俺以外誰も採取できない素材なのに「素材採取率が低い」とパワハラする幼馴染錬金術師~の感想
【タイトル】
俺以外誰も採取できない素材なのに「素材採取率が低い」とパワハラする幼馴染錬金術師と絶縁した専属魔導士、辺境の町でスローライフを送りたい。
【あらすじ】
天才錬金術師として天狗になっていた幼馴染のルビーは専属魔導士のロイドを日常的にパワハラしていた。
ロイドの素材採取率はたったの40%であり、他の魔導士と比べてみても遥かに低い数値で、国中の笑いものであった。
無能の専属魔導士、金魚のフン、ルビーの幼馴染であること以外何の価値もない男。
これは世間一般のロイドの評価であった。パワハラと世間のバッシングに嫌気が指したロイドは幼馴染と絶縁し、自分の事を誰も知らない辺境の町でスローライフを送ろうと決意した。
しかし、世間はおろか本人ですら気づいていなかった。ルビーが気軽に指定する素材はどれもSレア素材ばかりで、他の魔導士であれば一つも集めることができないということに……。
【感想】
他のなろう小説とは、プロローグでの主人公の人間関係と追放までの流れが一味違いました。(面白いとは言っていない)
この世界では素材を調合して物を作る錬金術師と、その素材を採取してくる専属魔導士が存在し、主人公は専属魔導士として錬金術師のヒロインを支えていました。
ヒロインは世紀の発明によって宮廷錬金術師なるえらい称号を持っていますが、日々主人公にパワハラするそうです。
パワハラといっても急に呼び出して殺してくるようなものではなく、とってきた素材の鮮度が足りないといってゴミ箱に捨てる程度でした。
主人公も鮮度を保つために努力しているようですが、要求する側が不十分だと感じたなら主人公の責任ですし、ヒロインと恋人関係らしいのに鮮度維持する技術の向上に関して相談等した様子がなく、そもそもヒロインは嫌がらせではなく純粋に高品質なものを作りたいと思っているのでパワハラとは言い難いと思います。
というか、相手がもっともなことを言っているにもかかわらずパワハラ扱いする主人公の性格に、プロローグの時点で疑問を呈すことになりますが、なろう小説ではいつものことです。
それだけに飽き足らず、『素材採取率』なるトンでも尺度によって主人公の無能さを掘り下げようとします。まあ、主人公の性格に対してとは違い、こちらは作者が意図的に主人公下げをしているのですが。
専属魔導士は錬金術師が要求する素材をどれだけ取ってこれるのかを割合で表し、それが専属魔導士の能力のバロメーターとしています。
要求されたものを全部取ってきたら100%で、半分だったら50%みたいな感じですね。
一般的な採取率は90%以上なのに対し、主人公は40%と低いため、他の魔導士から嘲笑の的にされているそうです。
で、読者の方もとっくに気づいていると思いますが、この尺度はファーレンハイト度並みにガバガバで、素材の採取難度を全く考慮しておりません。
並の魔導士は取る事すら不可能な素材を取ってきても、希少で数が足らなかったら無能扱いされます。
一度作者連中をナーロッパに飛ばし、その奇妙奇天烈な設定を身をもって体験してもらった方がいいんじゃないでしょうか。
ちなみに、依頼にはタイムリミットがあるそうですが、それさえなければ採取率を100%にできるそうです。
タイトルにもある通り主人公だけしか採取できない素材で作る希少価値が高い製品で、かつ時間制限をかけるほど緊急性のある物って一体何でしょうか。作者は考えてないでしょうから、考えるだけ無駄でしょうが。
あくる日、ヒロインの我儘に付き合ってきたがもう限界だと別れることを決意します。
向上心あるヒロインに我儘のレッテルを貼り、それを上回る我儘を主張するというナローシュムーブが炸裂し、他のナローシュと比べて一歩抜きんでた屑という印象です。
主人公視点ではヒロインを捨てた気になっていますが、ヒロインの錬金の成功率は100%なので、どう見ても捨てられるのは主人公のほうです。
「本来なら自分が先に捨てられるけど、こっちが先に捨ててやったから俺の勝ち」みたいな負け惜しみでしょうか?屑中の屑の考えることはよくわかりません。
アトリエを飛びだした主人公は、自分の悪評が広まっていない新天地目指して旅を始めました。
前に流行った転生物よろしく、生活環境をリセットすれば事態は好転しかしないという考えでしょうか。
旧型と新型のハイブリッドナローシュとか、どんな優れた錬金術師も素材にできないんじゃないでしょうか。
目的地へ馬車で向かう最中、「デッドエンド」なる敵と遭遇します。
直訳すると死であり、自分より格上の、歯が立たない敵のことを指します。
主人公なら瞬殺できるのですが、同席していた冒険者が倒そうとしていたため、アドバイスをしました。
>「アイツは頭部が弱点だから頭を斬れば簡単に倒せる。それを知っていれば大丈夫だ」
>「アイツくそでけえけどどうやって頭部まで近づくんだ?」
>「そこは気合いで」
なるほど!頭が弱点だなんて考えもしなかったな~。流石ナローシュ!
まあ、主人公は爆発の魔法で瞬殺するんですがね。
そのせいで本気でしているつもりのアドバイスも、ただ格下冒険者をからかっているようにしか見えなくなりました。せめて魔法で援護してやれよ。
新天地に着き、同席した冒険者と一緒にこれからの身の振り方を考える主人公たち。
冒険者たちはヒロインと絶縁していることを知り、アトリエに戻ることを提案せず親身に相談に乗りました。少しはナローシュも見習うべきですが、自分を聖人と思っている狂人につける薬はありません。
冒険者は主人公に対しやりたい仕事を聞きますが、得意な魔法を使う仕事をやりたいが傭兵も冒険者も神官もやりたくないそうです。マジでヒロインと比べるのも失礼なレベルの我儘な屑ですね。
逆に何をやりたいかって?楽に稼げて充実感があって目立たない仕事らしいです。性格的にも犯罪者がピッタリじゃないでしょうか?
と、こんなにもふざけた態度ですが、冒険者から言われた軽口に対して顔面殴打で返答します。
作者がギャグでやってるといえば暴力も容認されるのはナーロッパらしいね。(ただしナローシュに限る)
ちなみにこの回の感想の返答によると、作者的には主人公を頭脳明晰に描いているつもりらしいです。冗談きついわ。
冒険者と別れ街をぶらつく主人公。そこで3人のならず者と遭遇します。
もちろん瞬殺することもできるのですが、そこに間もなく聖女が現れます。
ならず者は狙いを聖女に変更し、その様子を見た主人公は「女性を見てヤる事しか考えていない救いのない奴ら」と思いました。
まあ、主人公も別れた冒険者に対し「この後2人でエッチするんだろうな」とか考えていたんですけどね。
別れて間もなくこのエピソードを挟むって、作者はわざとやっているのかと思いますが、これでも主人公は頭脳明晰のつもりらしいです。ナローシュは作者に似る。
ならず者が聖女に気を向けている隙に、男の手首をひねってナイフを奪い取り、背負い投げで地面にたたきつけ無力化しました。
魔法だけでなく武術もできるという、俗にいう「チートの二度漬け」もこの小説には完備されております。
この聖女は真のヒロインなのですが、その実、クズな主人公が何をしても好意的な返答をするダッチワイフみたいなキャラでした。
ここで「実は聖女の正体はサキュバスであり、それに気づいた主人公は誘惑を跳ね除けアトリエに戻る」という流れなら一般的な小説に軌道修正できるのですが、なろう小説の読者にそのような精神面の強さなど不要ということでしょう。今後はとにかく主人公を甘やかし続ける展開になる以外考えられません。
(サキュバスでも相手するの嫌がるんじゃないかな)
その後も時代考証とか全く考えていないだろう描写が目立ち、いちいち紹介するのが煩わしいのですが、最後にエピソードを一つだけ紹介します。
道に迷ったナローシュと聖女は、冒険者ギルドで道を聞くことにしました。
しかしギルドに入る直前、ギルドに矢が放たれており、いかにも襲撃を受けた直後という感じでした。
のこのことギルドに入った2人は、ギルド内の冒険者から敵意の目を向けられます。
道を聞きに来ただけだと弁明するも、夜中の3時に聞きに来る奴がいるかと返されます。
そこにギルド長が登場し、聖女を見るや否や冒険者たちを謝罪させました。
立場が一転した聖女は、冒険者たちに(権限もないのに)処罰を言い渡しました。
意訳すると
「監督者であるギルド長は本来厳罰だけど敬虔な信徒だから不問。冒険者はギルド長が厳しく罰してね」
という裁定が下り、敵意を向けた冒険者たちは皆最低ランクに降格となりましたとさ。
施設内に矢が放たれるという異常事態においても、聖女であるアタシに敵意を向けるのは許さないということでしょうか。
なろう小説によくある事ですが、それまでまともそうなキャラでもナローシュのシンパになった瞬間、作者によってナローシュソフトがインストールされ、敵意を持つ者に対して一切の容赦をしなくなります。
この現象は本作品に限らず見られることですが、ナローシュが正義として見られなくなる原因ということをなろう作家たちは理解しようとしないため、今後もナロウイルスが蔓延することでしょう。




