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第九十四話 立ち合い

「名前は?」


「ウルです」


「どこから来た?」


「えっと、遠いところ?」


「ふざけてるのか?」


「いえ、真面目です」


 俺は詰所の一室で女兵士に囲まれて取り調べを受けている。

 ……正直とても目のやり場に困る。


「お前、さっきからどこを見ている。ちゃんとこちらを見て話さないか」


「あの……なんでそんなに薄着なんですか?」


「何を言っている。暑いからに決まっているだろう。お前は暑くないのか?」


「……暑いです」


「脱げばよかろう」


 ……価値観が違いすぎてどうしたらいいか分からない。


「いえ、大丈夫です」


「まあいい。それで、どうやってこの街に入った」


「えっと……実は記憶がないんです」


「なに?」


「名前しか思い出せなくて……」


「ふむ……」


 女兵士は腕を組み顎に手を当てた。

 いけるか……?


「それでは、思い出すまでここで過ごすことになるな」


 駄目だった。


「困ります」


「……なにが困るんだ?」


「いえ……えっと」


「嘘は身を滅ぼすぞ? とりあえず一晩牢で頭を冷やせ」


 ……マジか。

 俺は両脇を固められ、詰所の中の牢に閉じ込められた。


「また明日話を聞いてやる。それまでに記憶を取り戻すんだな」


 牢の床に座り、天井を眺める。

 どうしてこうなったんだっけ? 

 ……もういいや。寝よう。


 俺は考えることを放棄した。


「おい、起きろ」


「んぁ?」


「……お前、図太い奴だな。取り調べの時間だ。出ろ」


「はい……」


 俺は寝起きの頭でふらふらと牢を出た。


「……昨日と同じ場所じゃないんですか?」


「黙ってついて来い」


 ついて来いって……詰所出てるじゃん。あぁ……また目立ってる。

 外に出ると通行人の好奇の視線に晒された。

 下を向いて歩いていると、目的地に着いたのか両脇の女兵士が足を止めた。


「ここは……?」


「『女帝宮』だ。少し待っていろ」


 右にいた女兵士が城門脇の詰所へ歩いていく。


 ……女帝宮? お城?


 戸惑っているうちに女兵士が戻ってきた。


「行くぞ」


 あれよあれよとひきずられ、俺は城の中へ連行された。


「あの……」


 俺が女兵士に声をかけると、慌てた様子で口をふさがれた。


「城の中で許可なく会話をすることは許されない。黙っていろ」


 小声の注意に俺は頷いた。


 そして、ひときわ豪華で大きな扉の前まで来ると、両脇に立っていた女性兵が扉を開けた。


 ……謁見の間じゃん。嫌な予感しかしない。


 扉の向こう。足を組んで玉座に座る、薄着で豪華な女性。


「アリエル様! 怪しげな男を連行しました!」


 右側の女兵士がはっきりとした大きな声で報告した。


 アリエル様ー……あ、頭痛くなってきた。


「ご苦労だった。下がってよいぞ」


「はっ」


 両脇の女性たちは敬礼すると回れ右をして部屋から出ていく。


 俺も一旦下がっていいかな……。


 後ろを向こうとした俺にアリエルが声をかけた。


「ウルとやら」


 無理だった。


「はい」


「お前には今から俺と立ち合ってもらう」


「……はい?」


「この国はなぜか男が少なくてな。お前のような男は貴重な人材なのだ。そして、この国では実力が全て。俺がお前を測ってやる」


「ちょっと何をおっしゃってるか分かりません」


「察しが悪いな……減点だぞ? つまり、お前の嫁を見つけてやると言っている」


「は? 嫁ですか?」


「何を驚いている。この国では女は選り取り見取り。お前に合った女なら何人でも好きに交わえばよい」


「……いえ、それはちょっと」


「お前、自分の立場が分かっていないようだが……この国から出られると思うなよ?」


「えっ!?」


「当たり前だろう。男は貴重な存在だと言っただろう。むざむざ逃がすわけなかろう」


「ちょっと困るんですが……」


「お前の都合など知らん。いいからついて来い」


 アリエルはそう言うと、俺の首根っこをつかんでづかづかと歩き始めた。


「おわっ」


 中庭まで引きずられて、突然放り投げられた。

 俺が足から着地すると、アリエルは面白そうに笑みを浮かべた。


「少しは楽しめそうだな。では戦(や)ろうか」


 アリエルは何もない空間から巨大な斧を取り出すと、勢いよく俺に向かってきた。


 ゴッ!


 音を立てて振るわれた横なぎを紙一重で避けると、アリエルはその勢いを利用して体ごと回転し、間合いを詰めてもう一撃放つ。


 ……とりあえず避け続けてみるか。てかこれ当たったら死ぬんじゃ?


「あの、この攻撃って当たったら死にません?」


「話す余裕があるとはなっ!」


 後ろに大きく跳躍し、横なぎの一閃をやり過ごす。


「ふむ。なかなかやるではないか。何度も言わせるなよ? 男は貴重だと言っただろう。殺すようなことをするわけがあるまい」


「そ、そうですか」


 ……当たったら痛そうなんだけど。


「これ、いつまで続きます?」


「俺がお前に一撃見舞うか、お前が俺に一撃見舞うかだな」


「……そうですか」


 それじゃ、そろそろ終わらせようか。

読んでくださってありがとうございます!


アリエル登場!なんと悪魔が国を作っておりました\(^o^)/笑

そして嫁をあてがうために立ち合いに突入!( *´艸`)

我ながらとんでも展開です!٩( ''ω'' )و

それでは次話もお楽しみに(*‘∀‘)ノシ

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― 新着の感想 ―
読了しました!! まさかのまさかの展開Σ(゜д゜;)!! アリエル、登場回でしたね! 次回も楽しみにしております(*´ω`*)
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