国に最強のバリアを張ったら平和になりすぎて追放されました。そのバリア、永続じゃないよ?~の感想
【あらすじ】
魔法の才能には恵まれなかったので、子供の頃からバリア魔法だけを磨いて来た俺は、気づけは国一番のバリア魔法使いになっていた。
かっこいい攻撃魔法も、便利な魔法も、特殊な召喚魔法も使えません。本当にバリア魔法だけなんです。
庶民の出身でバリア魔法だけで出世した俺は、宮廷魔術師の役職と、貴族令嬢の婚約者も得ることが出来た。
順風満帆に見えた人生だったけど、婚約パーティーで婚約破棄され、やってない罪を擦り付けられた。
宮廷魔術師の役職からも追放されたけど、俺が居なかったらバリア魔法が解けるけど、本当に大丈夫ですか?
【感想】
主人公は国家転覆を企てた容疑で、わざわざ婚約パーティー会場で追放を言い渡されます。
よりにもよって婚約パーティー中に言い渡したり、容疑の段階なのに刑を執行するなど、開始数行で無茶苦茶な展開で物語が始まりますが、ナーロッパではよくある事です。
ちなみに国家転覆を計画した証拠ですが、自宅から出てきた計画書しかありません。
主人公はバリアしか取り柄がないため、クーデターを起こすなら協力者が必須と思われますが、芋づるで捕まった人は一人も出てきません。
作者的には主人公が追放されればそれでよしと、碌に整合性を考えてないでしょうが、いつものことです。
で、国家転覆という重罪のわりに国外追放で済んだそうです。追放しか知らない作者だから、キャラも追放以外の刑を知らないのでしょう。
三日かけて国境の町まで連行された主人公。
そこから持ち出せた私物は、宮廷魔法師を証明するための金の懐中時計だけでした。
国家転覆を企んでなぜそんな代物を没収されなかったのか、それは他国で「俺は宮廷魔法師だったんだぞ!」と栄光を見せびらかすためでしょう。なろう小説では整合性よりも目的の方が重要ですからね。
それ以外には生活するための最低限の金銭を貰いましたが、それで食料を買い込む姿はとても罪人には見えず、むしろ旅行者にしか見えません。
他国へ行くために森を抜けようとする主人公。
大量の虫に囲まれて絶叫しますが、何故かお得意のバリアを貼ろうとはしません。主人公の得意技すら忘れて話を作る錯者は初めてです。
森でドラゴンに遭遇しますが、攻撃に対しバリアを貼ることで完封します。
何度も攻撃を試みるドラゴンに対し、主人公は「工夫のない奴だ」とイキります。作者に対する悪口かな?
ここで主人公のバリアの特性について解説します。
主人公はバリアを貼る際に「バリア――○○」と、反射する物の特性を指定する必要があります。
が、指定してない物体でも反射ができないだけで、誰一人として攻撃でバリアを突破することはできません。
なので、とりあえずバリアを貼った後に、攻撃に合わせてバリアの性質を変えることで相手を完封できます。
工夫する必要のない奴が、他者の工夫のなさを嘲笑うというナーロッパジョークです。笑えねぇけど。
その後ドラゴンは作者の性癖を移した美少女に変身し、主人公の旅についていくことになりました。
街に着いた主人公は仕事を探しますが、何故か持ち出せた金の懐中時計を利用し、貴族のコネで高給の仕事を得ました。
やってることは身分詐称ですが、ナローシュは殺人を正当化する程度の倫理観しかないため、この程度は朝飯前です。
仕事を得てなんか嬉し涙なんか流しちゃってますけど、ここまで自分に酔いしれるのを見ると侮蔑より恐怖します。
仕事の内容は、天才魔法使いと呼ばれる伯爵の娘の家庭教師でした。
しかし、主人公は「俺はバリアしかできないから、教えられることなんかないぞ」などとほざきます。
追放されたときにやたらと「10年間バリア魔法を頑張ったんだぞ!」と強調していたんですが……。
まるで『10年間バリア魔法を頑張った設定』とチートを突然植え付けられたような奴の発言ですね。
いざ授業が始まると思いきや、令嬢は主人公を詐欺師と思って詰問します。鋭い。
令嬢は国にバリアを貼った魔法師(主人公)を尊敬しており、主人公がバリアを使って身分を証明すれば解決するのですが、何故か証明しようとしません。
それどころか「命を懸けて戦ったことないだろう」と、バリアという絶対の安全で守られている身分で上から目線で見下します。
そして「実践を教えてやる」と喧嘩を売るような絡み方をしましたが、何故か令嬢は肉弾戦を挑んできます。
主人公は無様にも顔面に蹴りを食らいましたが、常時バリアの為に令嬢がダメージを食らいました。
さっさと種明かしをすればこれ以上令嬢は痛い目を見ずに済むのですが、なろう小説においてナローシュに敵対行動をとるのは罪に当たるため、黙っていることで令嬢に罰を与える形になりました。
こんな陰湿な奴を主人公においても、追放さえされればランキング掲載からの書籍化で日の目を見るんですよね。ろくでもねぇ。
翌日、ようやく授業が始まると思いきや、格闘のダメージで令嬢は寝込みました。
こうなった原因は主人公にありますが、なろう小説的にはただ令嬢が罰を受けただけなので、主人公が謝罪することはありません。
ダウンしている令嬢に対し主人公は、バリアに回復を付与することで治療しました。
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今までバリアに付与した属性を反射するというルールで話を進めていたのですが、ここに来てなろう特有の「能力の拡大解釈」が出ました。
そのうち『バリア』と書いてヒールと読むようになるんじゃないですかね。
家庭教師を続けているうちに正体がバレ、「実は主人公はこんなにもすごい!」パートが始まりました。
主人公を追放した国が隣国に強い態度を取れたのは主人公のバリアの為であり、多くの軍略家がバリアで大陸の趨勢が決まったと罵るほどだったそうです。
ここでポイントとなるのは、「驚嘆した」ではなく「罵った」と表現したことです。
この表現により、主人公が居た国は武力を背景に圧をかけるならず者国家というイメージを読者に与え、追放した結果バリアが無くなったけど、気にしない主人公は薄情者にはならないという理論を構築しています。
工夫の見られない主人公のバリアの代わりに、主人公に泥をかぶせないよう作者が鉄壁のバリアを敷いているのでしょうか。その工夫をキャラの保身より、物語の面白さに利用できないのでしょうか。
自分の力が国家間のバランスを左右すると知った主人公ですが、自分の持つ力について価値観が変わるといったことはありません。
主人公は街の人を守るためにバリアを貼るのではなく、夜遊びをする予定の街を破壊されないようにバリアを貼るような男です。
主人公様を満足させられなかったら見捨てられる。この世界の住民は、主人公の敵か手下か選択しなければならない時が来ました。
主人公の手下になることを決めた各国は、主人公様に高収入、領土、貴族の位、果てには交易権まで差し出しました。
一方敵となった追放した国ですが、まだ話は進んでいないのですが、なろう小説らしく滅亡するのでしょう。
なろう小説は手を変え品を変えていますが、結局のところこのパターンしか見ないため、作者たちが猿真似をやめない限り同様の物語しか描かれないでしょう。




