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Fランク冒険者の成り上がり、俺だけができる『ステータス操作』で最強へと至る~の感想

【あらすじ】

Fランク冒険者のティムはある日、目の前に見知らぬ画面が見えるようになる。

自分の強さが数字となって表示されており、さらにスキルポイントやステータスポイントなどを割り振ることができるようになる

試しに取得経験値のスキルを取得すると経験値が2倍に、魔法のスキルを手にすると魔法が使えるようになった。

これまで馬鹿にされてきた主人公の快進撃が今はじまる。


【感想】

この世界の冒険者は15歳からなることができ、登録してから教育期間が設けられるようですが、主人公はそこで教わったことを何一つ身に着けられなかったそうです。

武器の扱い方、魔法の使い方はともかく、罠の見破り方も身に着けられなかったそうですが、最早そこまで要領が悪いなら別の生き方を模索するべきだと思うのですが、冒険者は出世するのに生まれを問われず、大成すれば大金を得て地位や名誉も思いのままで、果てには王族との結婚も夢ではないそうです。

ここまで欲望に忠実なナローシュも珍しいですが、本編を読み進めても人物像に面白みがないため、チャームポイントとはなりえないんですけどね。


ある日主人公が目覚めると、目の前にステータス画面が浮かんでいました。

なんで出てきたのか、そんな理由なんか作者は考えていないでしょうし、寝言で「ステータスオープン」といったからと答えられたらそれまでですし、伏線も糞もないでしょうから気にせずスルーします。

ステータス画面からスキルを習得し実際に使ってみると、今まで使えなかった技が使用でき、これでようやくスタート地点に立てたと喜びます。

今まで何一つ習得できなかったのに、ボタンを押すだけで技が出せるという異常事態ですが、主人公の頭の中は金と地位と玉の輿しかないのか、何一つ疑問が浮かぶことなく素直に受け入れます。


そして、物語は雑魚狩りレベルアップ編と命名するべき退屈な話が続きます。

雑魚を倒してレベルがいくつ上がっただの、スキルポイントやステータスポイントがいくつ増えただの、読者から見たらどうでもいい設定の羅列にうんざりします。これが面白いと思う人は適当なRPG買って遊んだほうがいい。

ようやくまともに戦えるようになった主人公は、以下のように決心します。


>同期に対して一年の遅れがあるので、俺は彼らに追いつき追い越すためにさらに努力をしなければならなかった。


一応敵を倒すという過程はあるものの、やっていることがズルそのものなのに努力と呼称しています。

底辺が考える努力ってこういうことですよね。テストで点を取るという目標に対し、まともに勉強せず別のことをやって努力したと宣い、挙句の果てにカンニングで点を取って努力した気になるみたいな?

私の偏見が入り混じった意見でしたが、少なくとも創意工夫が見られない修行は努力とは言いません。ただの作業です。


チートでようやく下から2番目に弱い雑魚を倒せた主人公は、ギルドから戦力とみとめられ、銀色のプレートをもらいました。

さらに、そのプレートはギルドと提携している施設に見せると料金が割引されるうえ、コボルト(二番目に雑魚の敵)を倒した報酬として、本来ゴールド以上のプレートを持っていないと入れない特別席に案内され、山のような料理を無料で振舞われます。

そのサービス、本当に主人公以外の冒険者も受けたのかと問い詰めたくなるような大盤振る舞いですが、作者が「ステータス操作できた時点から主人公をよいしょする展開だけにしよう」と考えた結果でしょう。それ以外だったら逆に怖いわ。


料理に舌鼓を打っていると、そこに主人公の同期のパーティが現れます。

なんやかんや同席となりますが、そこでメンバーの一人が主人公の努力(笑)を否定してきました。

まあ、通常は冒険者を始めて二週間で討伐する敵に一年間も苦戦していたのだから、努力していないと取られても仕方ありませんし、そもそも倒せるようになったのはチートのおかげなので、メンバーの言っていることは大体正論です。

努力していないといわれたことに反論する主人公。お前のようにスキルを手に入れて環境に恵まれればそれくらいできると「環境ガチャ理論」で反撃します。

それを言ったら他の冒険者もステータス画面をいじれたらもっと簡単に上に上がれたという話になるのですが、いきなり降って与えられた特権を努力の賜物と主張する馬鹿に論戦なんか100年早いと言わざるを得ません。

そこで口論になりますが、以下の方法で決着をつけるそうです。


>「準備期間を一ヶ月設けて、その間にそれぞれが自分のやり方で努力する。そして勝負に負けた方が謝る。これでどう?」


このセリフ、主人公が発したものではないのですが、そうだったら茶番以外の何物でもないですねこれ。

方や普通に戦闘訓練しているのに対し、雑魚狩りしてボタンポチポチ押すだけで強くなれるんですから。


決闘の約束をした翌日、Xデーに向けて主人公がとった行動、それは案の定雑魚狩りでした。

雑魚狩りで手に入れたポイントで後方に回避するスキルを習得するだけで一話使うという、話を面白くするという努力が全然見られない展開です。

この作品コミカライズするそうなんですけど、担当する漫画家がどう構成しようか頭を抱えている様子が目に浮かんでやるせなくなります。


その後、主人公のステータスが云々というつまらない話が続き、ようやく話らしいイベントが起きたのは三層に潜った時でした。

三層に潜っても敵は変わらずゴブリンとコボルトで、申し訳程度に頭に「戦士」とつけてただのゴブリンやコボルトよりは強いんですよー感をだしています。

主人公が敵を倒そうとしたその瞬間、他の冒険者の一団によってその敵を倒されます。

こうして他の一団と狩場争いが起きるのですが、MMOゲームじゃないんだから狩場の使用許可証とかあってもいいと思うのですが、そんな合理的なものを作るよりも主人公の活躍シーンを描きたいという作者の不合理な考えが優先されます。

一団の「先に攻撃を当てた方に狩る権利がある」というルールを逆手に取り、主人公は魔法を飛ばして瞬殺し、一団に手を出させず狩場を独占しました。


実はこのエピソードは本作品の最大の問題点なのですが、何かわかるでしょうか。

主人公はこれまで武器を使った近接戦のみをしており、ちょくちょく挟まれる字数稼ぎを伴ったステータス表記でも近接戦で使用するスキルのみを習得し、魔法を習得していませんでした。

しかし本エピソード前に微塵も出てこなかった魔法がいきなり出現します。

習得方法はもちろんボタンポチポチ。しかもスキルレベルを一気に上げることができるため、一団にいた現職の魔導士が当てられない距離も平気で当てられます。

完全に他人の努力を踏みにじれる設定をだし、寄りにもよってそれを主人公に付与するという正気を疑う設定がそこにはありました。

こんなことをして「努力してきた」だの「正々堂々と努力勝負する」みたいなことをほざく主人公を応援したいと思う読者は、果たして存在するのでしょうか。

というか、作者の裁量でいくらでもスキルを追加できるのだから、もはやステータス画面は意味をなさないと思うのですが……。人がゲームをやっているところを横から見る感覚で楽しんでいた人は激怒するべき案件です。


その後、狩場の争いが起きたとのことで主人公と一団のリーダーはギルマスに召喚されます。

そこでギルマスが主人公の経歴を聞き、以下のようにつぶやきます。


>「もし俺の推測が正しければ、近い将来ギルドを代表する冒険者になるのはそいつかもしれないな」


悪い意味で?


召喚された二人に対し、ギルマスは今回の騒動について判決を下しました。

判決は一団に対し半年間ダンジョンへの立ち入り禁止と、主人公に対する軽い警告でした。

二人ともはっきりしない所有権のせいで争ったのですが、主人公は真摯な姿勢で反省したためこの程度で済んだそうです。

一番の原因は狩場の所有権問題を漠然としたままで放置し、争いを引き起こしたギルドだと思うのですが、ギルマスは主人公の味方という役割を与えられており、そのキャラに泥をかぶせることができないため、この問題は見逃されたのでしょう。

今後裏で同様の争いが頻発すると思われるのですが、そんなことよりも主人公を持ち上げるのが最優先なので描かれることはありません。頭使うだけ無駄。


一団のリーダーを追い出し主人公と対談するギルマスですが、彼の口から色々と語られます。

主人公のように長年スキルが出ず、ふとした拍子に頭角を現し、あっという間にトップクラスへ駆けあがる、大器晩成型の冒険者が度々出現するそうです。

それに対し主人公の返答は


>「それがわかっているのなら、スキルが発現しない人間にももっと支援をしてくれても良かったのではないですか?」


何様のつもりなんですかねこいつは。自分は弱者だから助けられて当然という腐った根性が、透けて見えるどころかむき出しになっているのですが、どの口で努力してきたとかほざいているんだよ本当に。

主人公の図々しい意見に対し、大半はスキルを習得できないまま終わるから財源がないという至極当然の返答をするギルマス。

それに対し主人公は


>気持ちの上では納得がいかないが言っていることは正しい。


と考えます。正しいと理解できるなら納得しろや。

で、ギルマスは主人公に対し期待していると告白します。理由は人格に問題がないからとのこと。

主人公のように後天的にスキルを取得し成りあがったものの中には、これまでの反動で傲慢な振る舞いをするようになり自滅したものもいたそうです。

さっき傲慢以外の何物でもないセリフが飛び出したのですが、それは見て見ぬふりですがかね、ギルドマスターは。

ちなみに有望株ということで他のパーティに誘われる可能性が高いことを伝えられますが、主人公は団体行動できないのか入る気はないそうです。

理由は語られませんが、奴隷でパーティを組みたいんでしょうどうせ。


ギルマスとの対談を終えると、主人公に専属ギルド職員がつくことがわかりました。

最低でもBランク以上からつくものですが、主人公は特別なのでEランクでつきます。

この辺りで主人公の特別扱いのくどさに読む気が失せたので、ここで締めたいと思います。

最後に一言、コミカライズ担当の方、ご愁傷さまです。

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