豚貴族は未来を切り開くようです ~二十年後の自分からの手紙が全てを教えてくれました。~の感想
【タイトル】
豚貴族は未来を切り開くようです ~二十年後の自分からの手紙が全てを教えてくれました。どうやら俺はこのままでは婚約破棄され、廃嫡され、完全に人生が詰むようです。なので必死にあがいてみようと思います~
【あらすじ】
公爵家嫡男であるヘルベルトは、己の立場を笠に着て好き勝手に生きてきた。
甘やかされぶくぶくと太り、周囲から豚貴族と馬鹿にされてきた彼は、ある日謎の手紙を受け取る。
そこには自分の筆跡で、未来の出来事が綴られていて……?
時空魔法を極めた二十年後の未来の自分からの手紙を受け取ったことで、ヘルベルトの人生は大きく変わり始める――。
【感想】
主人公の経歴や言動は従来のなろう小説の追放側と同じものですが、そんなキャラでも主人公に据えたらナローシュに早変わりするのがなろう小説です。本作品もご都合主義が散見されます。
物語は貴族である主人公が、同じ学校に通う平民相手に決闘を挑む前日から始まります。
勝利を確信する主人公ですが、そこに一通の手紙が舞い込んできます。
それは20年後の主人公から来た手紙であり、そこには明日の決闘で敗れることや、廃嫡され婚約を破棄されることを挑発を交えて予言されていました。
今まで尊大で周りを見下してきた主人公はその手紙を見ただけで猛省しますが、今までの行動を手紙一枚で全否定されて反省するなら、もっと早い段階で反省していてもおかしくないと思うのですが、どうせ作者から「ここで反省すれば栄転する」と耳打ちされているのでしょう。
というか、なんで破滅するきっかけの前日に手紙を送るんですかね。
予言を信じてもらうなら、まず決闘を申し込む前に送ってそれを予言し、決闘そのものを止めるのが先ではないかと思うのですが、作者以上の知能のキャラを生み出すことはできないといいますからね。仕方ないね。
実際に送られたのは決闘前日の午後4時。そこから特訓しても手遅れだと思うのですが、これが昔流行った「もう遅い系」ってやつでしょうか。
もう遅い特訓を始める主人公ですが、特訓の最中ナレーションによって基本的なスペックは高いことを度々語られます。
なんでも、昔は小柄な体格だったけれども騎士とまともにやりあえるほどの実力があったとか。
「努力してこなかったなら、才能に頼ればいいじゃない」というなろう小説らしい展開です。
が、この作品は「才能があるから努力する価値がある」と言わんばかりに主人公が一晩で成長しやがります。
具体的には、伝説的な存在である賢者が使っていた時空魔法なるものを使って見せました。
もうここまでくるとただのチートとしか思えないのですが、破滅する前日に知らせる程の知能を持つ作者の力量からしたら仕方ないのかもしれません。
睡眠時間を削り、徹夜で訓練をした主人公。
一夜漬けの上寝不足となると、普通なら前世よりもひどい結果になるものですが、作者からヒロポンを渡されたのか、ちょっと休憩しただけで疲労なんかなかったことにされます。
なので以降、主人公を薬中と表記します。
当然決闘に勝利する薬中。勝利の暁に、相手に「やり直し係」なるものに就くよう要求します。
これは今まで積み上げた悪評をひっくり返すための手助けをするというものなのですが、知能だけでなく言葉選びのセンスも、やはり作者を超えるキャラを作ることはできないのでしょう。
そんなことを要求された対戦相手ですが、ちょっと頭を下げられただけでほぼ全面的に薬中を信用します。
まあ、しなかったら作者によって破滅への道に引きずり込まれるからでしょうが。
その後はチートという名の努力を重ね、口では迷惑をかけたというもその実破滅を回避するための謝罪を繰り返し、以降は従来のなろう小説と同様の物語となります。
この話を読んで、こち亀の「不良が更生するより、最初から真面目な奴の方が偉いだろ」という話を思い出しました。
手紙を送るタイミングによってどちらにも転ぶこの物語ですが、なろう作家は追放物よろしく評価マイナススタートの話しか書けないため、決闘前日に手紙が送られるのは必然だったと言えるのではないでしょうか。




