意識消失を起こし、1年後に目が覚めるとそこは王城の地下の霊安室でした。

目覚めた直後に王の間に引き出され、間髪入れずに追放宣言をされます。理由は魔王討伐後に『勇者』スキルを失ったからとのこと。スキルというよりジョブでは?

赤ん坊でも持っているスキルを持たないからとのことですが、一般常識で考えたら主人公の人格に問題があるからってだけで、スキル云々は建前としか思えません。

その証拠に、パーティメンバーの一人は主人公の士気を挙げるために恋人の振りをしていたと告白します。

なろう小説では主人公に都合のいい情報は後出しで、悪い情報は明かされないのが書き方の基本ですからね。

使い道が無くなったゴミは捨てるのが当然としか思えず、国が無くなるそうですが下がる留飲などありゃしません。


と、1話だけ読むと上記の感想となるのですが、最後まで読むと追放側に裏話があるそうです。

なんでも魔王討伐後に、魔王が命と引き換えに国中に呪いを蒔いたそうです。

それはスキルを持つものを対象にした死に至る呪いであり、目覚めた主人公が惨状を目の当たりにしないようにわざと辛くあたったそうです。

本当は主人公を大切に思っていたそうですが、なんで霊安室に放置されていたんでしょうか。都合よく意識がなかったのだから、国から離れた場所に置いておけば糞みたいな追放劇を見せる必要もなかったのではないでしょうか。

それに主人公だけがスキルが無くなる原因が不明で、御都合主義の乱用が目立ちます。

作中では、魔王を倒したからお役御免で無くなったんじゃねーの的なセリフがちょろっと出てきますが、剣を握れないから剣士スキル辞めますみたいな理屈は主人公以外には通用しなかったようです。


ですが何よりの突っ込みどころは、最終話の後書きで作者は「ざまぁ」をテーマにこれを書いたと言ってます。

感想を見ましたが、さすがに読者の誰一人として「ざまぁを見てスッキリした」という感想を抱いておりません。

検索のキーワードにも「ざまぁ」は入っておらず、それで正しいと言えば正しいのですが、一体なぜざまぁをテーマにしたなどと言ったのでしょうか。

一番考えられるのは魔王視点なのですが、それで読者のニーズに答えられたかと聞かれればノーと答えますし、そもそも魔王の視点は1㎜も描写されないので、それはないでしょう。


ちなみに勇者は追放後、隣国で冒険者になったのですが、パーティを結成してその国の魔王を討伐したそうです。

作中では「この国の魔王」と描写されているのですが、この作中における魔王の定義を明らかにする必要があるのではないでしょうか。

ここまでで明らかなのは、魔王は人類の敵であり、死してもなお殺戮をもたらす存在であるということだけです。

しかし御都合主義が発動したのか、主人公が討伐した魔王は最後っ屁で虐殺という手段に走りませんでした。

最後まで読むと悲劇に見えますが、惨状を見せまいと追放されたり、隣国で順風満帆な人生を送れたりと、結局はなろう小説特有の主人公上げに帰結したとしか思えませんでした。

ぶっちゃけ、下手な追放物よりも主人公上げが激しいと考えることもできるんじゃないでしょうか。



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