第六十八話 帝都ヴォルムス
それから四日かけて、俺たちはブルグント帝国の首都『ヴォルムス』に到着した。
「結構賑わってるな~」
「そりゃそうでしょ! 首都なんだもん!」
「いや、そうだけどさ……」
一年近く狂帝の暴政に苦しんでたわけだから、もう少しすたれてるかと思った……逆に抑えられてた反動なのかもなぁ。
「そういや、塔がある街って国の首都が多い気がするんだけど、なんでなんだ?」
グランがそんなことを口にした。
「塔の周りに人が集まって、街になって国ができたからじゃないか? 合ってる? サリア先生」
「その呼び方やめてよ……そうよ。塔が先にあったの。そこに人が住み着いて国を作ったのよ。ラングストラだって、昔は国の首都だったのよ?」
「へぇ。そうだったんだ。さすがサリア」
「なんで首都じゃなくなっちゃったんだ?」
なおも質問を続けるグランに、サリアは少し疲れた顔をした。
「ちゃんと調べたわけじゃないけど、多分、人が増えすぎたからでしょうね」
「人が増えすぎたから?」
「国の一点に人が集中することを避けたのだと思います。サンクリス王国は大陸一の国土を有していますから、一つの街に人が集中することを嫌ったのでしょうね」
ルチアの助け舟に、サリアはほっと息を吐いた。
「二人とも凄いなー」
俺にはさっぱり分からん。
「人にはそれぞれ得意分野がありますから。ルゥはそのままでいいと思いますよ」
……ルチアが甘やかしてくる。
「グランはもう少し勉強してね」
サリアがグランにクギを刺した。
「ルゥさん、あれ、なんでしょう?」
ふいにシルが俺の袖を引いた。
視線を向けると、路地の一角に人だかりができていた。
その向こう側に看板が立っているようだ。
「ん? ……『武闘祭の開催について』って書いてあるな」
「なに!?」
いち早く反応したのは、やはりグランだった。
「出ないぞ?」
「なんでだよ!?」
「お前、ここに何しに来たか覚えてるか?」
「ぐっ……」
肩を落とすグランに呆れた視線を送っていると、カナエから声をかけられた。
「ルゥくん、あの文字読めるの?」
「ああ。レベルの恩恵だな」
「すごいねぇ……私もレベル上げ頑張らなきゃ!」
思わぬところでカナエの気合が入ったようだ。
※※※※※
「ひとまず、情報を集めるところからかな」
俺は屋台で買ったブルグント特産のヴルストをかじりながら皆に言った。
うん、パリッと皮がはじけて肉汁が染み出てくる。美味い。
「それでは、冒険者ギルドですね」
「ルチア、頼めるか?」
「はい。任せてください。キリエ。行きますよ」
「はい♡ おねぇ様♡」
……キリエを連れて行ってくれてありがとう。
「俺たちはどうするんだ?」
「んー、一応ジークフリードに挨拶しようかと思ってる。会えるかどうか分からんけどな」
騒ぎが起こるかもしれないしなー。来てることくらいは報告しといた方がいいだろう。
俺たちは、小高い丘にそびえ建つ巨大な城に向かって歩き出した。
※※※※※
「あいつ、こんなでかい城に住んでるのか……」
近くで見ると、一層迫力がある。
城門もでかいし堀まである。……どこかと戦争でもするつもりだろうか。
「一国の王なんだから、これくらい普通だと思うわよ?」
「そうなの?」
俺の返事にサリアはコクリと肯定した。
「掃除とか、大変そうだよな」
グランの呟きにサリアが反応する。
「そのために人を雇うの。そのお金で生活する人もいるんだから、悪いことじゃないのよ」
へぇ。勉強になるなぁ。
俺たちが城に近づくと、門兵が気づき声をかけてきた。
「そこで止まれ! お前たちは何者だ?」
こちらに近づいてくる門兵に俺は冒険者証を提示する。
「……Eランクの冒険者か。城に何の用だ?」
「ジークフリード陛下にご挨拶に来ました」
「……? 陛下と面識があるのか?」
「はい」
門兵は俺の返事に疑りの眼差しを返した。
「まぁいい。少し待っていろ」
そう言うと門の横に建っていた小屋へ走って行った。
少しすると、小屋が騒がしくなった。そして、先ほどの門兵が慌ててこちらに戻ってきた。
「どうかしたんですか?」
「いや、私にも何が何だか……とにかく陛下が君たちにお会いになるそうだ」
「ありがとうございます」
門兵の後に続き、巨大な門へ向かっていると、ゴゴゴと音を立てて扉が開いていく。そして――
「ルゥよ! よくぞ参ったな! 元気だったか?」
ジークフリードが仁王立ちで俺たちを出迎えた……。
読んでくださってありがとうございました!
ジークフリードはよっぽど嬉しかったんでしょうね\(^o^)/笑
ちょっと挨拶で済むかどうか……(;^_^A
それでは次話もお楽しみに(*‘∀‘)ノシ




