↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
92/96

第九十二話 涙

「くっ……参った」


「うおぉぉぉぉぉっ!」


 観客のいないラヴィウスコロッセウムに、グランの雄叫びが響き渡った。


 塔での修行を始めて二週間が経ち、ついにグランがジークフリードから一本取ったのだ。


「やったじゃん」


「ルゥ! ようやくジークさんから一本取ったぞ!!」


「ああ。ちゃんと見てたよ。剣技も、体さばきも、かなりレベルが上がったな」


「だろ!?」


「おいグラン。確かに今回はやられたが、十回中一回だからな。あまり調子に乗るなよ?」


 ジークフリードのツッコミにグランは言葉を詰まらせた。


「悔しそうだな、ジーク」


「うるさい! 俺だって政務さえなければ……!」


「国なんて作るから……」


「あの頃の俺は、皇帝なんてふんぞり返っていればいいと思っていたからな……」


「アホなのか?」


「……ルゥ。次こそはお前に一撃見舞ってやる」


「やってみろよ」


 俺とジークは武闘場で向かい合い、剣を構えた。


 ※※※※※


「くそー、結局あの後一回しか勝てなかった……」


「……」


「二人とも、ちゃんと休めよ?」


 あの後何度か対戦を繰り返し、へとへとになった二人と共にゆっくりと城へ戻っていた。

 何やら考え込んでいたジークが口を開く。


「ルゥよ。お前の強さはレベルだけでは説明がつかない気がするのだが……」


「ん? そうか?」


「俺たちとお前のレベルの差は20も無いだろう? しかし、どうやっても追いつけない壁があるような気がしてならんのだ……」


「気のせいだろ? 俺だって危ないときもあるしさ」


「しかし、一撃も入れられないのはどう考えても……納得がいかん」


「うるさいな。とりあえずレベル100になってから文句言えよ」


「とりあえずでなれるなら苦労しない!」


 逆切れしやがった……めんどくさい奴だなぁ。


「ジークさん! 一緒に頑張りましょうよ!」


「うっ、グラン……そうだな。やるしかないか……」


 ナイスグラン! 俺は心の中でグランに拍手を送った。


 ※※※※※


 俺は城の客間のベッドに寝転がり、一枚のメモとにらめっこしていた。


「うーん……やっぱりネックはキリエだな……」


 メモに記されているのは、今日確認した仲間たちのレベルだった。

 グランが87、リーズとシルが86、ルチアとサリアが89、カナエが80。そしてキリエが65。


「やる気の問題なのか、もともとの素質なのか……素質はあると思うんだけどなー」


 ベッドから起き上がり、ルチアの部屋へと向かった。


 コンコンッ


 軽くドアをノックすると、少しして内側からドアが開いた。


「ルゥ。こんな時間にどうしました?」


「遅くにごめんな。キリエのレベルのことで話があって」


「なるほど。どうぞ、入ってください」


「お邪魔します」


 ルチアの部屋はなぜか少しいい匂いがした。

 キリエが向ける殺気を中和してくれている……。


「おいキリエ。お前、レベル上げサボってないか?」


「死ねくそ虫」


 ……通常運転だな。


「いや、別に俺を嫌うのは構わないんだが……今のレベルだとこれから先の戦いには連れていけないぞ? いいのか?」


「……トレインカーはワタシが運転するんだ」


 どうやら自覚はあるようだ。反論も弱々しい。


「俺としても連れていきたいんだが、それ以上に死なせたくないからな。レベル上げで躓いていることがあれば、相談に乗るぞ?」


 …………。


「キリエ。ちゃんと説明しなさい」


 いつまでたってもキリエが口を開かないのを見かねたのか、ルチアがたしなめるように言った。


「……ワタシは、死ぬことが怖い。塔で初めて死を経験した時のことを思い出すと、体が言うことを利かなくなる……」


 キリエは両手で体を抱え震えていた。


 ……トラウマか。


 大半の人は同じ悩みを抱えてレベル上げを断念するんだよなー。

 ってことは66階層で初めて死んだってことか?

 やっぱり素質あるじゃん……。


「なるほどな……その恐怖は分かるけどさ。キリエはどうしたいんだ?」


「……もっと強く……おねぇ様に……お前に並ぶ強さが欲しい」


 俺を睨みつけるキリエの目から、一筋涙がこぼれた。


「分かった。ちょっと試してみよう」


〘施錠〙


 俺はキリエにスキルを使用した。


「ルゥ?」


 様子を見ていたルチアが戸惑いの声を上げる。


 キリエは目を大きく見開き、震えが止まった自分の両手を見下ろした。


「……ワタシに何をした」


「お前の『恐怖心』を施錠した。上手くいったみたいだな。これでもう一度挑戦できるだろ」


「……なるほどな。たまには役に立つじゃないか。見ていろ。すぐに追いついてやる」


 ……調子が戻ってきたようで何よりだ。

 レベル上げが終わったら、忘れずに戻しておかないとな……ルチアに知らせてもらおう。

 俺は自分を過信しない男なのだ。


読んでくださってありがとうございます!


キリエの目にも涙……。

自分の力不足と、体に染みついてしまった恐怖。自分が許せない。そんな感情が見せた涙……。

ルゥにかかればあっさり解決ですね(ノ∀`)笑

これからも思いつくままにスキルの可能性を広げていきたいと思います!笑

それでは次話もお楽しみに(*‘∀‘)ノシ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
読了しました!! 普段から気の強いキリエにそんなトラウマがあったとは……!  ルゥのスキル、本当万能ですね!! 恐怖を施錠! 戦闘面以外でも使えるスキルって凄い!! キリエの今後に期待ですね! 次回…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。