黒衣の執行人は全てを刈り取る~謎ジョブ《執行人》は悪人のスキルを無限に徴収できる最強ジョブでした。~の感想
【タイトル】
黒衣の執行人は全てを刈り取る~謎ジョブ《執行人》は悪人のスキルを無限に徴収できる最強ジョブでした。【剣聖】も【勇者】も【聖者】も、弱者を虐げるなら全て敵です。
【あらすじ】
・短いあらすじ
【執行人】という謎のジョブ能力を授かった主人公が《復讐代行屋》を営み、漆黒の大鎌で悪人を次々に成敗していくお話
・ちゃんとしたあらすじ
「アデルよ、今日をもって貴様からは第七王子の地位を剥奪する! 二度と余の前に顔を見せるな!」
この世界は「理不尽」に満ちている、と思った。
仲間を捨て駒のように扱う冒険者パーティーのリーダー。
領民に圧政を強いて、自分はステーキを頬張っている悪徳領主。
ギルドに尽くした仲間を給料泥棒の一言で解雇するギルドマスター。
新しい女ができたからといって婚約者を袖にする貴族のボンボン。
そして……、自分の息子が望んだ能力を授からなかったからといって追放するクソ親。
主人公アデル・ヴァンダールは、そんな理不尽をこの世界から駆逐したいと考えていた。
授かった能力を外れジョブだと決めつけられ、王家から追放された挙げ句、第七王子の地位を剥奪された苦い経験が自分自身にもあったからだ。
王家を追放されてから二年後、アデルはこの世にはびこる理不尽を駆逐するため《復讐代行屋》を営んでいた。
自分が神から授かったジョブ能力を活かせるだろうと考えてのことだ。
「アデル様、本日の依頼者の方がお見えです」
侍女であるメイアが告げて、アデルの営む復讐代行屋に今日もまた一人「客」が訪れる。
「執行人様! どうか、どうか私の恨みを晴らしてください……!」
その言葉を受けたアデルが神から授かったジョブ能力を発動させると、手には漆黒の大鎌が現れる。
《魔鎌・イガリマ》――。
アデルがかつて外れだと罵られた能力。
それは、相手の悪行に従い強さを増し、対象のジョブ能力を刈り取る能力だった。
「執行係数は7023ポイントか……。今回もかなりのクソ野郎だな」
アデルは呟き、漆黒の大鎌を片手に駆ける。
この世界に理不尽を生み出した悪人を今日も一人、処刑するために――。
【感想】
相変わらず長いサブタイトルと、それより短く、存在意義が疑われる【短いあらすじ】が目を引きます。
というか、【執行人】という名前でどんな効果があるかわからないって……。
従来のなろう小説でも、理解されずに追放という流れになるよう工夫が見られていたんですけどね。(それで面白くなるとは言っていない)
本作の問題点は、何と言っても主人公のジョブ能力の仕組みでしょう。
相手が悪行や外道行為を働くほど執行係数とやらが高くなり、高いほど主人公の戦闘力が増加するというシステムです。
しかし、ちょっとでも想像を働かせれば考えに至ると思いますが、「強い=より悪いことができる」という図式は成り立ちません。
つまり本編で登場する悪党どもは、どいつも悪行に対して実力が貧弱であり、その上主人公の「相手の力を奪う」というチートが重なることにより戦闘が面白くありません。
本編に話を移しますが、第七王子である主人公は【剣聖】ジョブじゃなかったからと追放されます。
この国は末子相続なのでしょうか?後継者とはかけ離れた子供に実力を求める意味が分かりません。(どうせ作者の都合でしょうが)
追放された後盗賊に襲われ、世界一固いとされるオリハルコンの剣で切られそうになります。
何故盗賊がそのような大層な代物を持っているのか。一応貴族の屋敷から盗んできたという理由付けをしていますが、実際のところは覚醒した主人公による試し切りの対象として作者が出したのでしょう。
ちなみにオリハルコンを砕いた際の盗賊の執行係数は5,000程度。対して追放を命じた父である国王のそれは1200万もあります。
星を砕くこともできそうな値ですが、当然ながら国王にはそれに見合うだけの実力なんかありゃしません。
物語は能力が覚醒し2年が経過した時点から始まります。
自身の能力を覚醒させた主人公は、依頼料と引き換えに悪人に罰を下す「復讐代行屋」を始めました。
始めたきっかけは糞野郎どもによる世界の理不尽を駆逐したいからだそうですが、だったら依頼料なんか取らずにやればいいのではないかと思いました。
本編に話を戻すと、作中最初の依頼はとある貴族令嬢でした。
なんでもその家の当主は自身の剣技を受け継がせたいために、子供に対してスパルタ教育を行っているとのこと。
相談に来た貴族令嬢は剣士系ではなく、魔獣を使役するテイマー系のジョブを覚醒させたため追い出されたらしいです。
この世界ではどのようなジョブになるかは基本的に運らしく、覚醒したか否かでその分野での活躍の度合いは天と地ほどの差があるそうです。
そんな設定なのに努力を重要視する執行相手は、まさに生まれる世界を間違えたと言わざるを得ません。
早速執行相手に会いに行く主人公。執行係数を確認すると7500と出ました。
盗賊より高いのはどういう理屈なのか、普通なら色々悪事を働いていると解釈しますが、なろう作家はそこまで考えてないでしょどうせ。
主人公と当主との戦いが始まりましたが、当主に対しジョブは強力だが実力が伴っていないため大したことないと評価を下します。
その上、手持ちの大鎌で当主を刈り取ると、当主はジョブの能力が発揮できなくなりました。
このように主人公は一撃当てただけで勝利になるうえ、敵を倒すほど相手の力を奪い強くなるため、戦闘バランスは話が進むごとにヌルゲーの一途をたどることになります。
続いてのターゲットはとある商会。ジョブではなく金の力で店を潰そうとする輩です。
そもそも奪う力がない相手ですが、魔術契約書なるもので行動を縛り解決しました。
色々とバリエーションを考えているつもりでしょうが、ほとんど主人公のチートで解決するため目新しさがありそうでありませんでした。
なんやかんやあったその後、実父である王が国民を支配するための計画を企てていることを聞いた主人公は王宮へと殴り込みに行きます。
大広間では主人公たちの兄である第一王子たちが待ち構えていました。しかし彼らは、町中の一連の騒動の原因は主人公であり、国家転覆を企んでいると思っていました。
主人公が対話を試みた結果、どうやら兄たちは父の計画を全く知らされていないようであり、それどころか主人公に一緒に謝るから国家転覆はやめろと気にかけていました。
それに対し主人公は、父の計画している悪事を知らせて説得しようとしました……
なんて展開になればまだましだったんですけどね。
本当は何も知らない兄たちに対し「無知は悪」だの「思考停止して何と称するべきかわからない存在」だの「あきれるどころか哀れに思う」だの散々な評価を下し、攻撃を加えました。
今まで主人公は人を善悪で判断し、悪を憎むようなキャラだったのですが、この場面では今まで断罪してきた悪人同様、力や知識を持たないものは虐げられて当然みたいな思想を持っていました。
ちなみに主人公が助けたとある獣人の少女は、同胞の治療という嘘に騙され大司教にひどい目にあわされたのですが、主人公の寵愛をうけています。
やはりなろう小説ですから、同じ境遇でも男は処刑、女はハーレム入りということでしょうか。
どんなに目新しい展開にしようとしても、根がなろう小説では必然的に結末は同じようなものになってしまうのでしょう。
ちなみにその後、兄たちは投獄され政体は君主制から共和制へ移行したようです。
兄たちの執行指数?作者が書かないことを考えると低いんじゃない?まあなろう小説だから、男ってだけで罪になるんでしょ知らんけど。
ここまでで第1部が完結し、第2部で勇者が登場しました。
が、なろうテンプレ通り実は荷物持ちが本人に知らせずバフをかけており、そいつを追放したことで弱くなりましたーという主人公の存在が不要になるエピソードになります。
新たな敵も出てきますが、個人的には主人公のインフレについていけてなく、期待が持てません。
ハーレム要員が増えるのが面白いと思うなら見るといいんじゃないかな。




