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第九十三話 アマーズ

「レベル91になったよー!」


 カナエが満面の笑みでそう報告したのは、修行を始めて三週間が過ぎた頃だった。


 予定よりも一週間も早かった……ワケガワカラナイヨ。

 まぁ、一番やばかったのはキリエだけどな……。

 なにはともあれ、これで全員がレベル90を超えたことになる。


「それじゃあ、これで『瀑布の祠』に向かえるな」


「おう! 腕が鳴るぜ!」


 レベルを92まで上げたグランは、早くダンジョンに行きたいようだ。


「グラン。帰ってきたら手合わせだぞ」


 最終的に勝率を六割まで落とされたジークである。


 ……逆転されそうだけど大丈夫なのか?


「明日の朝出発するからなー。忘れ物しないように荷物整理しとけよー。特にグラン」


「なんでだよ!」


「この中で一番抜けてるの、お前じゃん」


「ぐっ……」


 グランは慌てて周りを見回したが……反論できなかったようだ。


「食事を用意してある。今日はゆっくりと英気を養うがいい」


 ジークが王の威厳を発揮した。


「お、サンキュー! 俺が集めた素材も役に立ててくれよな」


「ああ。助かったぞ。とは言ってもお前たちが使い潰した装備も……結構な金額になるのだがな」


「おつりが出るだろ? それとももっと必要か?」


「いや要らん。もう保管場所も一杯だ」


 ……なら言わなきゃいいのに。


 その後、俺たちはジークが用意してくれた豪華な食事に舌鼓を打ったのだった。


 ※※※※※


「それじゃあ、サリア先生お願いします!」


 次の日の朝、ヴォルムス郊外まで移動した俺たちは、いつも通りトレインカーに乗り込んだ。


「はいはい……ルゥさん、またいなくならないでね?」


「おいおい、やめてくれよ……」


「サリアずるい! それ私の台詞なんだけど!」


 リーズがサリアに抗議する。


「え……ごめんなさい」


「いや、俺に謝るところだろ」


「なぁ、早く行こうぜー」


 グランに急かされ、俺たちは口をつぐんだ。


「それじゃあ、行くわよ」


〘デバイン・ゲート〙


 視界が暗転する――


「マジかよ……」


 俺はがっくりと両手を床についた。

 何もない広い部屋……そして膝を抱えて座る管理者。


「……今度はなんですか?」


 こみ上げるイラ立ちを抑え、俺は笑顔で問いかけた。


「……」


 相変わらず聞こえない。

 レミエルに近づき顔を寄せる。


「もう一度お願いします」


「どこへ行こうとしたの?アリエルは瀑布の祠にはいないよバカなの?そもそも救ってほしいって言ってるのに原罪を倒しにいってどうするの――」


「わっ!」


 びくぅ!!


「早口すぎてよく分かりませんでした。一つずつ説明してください」


「……アリエルは瀑布の祠にはいない」


「どこにいるんですか?」


「アマーズ」


 ……あまーず?


「アマーズって何ですか?」


「国みたいなもの」


 ふむ。アマーズっていう国? にいるのか。


「どこにあるんですか?」


「パグア島の東側」


「近いんですね?」


「そう」


「で、救うってどうすればいいんですか?」


「アリエルの良識を飲ませればいいって言ったよね?バカなの死ぬの?早く救ってよ――」


「わっ!」


 びくぅ!


「そうでした。それは聞きましたね。それじゃあ、アマーズへ行って、アリエルの本体を探して、アリエルの良識を飲ませれば救えるんですね?」


「……そう」


「はぁ。この塔はアマーズにあるんですか?」


「そう」


「わかりました。それじゃあ行ってきますね」


「早くして」


 ……ほんとめんどくさいなぁ。


 ※※※※※


「あー……いるなぁ」


 塔を出た瞬間、左手の紋様が反応を示した。


「しかし……暑いな」


 べたつくようなじめっとした空気。そして日の光がじりじりと俺を焦がしている。


 通りには木で作られた建物が並び、薄着の人たちが行き交っていた。


 薄いっていうか……あれは肌着だな。


 そして……目に映るのは女性ばかりだ。 


 恥ずかしげもなく堂々と行き交う姿に、なぜかこっちが恥ずかしくなった。


 変わった国だな……。


「さて、どうするか……」


 できれば皆と合流したいんだけどな……パグア島に行く方法でも探すか。


「海ってのも見てみたいしな」


 俺は塔から真っすぐ続く道を歩き始めた。


「……なんか視線が痛いな」


 服装が珍しいのか男だからなのか、俺は通行人の視線を集めていた。そして――


「そこのお前。止まれ」


 なぜか二人の女性に止められた。腰に剣を差し、兜をかぶっているところを見ると兵士なのかな? 薄着だけど。


「なんですか?」


「お前、どうやってこの街に入った?」


 …………。


 しまった。そうじゃん。塔からワープしてきたんだった。


「怪しいやつだな。ちょっと詰所まで来てもらおうか」


 言い訳を考える暇もなく、俺は女兵士に挟まれ連行された……。

読んでくださってありがとうございます!


修行も終わり、瀑布の祠へ向かったと思いきや……再び拉致られる主人公……( ;∀;)笑

どでだけ強くてもトラブル体質は治らないようです\(^o^)/

さて、ルゥも勘違いしていましたが、レミエルの依頼は原罪を倒すことではなく、アリエルを救うこと。

今までにない展開に、ルゥはどう対応するのか……。

それでは次話もお楽しみに(*‘∀‘)ノシ

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― 新着の感想 ―
読了しました!! 皆、レベル上がるの早いですね(*´ω`*)!! トントン拍子で進む感じがたまりません!! そして、ワープしてきたことを忘れて……捕まった!? 次回も楽しみにしてます(*´ω`*)
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