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第七十八話 武闘祭決勝

 一歩、二歩、マッスルエイトがおぼつかない足取りで前に進む。

 ……アンデッドモンスターみたいだな。操られてるのか?


〘施錠〙


 俺は試しにガルマドラの『スキル』を施錠した。

 

 ドサッ


 マッスルエイトがその場に崩れ落ちる。


「マッスルエイト選手! やはりダメージに耐え切れなかったか!? ついに動きを止めました! 準決勝、勝者はルゥ選手です!」


 ウオォォォォォ!!


 会場が割れんばかりの歓声に包まれる。マッスルエイトを称える拍手も鳴りやまなかった。


 ガルマドラを見ると表情から笑みが消えていた。

 やっぱりあいつの仕業だったのか……。それにしても、何が目的だったんだ?


「決勝戦は一時間後に開始します! 皆さま、今しばらくお待ちください!」


 ※※※※※


「おい、ガルマドラのことだけどさ、あいつ何か企んでるぞ?」


 俺は貴賓席に戻り、ジークフリードに声をかけた。


「そうか……。まぁ、大方俺を狙った刺客だろう」


「刺客だろうって、ずいぶんあっさりだな?」


「慣れているからな」


 ……お前もかよ。


「気づいてたか? あいつ、気を失ったマッスルエイトを操ってたぞ?」


「もちろんだ。『傀儡師』や『人形師』といったところだろうな」


 へぇ。そんなギフトがあるのか。


「まぁいいけどさ。警戒だけはしとけよ?」


「なんだ、心配してくれているのか?」


「お前のことじゃねーよ」


 念のため、対の刃を集めて俺の考えを伝えた。


「会場でなんかあったら頼んだぞ」


 皆は気合のこもった目で頷いた。


 それじゃ、俺も頑張るか。


 ※※※※※


「大変お待たせいたしました! これより武闘祭の決勝戦を行います!」


 オオォォォォォォッ!!!


 会場の熱気が最高潮に達している。

 何事もないといいんだけど……。

 実況のアナウンスと共に、俺とガルマドラは武闘場に上がり、互いの声が届くくらいの距離で向かい合った。

 

「お前、何を企んでるんだ?」


 …………。


 無視か。


「この世界を混沌で満たす」


 しゃべるのかよ。


「お前は邪魔だ」


「はいはい、そーですか」


「それでは――はじめ!!」


 実況の合図と共に、ガルマドラは俺に突っ込んできた。

 そして懐から取り出したナイフを、俺に向かって投げつけた。

 俺はそれを避けながら、間合いに入ったガルマドラの顔面を優しく蹴り上げる。


 ゴッ!


 さらに、跳ね上がった頭に踵落としをお見舞いする。


 ゴンッ!


 ガルマドラは武闘場に顔面を強打した。

 

「まだやるか?」


 倒れたガルマドラに声をかけると、何事もなかったかのように跳ね起きた。


 おいおい……どんなカラクリだ?


「しねしねしねしねぇっ!」


 ガルマドラは物騒なことを叫びながら、両手に持ったダガーを繰り出す。

 俺はその攻撃を避けながら、会場にも意識を向ける。

 すると、明らかに周囲と様子の違う場所があることに気づいた。

 ……誰かが倒れたのか?

 前のめりに倒れた観客を、周りの観客が気遣っているように見える。


 ……まさか?


 俺はガルマドラをこづいてみる。

 吹き飛んだガルマドラは武闘場の上をごろごろ転がると、まるで痛みを感じていないかのように起き上がる。

 そして――

 別の一角で、また一人の観客が倒れた。


 くそっ!

 いや、どういうことだ? さっきアイツのスキルは封じたはずだぞ?

  

「おーっとルゥ選手! ガルマドラ選手の圧倒的な手数の前に防戦一方です!」


 ……うるさいよ!

 実況に煽られ、いい解決策も思いつかない。俺の怒りは静かに高まっていく。

 いっそのことコロッセウム全体を施錠してやろうか……そんな妙案が浮かんだその時。


〘アンチ・カース〙


 コ(・)ロ(・)ッ(・)セ(・)ウ(・)ム(・)に(・)い(・)た(・)す(・)べ(・)て(・)の(・)人(・)を光のオーラが包み込む。そして――


「ぐっ」


 うめき声をあげ、たたらを踏むガルマドラ。

 なんだ?

 明らかに弱体化したガルマドラの姿に俺は混乱した。


「ルゥ! もう大丈夫だ!」


 グランが観客席の最前列で叫ぶ。


 ……ホントだな? ちゃんと責任とれよ?


 俺はガルマドラを撫でるようにビンタする。


 バチンッ!!


 武闘場の端まで吹き飛んだガルマドラは、倒れたまま起き上がることはなかった。


「ルゥ選手のカウンターが炸裂! ガルマドラ選手、立ち上がれません! 優勝はルゥ選手です!!」


 オォォォォォォォォッ!!!


〘施錠〙


 会場の盛り上がりに紛れて、俺はガルマドラ自身を施錠した。


 立ち上がらないガルマドラに回復班が駆け寄り、一人が肩に担いで連れていく。

 去り際に、その男が俺を見て親指を立てた。


 あ……老騎士さんだ。


 ※※※※※


 そのあと閉会式やら何やらをこなした俺は、くたくたになって王城へ帰ってきた。

 客間に戻り、ソファーに倒れ込もうとしたその時、部屋の扉が開け放たれた。


「ルゥ! ガルマドラの様子がおかしいぞ」


 ジークフリードの言葉に記憶がよみがえる。


「忘れてた。開錠しないと」


「お前なぁ……」


 俺はジークフリードに連れられて、ガルマドラの元へ向かったのだった。

読んでくださってありがとうございます!

不死身の男ガルマドラ!かと思いきや、からくりがあったようです(;^_^A

シルが良い仕事してくれました(。-`ω-)

そして施錠したことを忘れる主人公……笑

それでは、次話もお楽しみに(*‘∀‘)ノシ

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― 新着の感想 ―
読了しました!! 不死身の男、ガルマドラの能力ってもしかして……他の人物の意識と自分の意識を繋げて、生贄に出来るみたいなことですかね?? 何にせよ、めちゃくちゃ強い能力! それでも、スキルであればル…
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