【追放する側の物語】有能な仲間を追放したパーティーメンバーの俺。~の感想
【タイトル】
【追放する側の物語】有能な仲間を追放したパーティーメンバーの俺。案の定パーティーが弱くなり、追放した仲間は覚醒して「もう遅い」とかイキりちらかしてくるけど、別に戻ってきてくれなんて頼んでねえから。
【あらすじ】
【簡単なあらすじ】“追放する側”の物語。
【ちゃんとしたあらすじ】付与術師の僕――エストは、冒険者界隈でノリに乗っているシルバーランクのパーティー『スターダスト』から、突然追放を言い渡されてしまう。しかも追放を告げたのが、幼馴染で一緒に世界一の冒険者になろうと約束したリーダーのアテナだった。当然追放に納得がいかず理由を尋ねるが、どうやら『スターダスト』がもっと上に進むために、僕が邪魔になったらしい。確かに僕は仲間に対しての付与魔術しかできなかったけど、その他の雑用などは全て僕がやっている。パーティーの役に立っていると必死に伝えたけど、アテナは聞いちゃくれなかった。それもそうだよ。だって僕は邪魔者だったんだから。アテナは仲間のダルという男と、恋人の関係だったんだ。僕はアテナのことが好きで、相談していたダルも僕を応援していてくれていたのに、影では寝取られていたのだ。絶対に許さない。復讐に燃える僕は、突然覚醒する。付与魔術を自分にもかけられるようになったのだ。その力で成り上がっていく僕とは対照的に、僕が抜けた『スターダスト』はドンドン落ちぶれていく。はっ、いい気味だよ。言っておくけど、今さら戻ってきて欲しいなんて言っても遅いからね!! ……とか思ってんだろうな、エストの坊ちゃんはよ。まあ勝手に誤解してイキがるのもいいけどよ、これだけは言わせてくれ。別に、戻ってきて欲しいなんて頼んでねぇから。
【あらすじを読んだ感想】
タイトル、簡単なあらすじ、ちゃんとしたあらすじで三回も「追放する側」と念を押していますが、今までの追放物でも凋落していく追放側の話がちょくちょく挟まれるため、別に本作品が斬新だとは微塵も思いませんでした。
この設定で斬新な作品にしたいなら、せめて追放した理由をまともなものにするべきでしょうが、あまり期待できません。
【感想】
読むだけ時間の無駄でした。
他の有象無象の追放物と同じで、追放する側はアホみたいな理由で追放し、される側は手に入ったチートでイキり、主人公は実は最強だったというなろう小説特有の設定の欲張りセットみたいでした。
追放の理由ですが、エスト(追放される側)はサポート役としては強いが自身は戦闘力がなく、敵が強くなるにつれてメンバーがエストを守って戦うことが難しくなったからだそうです。
エストはいつか覚醒する予感がするけど、それがいつになるかわからず、このまま連れて行ったら覚醒前に死んでしまうかもしれないため追放したとのこと。
別にこのパーティーは金欠で悩んでいるとか、パーティメンバーを5人以上に増やすと誰か死ぬみたいなジンクスがあるわけでもありません。
そのため追放せずにお守り役を一人でも雇えば解決するのですが、作者は追放要素を入れて駄作を作るしか能がないのか、そうはなりませんでした。
ちなみに追放を決定したのはパーティメンバーである主人公ではなく、エストの幼馴染であるリーダーですが、エストを死なせたくないからといった理由は伏せて追放を言い渡します。
「甘い言葉を言ったら付け込まれるから」とのことですが、弱みを見せているわけでもないのに何をどう付け込まれるのでしょうか。全然想像できません。
主人公も主人公で、「待てば覚醒する」と言った後に、「最近あいつリーダーに媚を売っててリーダーが気の毒だ」とも思っていました。
引き止めたいのか追い出したいのか、追放するという強引な展開のために推し量るのが難しい心情になってしまっていると思いますが、なろうではキャラの心情より設定のほうが重要ですから、こんなもんです。
追放のショックでダンジョンに単騎で飛び込むエスト。そこで死にかけたため能力が覚醒し強くなりました。
これでパーティに戻れると思いきや、ちょっとした誤解により本気でパーティから離れることを決意しました。
その誤解の原因というのは主人公にあるのですが、主人公は誤解の全貌を知りつつも解こうとしません。
そのうえ、「誤解が生じたけど、気概のないエストが悪い」的な感じで責任転嫁をします。
これが、物語を通しての主人公のクズムーブの発端です。
今後の物語の流れは、「やたらアクの強いメンバーを纏めるのは大変だぜ、やれやれ」という主人公のスタンスで進んでいきます。
エストの代わりにメンバーを補充するも、自分勝手な行動のために連携が乱れ、エストの付与術がないために力を発揮できず、今までのような戦果を挙げられなくなりました。
一方、覚醒したエストは一人でダンジョンを踏破するなどの躍進を見せ始めます。
落ちぶれた元パーティに対し、エストは毒を吐きます。
そりゃそうだ、アホみたいな理由で追放した挙句、予想通り戦力が落ちましたーとかやってることがバカすぎてどうしようもない。
その上、主人公も追放に賛同した一人だというのに、まるで他人事のように振舞います。
それでいて「実はすごい力を持っているんですよー」みたいな設定をちらつかせているんですから、展開が馬鹿馬鹿しいことこの上ありません。
毒を吐くエストに対し主人公は。
>けどよ、今さら戻ってきて欲しいなんて言われたってもう遅いから、だぁ?
>あんましイキっても、後が怖えぞ。
>今後どうなるかなんて、分かったもんじゃねえんだからな。
>お前は知ることねぇだろうけどよ、お前が覚醒するのはなんとなく分かってたんだぜ。
>それでも俺は、お前ではなくアテナ(リーダー)について行った。
>なんでか分かるか?
>お前よりもアテナの方が強くなるからだ。
>それもよ、あいつはお前とは違って王道を通ってな。
>せいぜい今のうちイキっておけよ。
>そのうち、吠え面をかくことになるからな。
>あとな、これだけは言わせてくれ。
>別に戻ってきてくれなんて頼んでねえから
毒を吐くようになった原因が自分にあるとは微塵も思っていないことがよくわかりますね。
まるでエストとの対決を匂わせるような文章ですが、打ち切りエンドのように対決前に完結したため伏線でも何でもありませんし、リーダーがエストより強くなることもありません。
でもって主人公曰く、エストが能力を覚醒させたのは王道じゃないそうです。
パーティが弱っているのにもかかわらず実力をひた隠しする邪道が王道を語るというギャグシーンかな?おもろないわ。
で、いきなり魔神とやらが現れ、主人公は強すぎて抑えていた真の力を開放して圧勝。
その姿を見たリーダーは、自分が冒険者を志したきっかけは実は主人公の姿だと認識します。
そしてエストから幼馴染と居場所を奪った主人公が「俺たちの戦いはこれからだ」的な感じで物語は終わりを迎えました。
結局のところ、やっていることが「もし追放側が落ちぶれなかったら」をテーマにしているだけで、追放側に主人公を配置した結果、下種ムーブに対して何の報いもない胸糞悪い話が出来上がっただけでしたとさ。




