創成魔法の再現者 ~『魔法が使えない』と実家を追放された天才少年~の感想
【あらすじ】
「貴様は出来損ないだ、二度と我が家の敷居を跨ぐなぁ!」魔法が全ての国、とりわけ貴族だけが生まれつき持つ『血統魔法』の能力で全てが決まる王国でのこと。とある貴族の次男として生まれたエルメスは、高い魔法の才能がありながらも血統魔法を持たない『出来損ない』だと判明し、家を追放されてしまう。失意の底で殺されそうになったエルメスだったがーー「血統魔法は祝福じゃない、呪いだよ」「君は魔法に呪われていない、全ての魔法を扱える可能性を持った唯一人の魔法使いだ」そんな時に出会った『魔女』ローズに拾われ、才能を見込まれて弟子となる。そしてエルメスは知る、王国の魔法に対する価値観が全くの誤りということに。5年間の修行の後に『全ての魔法を再現する』という最強の魔法を身につけ王都に戻った彼は、かつて扱えなかったあらゆる魔法を習得する。そして国に蔓延る間違った考えを正し、魔法で苦しむ幼馴染を救い、自分を追放した血統魔法頼りの無能の立場を壊し、やがて王国の救世主として名を馳せることになる。
-----------------------------
【あらすじを読んだ感想】
『血統魔法』。名前からして代々受け継いでいく魔法であることがわかりますが、子供が血統を受け継がなかったら、子供に当たる前に妻の不貞を疑うべきなんですがね。
あと、この世界の継承法が不明なのですが、長男はどうしたんですかね?
普通なら長男が継ぐと思われるのですが、主人公と同じく継がなかったのでしょうか?
もし継いでなかったなら、この家だと主人公より先に追放されて、生まれてなかったことにされてそうなので、恐らく継いでいると考えられます。
だとしても次男の主人公にきつく当たる理由がわかりませんね。そこら辺は本編を見てみたいと思います。
-----------------------------
【本文の感想】
この世界の貴族は血統魔法という強力な魔法を生まれながらにして受け継いでおり、その力を用いて領地を守護することで権力が約束される存在のようです。
そのため血統魔法を受け継がず、領地を守れない主人公は貴族にあらずとして追放されましたとさ。
数多くの掃いて捨てるほどある追放ものの中でも、中々納得できる理由ではないでしょうか。
まあ、私が即興で考えた嘘なんですけどね。
本当は強力な魔法を使える息子を利用して成り上がろうとした父親が、散々目をかけてやったのに期待を裏切ったから、ブチギレて主人公を幽閉、追放したそうです。
追放された主人公は、魔女であるローズに邂逅。血統魔法を持っていないことに驚愕されます。
実は血統魔法というのは、強力な魔法を簡単に使えるようになる半面、他の魔法を使うことができないという制約があるそうです。
そのため血統魔法を持たない主人公は、あらゆる魔法を使うことができる可能性の塊だそうです。
この小説とは関係はないのですが、以前私が目を通したなろう小説の中に、「無職というのは色々な職業につける可能性が広がっている。だからすべての職業のスキルが使えるんだ!」という設定を思い出しました。
本当に関係ないのですが、コピーして粗製乱造されるなろう小説のせいで関係性を考慮してしまいました。
可能性の塊である主人公は、ローズの下で5年間修業を積んだそうですが、具体的にどのようなことをしたというのは後程語られます。
ぶっちゃけ、語られないほうがよかったかもしれません。この小説のテーマを木っ端みじんに粉砕する内容だったので。
修行の後王都に戻った主人公は、道中幼馴染の令嬢が(都合よく)追われているところに遭遇します。
助太刀して事情を聴いたところ、この国の王子からあらぬ嫌疑をかけられ、捕まれば冤罪を着せられてしまうところだったそうです。
王子に相当な権力があることがわかりますね。本当なら二人で亡命しなければならないほど事は重大だと思うのですが、令嬢の父親が法務大臣を務める公爵であり、抗議したら解決したようです。
ここら辺の権力バランスがよくわかりませんでした。
ここで王子の話をしますと、王子は生まれながらにして強力な魔力と血統魔法を受け継いだ天才であり、幼いころから甘やかされて育てられたせいで傲慢な人物に育ちました。
ちなみに主人公も似たような境遇ですが、こちらは使用人がまともだったからそこまで傲慢に育たなかったそうです。まあ、傲慢になる代わりにサイコパスになってしまったんですが。
主人公の膨大な魔力を一目見た王子は、こいつには勝てないと自信を喪失しますが、魔法を使えないとわかるとやはり自分は選ばれた人間だったのだと傲慢さに拍車がかかります。
そしてその傲慢さによって上記のような凶行を走るのですが、彼も父である王には逆らえないようです。
しかし、王は影も形もなく、ただ王子が恐れる唯一の相手として存在だけ出てきます。
王子の凶行を唯一止めることができる存在なのですが、みなさんご存じの通り本作の王子は主人公のサンドバッグなので、行動を改められると主人公もとい読者が気持ちよく殴ることができなくなってしまいます。
なので王子をたしなめる存在は徹底的に排除した結果、おかしな展開になってしまいました。なろう小説では珍しくないですが。
その王子の取り巻きの一人に主人公の兄がおり、膨大な魔力を持って生まれた主人公に対し、血統魔法を受け継ぎながら、主人公が追放されるまでないがしろにされていたそうです。
そして二人は対決し、当然主人公が圧勝するのですが、そこで主人公が使っている魔法や5年間の修行の内容が明らかになります。
選ばれた者だけが使える血統魔法と違い、主人公が使う魔法は誰もが使うことができます。
その使い方なのですが、ルーン文字という従来とは別の言語があり、69種類存在します。
その全ての新言語を習得したうえ、さらに細かい違いを見分ける必要のある記号を覚えて漸く半分の地点に到達するとのこと。
主人公はその修業を5年で終えたそうです。
私はこの小説のテーマは、てっきり主人公たちのような凡人が天才の血統魔法に努力で立ち向う的なものだと思っていたのですが、本当は大天才が天才を打ち負かす物語だと、この地点で思いました。
「誰でも魔法を使えますよ!ほんの69種類の言語と記号とその他諸々を習得すればね!」
嘘は言ってないね。納得もできないし、感動もくそもあったもんじゃないけど。
それなら血統魔法使える奴のほうが偉いと思いますよ、簡単に強力な魔法を使えるんですから。
それでもって主人公は王子に相対した際、このように言いました。
「僕はただ、知って欲しいだけです。……魔法は神様の贈り物で、それ以上どうしようもないものなんかじゃない。努力次第で誰にでも可能性があって、もっと自由で──そして、美しいものだってことを」
うん、可能性はあるよね。69種類以下略を覚えられればだけど。
で、自由だけど、血統魔法持っている人は自由じゃないんだけどね。血統魔法以外使えないから。
師匠から血統魔法は自由を奪われた呪いだと教わったのですが、血統魔法持ちの王子に対して「魔法は自由なんだよ!」と説くつもりなんですかね。
両足を事故で失った少年にサッカーをやる面白さを説こうとする、まさにサイコパスというほかありませんね。
色々あって騒動を引き起こした王子は王族としての立場を剝奪、主人公は追放した父に代わりに伯爵家を継いで一章は終わります。
で、二章に続くわけなのですが、その内容が
・エルメス君(主人公)、実力を隠して学園に通う。
・学校内にはびこる封建主義を破壊します。
・新ヒロインも登場予定!
5年間の修行なんかなかったといわんばかりに学園へ行き、生徒相手にイキり散らすさまが容易に想像できる内容となっております。
最初はほかのなろうより幾分まともかと思いましたが、どうやら思い過ごしだったようです。




