戦犯勇者の弟妹は100倍パワーの超人魔戦士~の感想
【タイトル】
戦犯勇者の弟妹は100倍パワーの超人魔戦士~人類に家族の責任を取らされて追放されてるけど、弟妹の方が勇者より才能あるけどいいの? いらないなら魔王軍がもらいます
【あらすじ】
「お前たちの兄の所為で魔王軍に負けた」、「償え」、「王国の恥さらし一族は追放だ」。人類と魔王軍の争い続く戦乱の世で、人類の希望といわれた勇者の一人が戦死し、人類の連合軍は多大な被害を受けた。勇者の弟である『エルセ』は故郷の民やそれまで共に過ごしてきた友たちから激しい罵詈雑言を浴びせられ、妹と共に故郷を追放された。
財を失い、身寄りもなく、野垂れ死ぬかと思った自分たちを保護したのは、兄の仇である魔王軍の将だった。
「貴様等の兄は強く勇敢な素晴らしき武人であった。貴様らの兄と戦えたことを吾輩は誇りに思う。生きたくば、吾輩たちと共に来い」
そして、人類は知らなかった。偉大な兄にばかり注目が集まっていたが、エルセと妹は、兄以上の才能と力を秘めた天賦の超人であることを。本来であれば、亡き兄以上の人類の希望となるはずの者たちを自分たちの手で追放したどころか、敵にしてしまったことを。
【感想】
本作品の主人公は兄がおり、王国最強の戦力として対魔王軍との戦いで活躍して人望を集め、その弟である主人公にも周りに人が集まり、幸せに暮らしていたという、なろうの追放物らしからぬプロローグから始まります。
しかしあくる日、兄はとある魔王軍の将に討ち取られ、部隊は全滅状態に陥りました。
王国最強戦力が居なくなり、普通なら主人公が兄の遺志を継ぎ、魔王軍と戦う流れになるのですが、これはなろう小説。できるならば主人公は人間社会の枠から逸脱し、それによって人間を殺す権利を手に入れ(たと思ってい)る流れが好まれます。
どうやって追放するかって?兄が負けたことで人々は今までの態度を一転翻し、兄だけでなく主人公とその妹に罵声を浴びせ始めます。
普通は向くとしても国王とかにヘイトが向くと思うのですが、これには色々と訳があるんですよ。その一つが追放したいというだけで。
ちなみにその罵声の一つに「この国は世界中からの笑いものになった」というものがあります。
魔王軍は王国だけでなく帝国などのいくつかの国が連合を組んで戦っているのですが、他国の戦力が削れれば削れるほど自国に負担がかかると思うのですが、どこに笑いものにする要素があるのでしょうか。考えてないでしょうが。
主人公と妹は国民から追われる立場になりましたが、そこで魔族の姫と、兄を討った六煉獄将の一人と出会います。
兄の敵を討つために将軍に襲い掛かる主人公ですが、先の展開を言っておくとここが彼の魅力のピークであり、ここから落ち目になります。まだ序盤だぞどうなってんだ。
ここで幕間が挟まり、実は兄は味方である王国から罠に嵌められていたことがわかります。
話を持ち掛けたのは王国の味方である帝国であり、兄は魔王軍と停戦の交渉を水面下で進めて厭戦気分を広めているのが目障りだったそうです。
停戦交渉を進めていたのに何故出陣したのか、何故討たれたのか、そんなものは作者の人類を滅亡させるという目的の前では無意味なためか、一切わかりません。
作者的には魔族は皆殺しにするスタンスの帝国を粗暴に描いたつもりでしょうが、そもそも魔族を殲滅するために結束し、発足したのが連合軍なので、人間サイドから見たら兄のやっていることはぶっちゃけ空気を読めていないと言わざるを得ません。
その話に乗った王子ですが、この後ひどい目に遭う割に雇用政策や孤児院の援助など、従来のかませに比べて割と常識的なことをしており、場違い感が半端なかったです(なろうらしくないって意味で)。なんでこんなキャラにしたんだ。
王国から追放された主人公は、魔王軍の援助を受けすぐさま王国へ復讐しに戻ります。
将軍は兄の敵ですが、出会って1日もしないうちに主人公の後方支援を受けます。
普通なら主人公を利用していると捉えられる状況ですが、ナローシュが利用されるのは許されないため、二人の間になんかよくわからない信頼が芽生えたことにしています。
で、主人公は実は兄よりも強いという設定があるため、将軍のサポートを受けた主人公は復讐として故郷で破壊の限りを尽くします。
「主人公を悪く言わない人もいるのではないか」って?そんな人を出したら主人公がやってることが癇癪起こしたガキみたいじゃないですか。そんな存在は作者によって消されております。残っているのは最後に吹き込まれた話を妄信する単細胞のみ。王都は火の海に包まれました。
暴れる主人公ですが、小さいころ世話になっていた商人から、主人公たちを迫害すれば国から援助されるという話があったと聞いて動揺します。
主人公だけでなく民衆も「そういえば俺ら焚きつけられたよなぁ?」と手のひら返しをします。この小説って催眠物だったのか……。
そこに王子が登場。主人公に対し兄の次の王国の実力者をけしかけます。
その者はかつて戦場で凄惨な行いが問題視されたために出世できなかったと自己紹介しますが、魔族は皆殺しというスローガンで一致団結しているのに、凄惨なことしたから出世できないという矛盾が生じておりますが、これは単に「敵は下衆ですよ~」と作者が設定付けしているだけでしょう。どうせ瞬殺されるからと大して考えていないことがわかりますね。
まあ、先の展開を言っておくと帝国の将は魔族の捕虜を火あぶりにして惨殺しているんですけどね。
マジで矛盾まみれです。
ぶちのめした王子から帝国が元凶であることを聞いた主人公は、王国を滅ぼした後帝国を滅ぼすことを決めます。
完全に人間を裏切りましたが、兄は人間と魔族の共存を夢見ていたんですけどね。
今後はそんな兄の遺志なんか知らんとばかりにナローシュらしく暴れる展開になるんでしょう。
王国に追放され、魔王軍に拾われた結果、主人公には豪邸、ごちそう、姉属性のハーレム要員が与えられ骨抜きにされ、兄の仇など忘れて帝国と戦うことを決意します。(地獄の兄貴も泣いてるぜ!)
所変わって帝国サイド。
兄を罠にかけましたが、実のところ失脚してくれればそれでよしみたいなスタンスでした。
実際は失脚どころか討ち死にし、帝国が原因であることも流布され、皇帝はストレスで憔悴していました。
最早主人公関係なく人類滅亡の危機にある戦力差だと思われますが、なろうではそれくらいの大差で余裕を持たないと、逆に読者が発狂するのでしょう。
しかし作者はオリジナリティを出したいのか、帝国サイドが反撃に出る計画が出てきます。
その計画とは、魔王軍が大部隊で攻め込んでいる隙に、手薄になった魔王城に少数の精鋭を送り込み、魔王を討ち取るというものでした。
なろうの敵にしては中々の作戦ですが、100%失敗することが確定しています。
何故かって?なろう小説だからどうせそうなるとか、そういったレベルの話ではなく、ただ単に
> だが、結果的にこのゲウロの作戦は、人類にとっては史上最悪の裏目に出ることになる。
って話の最後に作者が余分な一文を挟みやがったからね。
ちょっと前にファスト映画による著作権法違反の話がありましたが、なろうでは作者がそれをやります。
厳密には作者自身がやっているので著作権法違反ではないと思われますが、少なくともコンテンツを提供する側は普通はやりません。
まあ、なろうは普通じゃないからね。仕方ないね。
その後、主人公は魔王城で姫と乳繰り合っているだけの展開が続くため、もう見どころはないでしょう。
ここで終わりにしておきます。




