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第七十七話 大いなる闇の僕

「皆さまお待たせいたしました! 武闘祭二日目、ついに本日、最強が決まります!」


 オォォォォ!!


「それでは最後まで勝ち残った三名の選手をご紹介いたします! 一人目の選手! 『筋肉の伝道師』! マッスルエイトー!」


 オォォォォ!!


「二人目! 初出場ながら圧倒的な実力を見せつけた! 『大いなる闇の僕(しもべ)』! ガルマドラー!」


 オォォォォ!!


「そして三人目! 謎の飛び入り少年! 『シークレットルーキー』! ルゥー!」


 ブーブー!オォォ!


 相変わらずブーイングも聞こえるが、普通に応援してくれる人もいるんだな……。

 ガルマドラから視線を感じるが……とりあえず無視だな。

 ……どこかで会ったことあったっけ?


「それでは二日目の試合について、ジークフリード陛下からご説明いただきます!」


 実況の隣に座っていたジークフリードが立ち上がり、拡声器を通じて話し始めた。


「皆の者、武闘祭を楽しんでくれているだろうか?」


 オォォォォ!!


「うむ、何よりだ。今回、私の都合で急遽一名を参加させたことを許してほしい。しかし、彼の実力は私が保証しよう。この大会を盛り上げてくれることを確信している」


 マジで黙っとけよ。……『施錠』するか?


「本来であればこれから決勝戦を行う予定であったが、今回三名の選手が残っているからな。今日の試合はくじ引きで組み合わせを決めようと思う」


 ざわざわ……


「当然、飛び入りのルゥ選手には一試合多く戦ってもらう。マッスルエイト選手とガルマドラ選手にくじを引いてもらい、当たりを引いた者がルゥ選手と対戦する。そして、その勝者とくじに外れた者で決勝戦を行う」


 ……なるほど。無難だな。


 マッスルエイトとガルマドラが順番にくじを引いた。俺の対戦相手は――


「準決勝のカードが決まりました! マッスルエイト選手対ルゥ選手! 試合は10分後に開始します!」


 実況の声が武闘場に響き渡った。


 ※※※※※


 武闘場の上でマッスルエイトと対峙する。分厚く黒光りした筋肉と、やけに目立つ白い歯が印象的だ。

 ……何食ったらあんなにでかくなるんだろう。


「それでは――はじめ!」


 マッスルエイトは両腕を広げ、俺の攻撃を受ける姿勢を取った。

 ……昨日もそうだったな。

 攻撃を受け、カウンターを狙う。よほど防御力に自信があるんだろう。

 ……盛り上げろって暗に言われてるしなぁ。


 マッスルエイトにゆっくり近づき、足払いを仕掛ける。

 マッスルエイトは足を上げてかわし、俺を掴もうとした。

 後方に跳び、伸びてきた腕をかわす。

 ……今のスピードには対応できるか。


「ルゥ選手! 凄い速さでマッスルエイト選手に足払いを仕掛けましたが不発! マッスルエイト選手もルゥ選手をとらえることができない!」


 オォォォォ!!


 実況に会場が沸き上がる。


 さっきよりも少しスピードを上げて近づき、脇腹を狙って拳を突き出す。

 マッスルエイトは身をよじってかわすと、再び俺に手を伸ばした。

 後方に跳び、仕切り直す。

 当たったと思ったけど……なんか今ぬるってしたぞ?

 俺の拳を見ると、謎の液体でテカっていた。

 ……なんかやだ。


「ルゥ選手のボディブローをマッスルエイト選手がかわしたー! 息もつかない攻防です! レベルが高い!」


 ……だいぶ低いよ?


 そんな攻防を十回程度繰り返す。おかげで会場は大いに盛り上がっていた。

 よし! もういいよな?


 俺はマッスルエイトが反応できる限界より少しだけスピードを上げ、足を払った。

 マッスルエイトはバランスを崩し、ちょうどいい位置まで頭が下がってくる。

 その頭を横からはたくと、マッスルエイトは武闘場の端まで吹き飛んだ。


「ついにルゥ選手の攻撃がヒット! マッスルエイト選手が吹き飛ばされたー!」


 ウオォォォォッ!!


 会場の盛り上がりがピークに達する。


 マッスルエイトは頭を振って立ち上がると、俺に右肩を向けて突進してきた。


「マッスルエイト選手! ここで『筋肉タックル』だー!!」


 ……ここで避けるのもなぁ。

 俺は手にべったりと付いた謎の液体を振り払い、拳を握り込んだ。

 迫る右肩に向けて軽く拳を振り抜く。


 ドンッ!!


 マッスルエイトは武闘場を囲む壁まで吹き飛び、激突した。

 そのままずるずると地面に崩れ落ちる。


「なんと! マッスルエイト選手の必殺『筋肉タックル』を、ルゥ選手が真正面から迎え撃ったー!! マッスルエイト選手は立ち上がれるのか!?」


 ……どう見ても無理だろ。


 しかし――


 マッスルエイトはゆらりと立ち上がった。


 うそだろ……?

 よく見るとマッスルエイトの目の焦点が合っていない。

 まさか。

 選手控室に視線を向けると、ガルマドラは腕を組み、不敵な笑みを浮かべていた……。

読んでくださってありがとうございます!

謎の液体とは……( ゜Д゜) ※本編とは関係ありません

戦闘シーンというか、ギャグに近い内容ですが、お楽しみいただけましたでしょうか?(;^_^A

そしてガルマドラは何者なのか!?

それでは次話もお楽しみに(*‘∀‘)ノシ

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― 新着の感想 ―
読了しました!! 冒頭の鍵職人!?というところから、痛快な物語の数々に心震えました!! 戦闘描写も淡々と進み、痛快且つ爽快感があって、クセになります!! 説明や説明文章にもならず、世界観を自然に会話…
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