ノケモノ黒魔術師のやり直し。2週目人生をLv999の闇の力で、最凶魔王と呼ばれて無双する。~の感想
【タイトル】
ノケモノ黒魔術師のやり直し。2週目人生をLv999の闇の力で、最凶魔王と呼ばれて無双する。勇者に裏切られ、命と愛する者を奪われた俺、過去に戻ってすべてを取り戻します!
【あらすじ】
黒魔術師のカイは弟である勇者アレスに裏切られ、魔王と一緒に殺された。勇者アレスはカイのことが好きな聖女コレットを我が物にしようとしていたのだ。
ふと目を覚ますとカイは、5年前の【クラス授与式】の自分に巻き戻っていた。これから外れクラス【黒魔術師】を授かり、無能と蔑まれて貴族家を追放されてしまう未来を知っていたカイは決意する。
前世から引き継いだレベル999の闇の力で勇者アレスを倒し、幼馴染の聖女コレットを奪い返す。破滅の運命を変えてみせると。
2周目限定の隠しクラス【ダーク・スター】を獲得したカイは、魔族たちを支配下に入れて、勇者パーティと実家への復讐を開始する。
カイは次々にスキルを手に入れて強くなり、やがて史上最強の魔王と呼ばれるようになっていく。
愛する者を取り戻し、未来を変えるノケモノ黒魔術師の復讐譚開幕!
【感想】
今更ですが、ひどいあらすじですね。
説明からしてタイムスリップしたとしか思えないのに、前世と称してチートを引き継いだり、家族に復讐するためだけに人間捨てたり、挙句の果てにはチートに飽き足らず「2週目限定」なる何でもありを持ち出したりなど。
魔王になりながら聖女と仲良くするって、最終的に破局するかどっちかが役職をやめなきゃならないと思いますが、9割9分9厘聖女が聖女やめるでしょう。なろう小説なので。
本編は弟が主人公ごと魔王を聖剣で貫いたシーンから始まります。
犠牲が出たとはいえ主人公たちの最終目標を達成した瞬間なのですが、作者にとっては「ざまぁ」の前座でしかありません。
なのでキャラ達の人生最高の瞬間ですが、作者はパーティメンバーに「ニヤニヤ」させます。
なろう小説では追放側にヘイトを集めるため、高確率で「ニヤニヤ」させるのですが、ヘイトコントロールはキャラの態度よりも行動や思想にウェイトを占めていることをなろう作家は理解しておりません。
剣で貫かれながらメンバーに裏切り(?)の理由を尋ねる主人公。
曰く、聖女の推挙でパーティに居るとはいえ、魔族に近いと忌み嫌われる黒魔術師のクラスの上最弱だからとのこと。
主人公は不利を補うために血の滲むような努力をしてレベル999に到達したとのことですが、過程が描かれないうえゲームシステムを引用して強さを表現するため、どう見てもチート使っているようにしか見えません。
ちなみに主人公を推挙した聖女ですが、王都を守る結界を張るために「監禁」されているそうです。
国を守るのは他人ごとではないのですが、何故監禁されているのでしょうか。結界張るのが嫌なんでしょうか。それで本当に聖女なんでしょうか。
というか、弟の性格から考えて聖女の待遇が悪かったら文句を言って改善されたりしそうですが、そこのところどうなのでしょうか。どうせ考えてないかwww。
そして刺されてから死ぬまで会話と思考で約2000文字描かれるのですが、その間聖剣を通じて魔王と合体している状況を作者は理解しているのでしょうか。
そんな状況でも主人公たちの会話に一切出てこない魔王。本当にざまぁの前座以外の意味を持たないシーンです。
死んだ瞬間、クラス授与式前の時間に飛ばされる主人公。
ですが実質強くてニューゲーム状態なので、授与される前から黒魔術師であることがわかっている上、レベルもカンスト状態です。
その後は聖女として幽閉されるヒロインと共に破滅の未来から逃れようという話になるのですが……主人公はともかく聖女が監禁される展開がこの時点まで碌に描かれないため、いまいち物語に感情移入できません。
早速引き継いだ力を試す主人公。レベル900で隷属できる上位悪魔のアークデーモンを召喚します。聖女の前で。
ですがヒロインは元々主人公に対する好感度もカンストしているため、凶悪な悪魔を呼び出したからと言って主人公に疑念を抱くことはなく、太鼓持ちとなります。この時点でお人形ヒロインであることが決定しました。
強くてニューゲームであることを確認した主人公は、クラス授与式の後に起こるイベントをヒロインに伝えます。
曰く、勇者のクラスを授かった弟の蛮行によって魔王が誕生し、3日で王国の半数が殺される。そしてヒロインは結界の展開のため5年以上幽閉され主人公との婚約は破棄されるそうです。
その説明だと弟の方が忌み嫌われてないとおかしいので、いくらか主人公が盛っているんじゃないですかね?
魔王誕生の辺りとか展開が唐突すぎて、何でも受け入れるガバガバお人形ヒロインじゃないと信じない内容でしょう。
念のためヒロインは安全な村に避難させ、主人公は魔王の誕生を阻止しようとします。
どうやって阻止するかの説明の前に、魔王の誕生について説明しますと、主人公の実家にグリゼルダという上位魔族が友人と共に囚われており、友人を主人公の弟に殺されたことで魔王として覚醒したそうです。
なので殺される前に弟をしばいて魔王誕生を阻止しようということですね。
早速行動に移る主人公、弟が凶行に走る前にぶっ飛ばします。
そのままグリゼルダに殺されたことにして始末すれば万事解決と思われますが、弟を殺したと分かればヒロインが心を痛めると思ってやらなかったそうです。
突拍子もない予言を信じたり、人類の敵を呼び出しても疑念一つ抱かない奴が傷つくとは思えないのですが、作者が傷つくと言ったら傷つくのでしょう。ナーロッパ人は理解できません。
その代わり、「他人に危害を加えると勇者の証である【光の紋章】が忌み嫌われる【暗黒の紋章】に見えるようになる幻術」が発動する呪いをかけました。説明が回りくどすぎる。
総じて、魔王誕生の原因となる弟をボコり、言うことをホイホイ信じるヒロインと共に王国から逃げ、魔族に味方するという計画です。
が、作者が小出しにした設定を利用すれば人間を別に敵に回す必要など無くなります。
主人公は黒魔術師のクラスになると刻まれる【暗黒の紋章】によって人間から避けられますが、先ほどのクッソ都合のいい幻術を使用して勇者を騙れば良いですし、弟は召喚した悪魔でさっさと殺せばよく、「勇者は何やっても許される」という設定を利用して監禁されるヒロインを連れ出せば良いだけです。
なろう小説でよくあることですが、「何でもできる万能主人公」という土台から「作者のやりたいこと」という積み木を物理法則を無視して積み上げるため、出来上がる作品はどれも「チートを振り回して暴れる主人公」にしかなりません。
ちなみにあらすじにある「2週目限定の隠しクラスの【ダークスター】」というものですが、弟をボコった後、グリゼルダとグダグダと冗長な会話をするせいで勇者クラスが覚醒して回復し、弟と戦闘になる際に突然出てきます。
今更感しかありませんが、このクラス特有のシステムがあるそうです。
何でも、闇属性クラスにふさわしい悪事を行うとポイントがたまり、ポイントと引き換えにスキルが習得できるそうです。
闇属性クラスを極めたから【ダークスター(笑)】に進化したのですが、これ以上一体何のスキルを覚えられるのでしょうか。
そもそも1週目の時にやった血の滲むような努力というのは、もしかして悪事なのでしょうか。それならパーティメンバーから蛇蝎の如く嫌われていた理由として納得できます。
まあ、作者は否定するでしょうね。ナローシュに屑ムーブさせておきながら屑じゃないと宣うのでしょう。
勇者に覚醒した弟との戦闘ですが、主人公は魔王の振るう剣を呼び出し聖剣を叩き折り、主人公の圧勝となりました。
さらに主人公に危害を加えたため、先ほどの回りくどい呪いが発動し、弟の勇者の紋章は忌み嫌われる紋章に変化しました。
え?「魔族に味方した上に、魔王の振るう剣で戦う主人公を攻撃して何で呪いが発動するんだよ。碌に勇者としての働きさえさせねえのか、それとも自分が出した設定を忘れたか利用するだけの脳みそが足りねえのか。こんな場末の小説投稿サイトでクソを垂れ流す暇があるなら小学校からやり直して来いよこの穀潰し低能無職野郎」だって?言いすぎですよwww皆さんwww。
勇者である弟を撃退し、決定的に人間と決別した主人公。
でも性欲には逆らえないのか、ヒロインも一緒に裏切らせるようです。
主人公も
>だが、魔王となってしまえば、魔族に受け入れてもらうのはたやすい。
>コレットも俺の肩書きやクラスを気にすることはないだろう。
と、俺の思い通り動くお人形ヒロインの人生なんぞ考慮する必要ないだろうという考えです。
その後騒ぎを聞きつけた父親が駆け付け戦闘になりますが、速攻で利き腕を切り飛ばし、父親の騎士生命を絶ちます。
他にも屋敷を放火したり、回りくどい呪いによって勇者と認識されない弟は追放されたりと魔族に都合のいいことが続きます。
それに対して「流石流石」と主人公を持ち上げる魔族を見ていると、結局ナローシュは強大な力を持とうとも、他人に利用される他無い悲しい生き物なのではないかと勘繰ってしまいます。
人間と敵対した主人公はこのように悪事を働くことで強くなるのですが、そんな設定を出しておきながら主人公をクソ野郎扱いされたくないのか、今後は「実は人間側はもっとクソ野郎なんですよ」という展開を描きます。
一応、聖女なのに監禁されていた理由と関連付けされていましたが、基本主人公視点で語られるのにその情報が出るのは遅い方だと個人的に思います。
総評ですが、設定やキャラの性格、展開などに疑問点が多く残り、「人間に敵対するにしても、主人公は何故真っ先に天敵であるはずの魔族の仲間になろうとしたのか」とか、「勇者は何しても許される制度を知らない人がいるのは何故か」とか、「最終的に人間側と和解するけど、人間側の代表者が一番偉いであろう国王で、いったい今まで何をしていたんだ」など、作者が書きたい展開にするために整合性やヘイトコントロールを無視していると思われる部分が多々見られます。
特に問題なのが「主人公が人間と魔族の対立に終止符を打つために、王都で聖王と和解する」という展開を書くのに、王都以外に居た人間は皆死んだか隷属の契約で服従を強制されたか、闇魔法でアンデッドにされた者しかいない点です。
それまで人間からは憎悪と恐怖しか受けないような仕打ちをしておいて、いざ最終局面になって「王都の兵士以外の人は攻撃しませんでした!」とかやっても、なろう作家が大好きな「もう遅い」にしかならないでしょう。
しかも戦いの大部分は主人公の独壇場で、最後の和解も半ば脅しのようなものであり、主人公の死後再び戦乱が訪れるといわれても納得するほかありません。
まあ、なろう小説なので作者のご都合主義が無くなった途端に平和が壊れるでしょうね。




