俺だけ使える【隠しコマンド】で世界最強~の感想
【タイトル】
俺だけ使える【隠しコマンド】で世界最強〜追放された落ちこぼれ貴族の俺、実は世界唯一の神眼の鑑定士だった。俺にだけ見える隠れた才能の原石を集めて最強の冒険者となる
【あらすじ】
主人公のリッドは、公爵家の長男。
昔から神童と呼ばれており、将来有望とされていた。
しかし15歳になったある日、鑑定の儀式を受けたところ、【■■■■■■】という読み方も使い方もわからない、ハズレスキル持ちであることが判明。
その結果廃嫡され、国外追放される事が決まってしまう。
しかしリッドは、偶然、己の真の力に気づく。
『隠しコマンドを入力しました』
『隠しスキル【神眼の鑑定士】を獲得しました』
リッドには人には見えない隠された力を見抜き、それを使える特別な鑑定能力を持っていたのだ。
類まれなる、秘めた才能。そして世界でただ一人、隠しスキルを使えるリッドは、底辺から冒険者として成り上がっていく。
【感想】
本作品でまず目を引くのが、各話のタイトルです。
まず第1話から前編・中編・後編と始まり、番外編を2話挟んだのち、続き前編・中編・後編となり、さらに番外編を2話挟んで続き2前編・後編というタイトル名になっております。
各話のタイトルは、そのパートで何があったか一目でわかるためにつけるものですが、この作品は見返すほど面白くないということなのでしょうか。
番外編以外タイトルがついておらず、本作品の異質さを表しております。
本作品ですが、いつも通り主人公が公爵家から廃嫡されます。
主人公は文武両道(とってつけたようなチート)、頭脳明晰(作者を超えられない)で、次期当主としてふさわしい神童ともてはやされていました。
しかし、ナーロッパ名物のスキルガチャで読み方が不明なスキルを授かり、「読み方がわからない!外れだ!恥だ!」と癇癪を起した父親によって廃嫡されます。こんな父親と比べたら、確かに頭脳明晰ですね(笑)。
家から追放され、なろう小説には珍しい仲の良い弟と会話する主人公。
何の気なしに弟に触れると、突然隠しスキル・隠しコマンドなる言葉が脳裏に浮かびました。
これは主人公が授かったスキルの正体であり、隠しコマンドの通りに行動すると、隠しスキルを使うことが出来るという仕組みです。
例えば、「両手で剣を振ってみろ」と言われたら、【双剣術】のスキルを手に入れるといった具合です。
一見コマンドと会得スキルに関連があるように思えますが、その後出てきたのは『一撃で特定の敵を倒す』ことで【詠唱短縮】スキルという関係がなさそうなスキルを習得したり、挙句の果てに『別世界への転移門を発見』することでその世界の言語を習得するという、最早物語を効率よく動かすための、作者に都合の良いシステムへと成り下がります。
本作品の世界が主人公の敵か手下かを選択しなければならないディストピアへと変貌するのも時間の問題でしょう。
追放された主人公は町を出ますが、そこでゴブリンの集団に襲われている人を発見。
チートスキルを存分に使い瞬殺します。が、問題はその話の後書き。
>【★読者の皆様へ】
>これにて完結です。
>続きや番外編を書くかもしれないので、
>ブックマークを残しておいてくださると嬉しいです。
え、ナニコレ……。
起承転結の土が始まった段階なのに完結と言い切る作者。そしてその知能を超えることのできない主人公(頭脳明晰)。
本作品の香ばしさが一気に花開きました。
感想欄で「続きが読みたい!」というトチ狂った読者の期待に応えた作者は番外編を書きます。
去った主人公によって隠しスキルが開花した弟は、土から鉄を錬成するという言ったもん勝ちのインチキを披露します。
そして弟はその力を使って、主人公を追放した父に反逆を誓って番外編が終わりますが、言ったもの勝ちの本作品において伏線など何の意味も持たないため、続きに期待を持てません。
主人公サイドに戻りますが、ゴブリンを蹴散らした後、「力を持つものは弱い奴を助けて当然だと」言って治療します。
ここでちょっとひどいことを言いますが、このセリフで主人公に好感を持った方は、なろう小説の素質があります。
「困っている人」ではなく「弱い奴」と見下し、しかも治療したのは「治療することで得られる【超加速】スキルが欲しかっただけ」ですからね。
貰えなかったら治療しなかった……ではなく、作者によって治療の甲斐なく死んだことにされるのでしょう。
主人公の性格も言わずもがな、治療されたら速く走れたり、騎士を助けて感謝されたら【見切り】スキルが手に入ったりと、バグまみれな上ストーリーがクソなゲームを見ているようです。
というか『けがを治してもらったら』って、騎士なら今まで発動する機会がいくらでも在ったと思うのですが……。この作者が考えているわけねーよなwww。
と、ここまでチートと意味不明のオンパレードでしたが、ここでさらに【英雄譚】なるチートの2度付けが登場。
このスキルは『危険を顧みず第三者を無償で助ける』ことで新たにスキルを会得できるというものです。
チートガン積みで危険らしい危険もなく、スキル目当てで助けたにもかかわらず貰えているのですが、そのことに気づけと作者に言い寄るのは酷な話でしょう。
このスキルに気づいた主人公は「強スキルがもらえるなら人助けをしよう」という、『無償で助ける』という条件が永久に満たせなさそうな行動原理で動くことになります。
追放物なので当然ある追放側の凋落シーンですが、主人公を追放した父は国王の前に力づくで引きずり出されます。
理由は国家転覆罪。最強の主人公様を国から追い出し、国益を損なう真似をしたからです。
これ、悪気が無かったとしても落ち度を論って牢屋にぶち込めるヤバい法律じゃないですかね……。
父は抵抗し、息子の行き先を予想して連れ戻すことを提案しますが、「情報に価値はあるが、貴様に価値はない」と一蹴され、そのまま物語から退場となりました。
作者的には父を愚かなサンドバッグとして描いているつもりでしょうが、国王と法律のヤバさの方が目立ってしょうがありません。
その後は帝国に行き、ちょっとトラブルを解決したところでエタりました。
なんでも別に作った短編が好評だったようで、それの連載版を載せるのにお熱みたいです。
その短編ですが、やっていることが本作品と何ら変わりありません。
主人公が実はすごい存在なのに追放され、人助けではなく自分のために行動するなど、話の芯が何一つ変わっていません。
作者も作者ですが、物語をロンダリングされて喜ぶ読者も読者です。




