伝説の鍛冶師は無自覚に伝説を作りまくる~弟に婚約者と店を奪われた俺、技を磨く旅に出る。~の感想
【タイトル】
伝説の鍛冶師は無自覚に伝説を作りまくる~弟に婚約者と店を奪われた俺、技を磨く旅に出る。実は副業で勇者の聖剣や町の結界をメンテする仕事も楽々こなしてたと、今更気づいて土下座されても戻りません
【あらすじ】
「ごめん。あなたとの婚約を破棄させてほしいの」
主人公で鍛冶師のヴィル・クラフトは、結婚前日に新しい店と婚約者を、弟に奪われてしまう。
死んだ父の代わりに一生懸命働いていたのに、ひどい仕打ちを受け、裏切られたヴィルは激怒する。
「もう知らん! 俺は出て行く!」
彼は王都を出て、好きに生きることを決意する。
一方でヴィルを追い出した弟は、後になって知ることになる。
「ヴィル様は街の結界や勇者様の聖剣をメンテなさっておられました。1日に9999本のA級武器を作る傍らに」
実はヴィルは伝説の職人、八宝斎として、いろんなものを治していたのだ。
彼がいなくなったことで、店は潰れる。
また、元婚約者の商人は、知ることになる。
「ヴィル様の武器が買えるから取引していたのです。彼がいない以上、もうあなたの商会とは取引しません」
ヴィルにひどい仕打ちをした弟も婚約者も破滅の道を歩むことになる。
その一方で、ヴィルが関わった人たちはみな、彼の作るとんでもない伝説のアイテムおかげで、幸せになっていくのだった。
【感想】
主人公は婚約者の父が経営していた商会を立て直し、状況が落ち着いたのを機に新居と店を建てました。
しかし婚約者は父が亡くなった時を境に主人公の弟に寝取られており、主人公は弟から新居も店も明け渡すようにと理不尽な要求をされます。
どう考えても裁判沙汰にしたら100%主人公が勝つ状況ですが、暴力などで脅されたわけでもないのに比較的素直に明け渡します。
ここで訴えれば従来のなろう小説と違うパターンで「ざまぁ」が書けるのですが、なろう作家は想定をはるかに下回る知能しかないのでしょう。いつも通り「追い出されたけど実は……」といういつものパターンです。
ウィキペディアからコピペしまくった学生のレポートを読んでいる感じです。
店を奪った弟ですが、最初に来店したのは国の第七王女でした。
「なんで王女様が!?」と驚愕する弟ですが、主人公は追い出される際に王侯貴族に太いパイプがあることを伝えていました。
追放側を馬鹿に書きたいために、ちょっと前に言われたことを忘れているのでしょうが、どれほど愚かに書いても、主人公はその愚か者に財産をあっさり明け渡すさらに愚かな者としか思えません。
一方追い出された主人公。
追放前には勇者の聖剣のメンテだの、街の結界の補修だのといった仕事を受けていたのですが、家を追い出されただけなのに何故か街から出ていきます。
街から離れる必要は1pmもないのですが、これは後に「頼りにしていた主人公が居なくなったのは弟のせいだ!」とお偉いさんファンネルを飛ばすための布石というのは、なろう小説を読み込んだ方には常識ですね。
結界とか聖剣とかどうするんだという話になりますが、主人公は「店を奪った弟がやるだろ」と、弟が碌に努力をしてこなかったボンクラと知っているのに仕事を投げます。
なろう小説の登場人物は3種類。責められるクズと責められないクズ、そしてその太鼓持ちです。
街から離れ、新天地を目指す主人公。
なんでも、行ったことのない場所に行ってインスピレーションを得たいとかで、転移結晶とやらをチートパワーで錬成します。
が、転移結晶の説明が『自分の行ったことない場所に、ランダムで転移する』なので、運が悪ければ火口にワープして物語が終わります。そっちの方がよかった。
ナローシュなのでそんなことはなく、転移先は森の中でした。
その先の展開をぶっちゃけると、モンスターに襲われていた獣人奴隷少女をハーレム入りするためのイベントでした。
主人公はその奴隷を見て「よく見れば女の子は整った顔をしてる。さぞマニアに高く売れるだろう。」という感想を抱きます。嘘でもいいから可哀そうとか思えよ。
で、この世界では奴隷商が死んだら、商品の奴隷は拾った人のものになるルールらしいです。そんな世紀末ルールによってケモ耳美少女奴隷ゲットとなりました。インスピレーションって奴隷少女って意味だったんですね。
追放した弟の凋落パートですが、女勇者が刃こぼれした聖剣のメンテのために店に訪れます。
ちなみに、なろう小説なので当然勇者は主人公に好意を抱いております。
主人公目当てに店に訪れるも居ない、というかクビになったと聞いた勇者は店の商品を全部破壊します。
怯まず修理を申し出る弟ですが、剣の声を聴くチートを持っていないために修理は失敗し見限られます。
ついでに婚約者も王家からの取引を打ち切られました。
皆主人公を頼りにしていることがわかる展開ですが、誰一人として主人公の行き先を尋ねる者は居ません。
それもそのはず、主人公を頼る者達に見せかけ、その実只の主人公のファンネル、道具に過ぎないのですから。
まだ途中だからなのか、あらすじに出てくる1日9999本のA級武器とやらは登場しておりません。
1日にそんな量の武器を作ったら、いくら品質が良かろうと価格破壊が起きて、主人公以外の鍛冶師は廃業する他ないと思われますが、きっと既に野垂れ死んでいるでしょう。主人公に都合のいいことしか起こらない世界だもの、ナーロッパは。




