竜王に拾われて魔法を極めた少年、追放を言い渡した家族の前でうっかり無双してしまう~の感想
【タイトル】
竜王に拾われて魔法を極めた少年、追放を言い渡した家族の前でうっかり無双してしまう~兄上たちが僕の仲間を攻撃するなら、徹底的にやり返します〜
【あらすじ】
「カル、お前のような魔法の使えない欠陥品は、我が栄光の侯爵家には必要ない。追放だ!」
竜殺しを家業とする名門貴族家に生まれたカルは、魔法の詠唱を封じられる呪いを受けていた。そのため欠陥品とバカにされて育った。
カルは失われた無詠唱魔法を身につけることで、呪いを克服しようと懸命に努力してきた。しかし、14歳になった時、父親に愛想をつかされ、竜が巣くっている無人島に捨てられてしまう。
そこでカルは伝説の冥竜王アルティナに拾われて、その才能が覚醒する。
「聖竜王めが、確か『最強の竜殺しとなるであろう子供に、魔法の詠唱ができなくなる呪いを遺伝させた』などと言っておったが。もしや、おぬしがそうなのか……?」
冥竜王に育てられたカルは竜魔法を極めることで、竜王を超えた史上最強の存在となる。
今さら元の家族から「戻ってこい」と言われても、もう遅い。
カルは冥竜王を殺そうとやってきた父を返り討ちにしてしまうのであった。
こうして実家ヴァルム侯爵家は破滅の道を、カルは栄光の道を歩んでいく…
【あらすじを読んだ感想】
いつもの追放系です。
竜殺しを生業とする一族の処罰が、島流しにして竜の餌にするという利敵行為。そして自分を殺しうる存在を史上最強の存在に育てようとする仇敵。
登場するキャラが主人公を持ち上げるために裏でつながっているんじゃないかと思うような動きをする、まさになろう小説と言える作品です。
で、あらすじの最後に実家が破滅する的なことが書かれていますが、実家どころか人類存亡の危機ではないのでしょうか。
まあ、主人公は人間という社会の枠から外れたから、人間なんかどうなっても知らんってスタンスでしょう。今までのナローシュもそうだったし。
【感想】
主人公は呪文を口にしようとすると声が出なくなる呪いにかかっていますが、これは七大竜王の一柱である聖竜王の恨みを買い、主人公の母親にその呪いをかけたそうです。
この呪いは遺伝する性質を持っているため、主人公にかかったわけですね。
原因が敵にあるとはっきりしているにもかかわらず、なろう小説のテンプレに沿って、敵ではなく息子に殺意を向けるという、開始300文字足らずで常人には理解できない展開が描かれます。最近のなろう小説インフレしてない?
呪文を詠唱できない主人公も努力をしていたそうで、伝説の無詠唱魔法なるものを使えるようになったそうです。
しかしそのことを父親に伝えると、父は「使って見せろ」と激怒しながらテーブルを粉砕し料理をぶちまけます。
最近のなろう小説では、如何に追放側をキ〇ガイに描くかが問われるのでしょうか。
そのうち服を全部脱ぎ捨て、家族の前でマスターベーションしながら脱糞して怒鳴り散らす父親とか出てくるんじゃないでしょうか。(出てこないことを切に願う)
話を戻すと、主人公は触れた相手の筋力を増強することができる魔法を習得したそうです。
それで兄の戦闘力を増強してきたようですが、その兄から梯子を外され、竜が跋扈する無人島に島流しになりました。
追放側に損得勘定をすることは作者によって禁じられるのが追放物です。もはや許可されているものの方が、数えるのに片手で足りるのではないでしょうか。
ちなみに先ほど説明したように母親も呪いにかかっており、主人公同様邪険に扱われているそうです。
それでいて何故14年間以上も籍を置き続けたのか、側室などを置いて呪いを回避するといったことをしなかったのか、作者は考えていません。
島流しにされた主人公ですが、そこで驚くべき新事実が発覚します。
実は無詠唱魔法は、詠唱を必要とする通常魔法より強大な威力を発揮するそうです。
詠唱する手間を省けるうえ威力もあるなら、世の魔法使いは無詠唱魔法に傾倒すると思われるのですが、追放側にそんな自由はないのでしょう。あるのは主人公を持ち上げるために追放して後は破滅する運命のみ。
無人島にて、最初に同い年くらいの少女と出会います。そして、髪を見た後に胸を見ます。毒者のずりネタのためには必要な描写なのでしょう。
そこに巨大なドラゴンが出現し、二人を襲います。主人公は今まで成功したことのない攻撃型の無詠唱魔法を試みますが、何故か発動でき、ドラゴンを八つ裂きにして倒しました。
追放されたら強くなるのはなろう小説のテンプレですが、なろう作家は出版業界から爪弾きにされたら文豪になるのでしょうか。一度出版業界からボロクソにこき下ろされてほしいものです。
一段落したところで、主人公は少女の正体を知ります。
その正体とは、300年前に世界の半分を滅ぼしたという冥竜王の娘だそうです。
現在は人間を滅ぼそうとする聖竜王との戦いに敗れ、人間の姿にされてしまったそうです。
何故少女は人間の味方をするのかだって?主人公が聞かないから私も知りません。
まあ、主人公を豪勢な料理などで甘やかしているところを見ると、ただの作者の性癖によって生まれたキャラっていうだけなんじゃないかな。
所変わって追放側。
主人公の実家に用があるという王女に対し、兄は飼っている竜をけしかけ、自作自演で救出して好感度を稼ぐ計画を立てていました。
竜殺しとして有名な家の近くでドラゴンに襲撃されたら、その時点で責任を問われると思うのですが、追放側は作者の言われた通り道化を演じることしか許されないのでしょう。
颯爽と助けに入る兄ですが、主人公からかけられていた増強の魔法がないため、歯が立ちませんでした。
逆に殺されそうになり、主人公同様呪いをかけられて邪険にしてきたはずの母親に助けを求めるといった、作者が考えうる限りの情けない様子を演じさせられます。
結局倒せなかったため、竜にその場を離れるように命令した兄ですが、周りの反応からして自作自演がばれている状態です。
普通なら反逆罪で捕まってもおかしくないのですが、ナーロッパでは追放は殺人よりも重い罪なので、さらに陰湿な仕打ちを作者から受けることになります。
主人公サイドに話が戻ります。
主人公は冥竜王の少女に【竜魔法】なるものを教えてほしいと請います。
【竜魔法】というのは、竜にしか発音できない言語を用いた魔法らしいですが、主人公は無詠唱魔法の使い手なので問題ないそうです。
いや、問題あるでしょ。発音の必要がある魔法だけど、詠唱しないから問題ないって言ってるようなもんだぞそれ。
サッカーで例えるなら、ボールを蹴って運ばなければいけないのに、車いすだから手を使えばいいって言ってるようなもんだぞ。通るかそんなもん!
でも、作者が問題ないと言ったらその錯品内では通ってしまうのがなろう小説です。
感想欄で指摘してもどうせユーザーブロックしてコメント削除されるのがオチです。(この話では批判コメントが消されずに一つ残っていましたが)
その後の主人公は冥竜王に味方し、聖竜王と敵対します。
「冥竜王に味方するなんて、竜狩りの一族としては絶対に許されないことだ」などと言っていますが、冥竜王は人間の味方な上、実家は没落するので、薄っぺらい決意でしかありません。
冥竜王の隠れ家に案内された主人公。そこは無詠唱魔法で栄華を極めた古代文明の遺跡でした。
主人公はそこで古代の魔法理論が書かれた魔導書を見つけ、そこにはこう記されていました。
>『無詠唱魔法の本質とは、詠唱の省略ではない。人間の声帯では発音不可能なあらゆる魔法言語を使用できることにある。』
つまり、さっきも言いましたが、人間が発声できない言語を発音するのが無詠唱魔法だそうです。
要するに作者が言葉の意味を曲解して読者に押し付けているだけです。
なろう小説が世に跋扈したとき、それすなわち日本語の崩壊と言い換えてもおかしくないレベルです。
またまた視点が変わって兄サイド。
実家に来た王女から、来訪の理由を聞きます。
昔、王女は叔父から王位簒奪のため暗殺者を向けられたことがあり、主人公の増強魔法で難を逃れたという、なろう小説テンプレの「無能だと思っていた主人公は実はお偉いさんを助けていた(けど絶対に実家に知らせない)」エピソードがありました。
作者は主人公を持ち上げるエピソードを粗製乱造しますが、まともな読者に対しては報連相ができない、社会の一員として重大な欠陥を抱えた半端者にしか映りません。
王女が来訪した理由ですが、聖竜王が各国を襲っているため、無詠唱魔法の使い手である主人公を招いて軍備増強を図っていたのですが、追放してしまったため無人島に救助しに行けという話になり、兄が駆り出されました。
それに対し主人公は実家と関わりあいたくないため、着ていた衣服を血染めにして死んだように見せかけました。
それを知った王女は悲観し兄との縁談を破棄。復縁したければ聖竜王を倒せと無茶ぶりをします。
竜退治に駆り出された兄は無人島で主人公と再会しますが、相変わらずの高圧的な態度をとります。
まあ、ここで兄が理性的な態度で「王女が国防のために助力を請うているから戻って来い」と説得されたら、作者は難癖付けて断ることができないから、この展開も必然でしょう。
なので主人公が、それまで一度しか面識のなかった王女に事の顛末を報告するという唐突な展開になったうえ、それに飽き足らず兄が王族をたばかろうとした事実を暴き、挙句の果てに転移クリスタルなるオーパーツを登場させてその場に王女が出現するという、何が何でも兄を落ちぶれさせようとする怒涛の展開が描かれました。
総評すると、主人公にチートを持たせ、それに匹敵する聖竜王という敵を設定したにもかかわらず、やっていることが兄という下種なサンドバッグをひたすらタコ殴りしているだけにしか見えませんでした。
しかも中途半端に罰するせいで無関係の人々に兄の矛先が向き、清々するなんて気分は微塵もありませんでした。
ちなみに上記の兄のエピソードは全64話中22話で、この時点で王女から死罪を宣言されるほどなのですが、彼は最終的に59話で投獄されるまでひたすらサンドバッグにされます。
で、全部ざっと見たのですが、何とラスボスと思われた聖竜王は一度も出てこず、最終話では魔法学校を開校して終わりました。
作者「ラスボスが聖竜王なんて一言も言ってねーしwww」
こういうことでしょうか?作者は筆折ってね。
感想の中で「側室を持たなかった父親」みたいなことを書きましたが、読み進めたら実は側室を持っており、娘がいました。(序盤で影も形も伏線も出てこなかったから仕方ないね)
ちなみにどんなキャラかって?兄をぶちのめすための舞台装置でした。




