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第六十四話 新たなる旅立ち

「みんなお疲れ~」


 俺は塔から戻ってきた仲間たちに労いの言葉をかける。


「やっぱ一筋縄じゃいかねーわ……」


 グランが気落ちした声でつぶやいた。


「まぁ、慣れだな。基本的なことは身についてるだろうから、あとは階層主との戦いに慣れるしかない」


「私はまだ成長期だけどね!」


 カナエが元気よく宣言した。


「レベルはいくつまで上がったんだ?」


「ふっふっふ……なんと! 56になりました!」


 バーンと音がしそうな仁王立ちで胸を張るカナエ。

 ほんと……成長が早い……。

 俺は心に傷を負った。


「そんなこと言ってられるのも今のうちですよ! レベル80になったら地獄ですから!」


 リーズがカナエにツッコミを入れる。


「えぇ!? 今でも結構地獄なんだけど……」


 ……ちょっと空気が重くなってきたな。

 よし、元気づけてやるか。


「お前たちに、新しい装備を見繕ってきたぞ」


「まじで!?」


 食い気味にグランが反応する。


「一応、それなりの物を選んだつもりだけど、あとは自分で使いこなしてくれ」


 俺はまず、リーズを除く女性陣全員に小太刀を渡した。


「『風絶』というそうだ。人数分集めるのに苦労したよ」


「風絶!? ……めちゃくちゃ高かったでしょ?」


 流石地元民。カナエは価値を知っていたようだ。


「役立ててくれればいいよ。リーズ、お前にはこれ」


 俺はリーズの背丈ほどある巨大な盾を渡した。


「おわっ! 結構ずっしりですね!」


「『金剛石』でできてるらしいぞ」


「ありがとうございます!」


 そして最後……そわそわして待っているグランに、一振りの刀を渡した。


「『塵滅刀(じんめつとう)』だそうだ。バトルマスターのお前なら、使いこなせるだろ?」


 ごくりと息を呑み込んだグランは、ゆっくりと刀を受け取った。

 そして、鞘から抜き、刀身を確認する。


「……すげぇな。ルゥ。ありがとう」


「87階に俺の師匠がいるから、頑張ってそこまで行って、修行つけてもらえ」


「……は? 師匠って、どういうことだ?」


「行けばわかる」


「説明しろよ!」


 ぎゃーぎゃー騒ぎ始めたグランをなだめながら、明日からの塔攻略について、皆で話し合った。



 そして一週間後――



「ほんとに一週間で修得するとはなー」


「素晴らしい魔法書だったわ。早く行きましょう!」


 目の下にくっきりとクマを作ったサリアは、なんだかいつもよりテンションが高い……。


「ちなみに、どうやって移動するんだ?」


「説明したって分からないでしょ?」


「ぎゃふん」


「みんな! トレインカーに乗って! 早く!」


 さては……修得した魔法を使いたくてしょうがないんだな?

 俺たち全員がトレインカーに乗り込むと、サリアは中央に立ち、杖を構え呪文を唱え始めた。

 サリアの体が淡い光を放ち、足元に魔法陣が現れる。さらに魔法陣から光の粒が立ち昇り、彼女の髪が風にたなびくようにふわりと浮き上がった。


〘デバイン・ゲート〙


「はぁ、はぁ……」


 サリアから光が消え、彼女自身は杖にもたれかかり、荒い呼吸を繰り返している。


「着いたわ……」


「「「えっ!?」」」


 俺たちは一斉に窓に張りつき外を見た。


「どこだここ……」


「ブルグント帝国の南の端にある村……私の故郷よ」


「「「え!?」」」


「とりあえず……休ませて」


 そう言い残してサリアは崩れ落ちた。


「……サリアは休ませた方がいいな」


 とはいっても、これからどうするか……。


「外、出てみようか」


「だな! サリアの故郷見てみたいし!」


 ……グランはとても張り切っている。


 俺たちはサリアとルチア、キリエを残して外に出た。


「うわぁ! 気持ちいいね!」


「空気がきれいです」


「あれがサリアの村でしょうか?」


 リーズが指さした先に、こじんまりとした集落が見えた。


「早く行こうぜ!」


「ちょっと待て、行ってどうする気だ?」


「そりゃー、サリアの小さいころの話とか聞くに決まってんだろ?」


「お前はアホか。いきなり見たことがない冒険者が現れてサリアのこと聞きまくるとか、完全に不審者だろ」


「でも気になるじゃん……」


「村に行くのはサリアが起きてからでもいいだろ。とりあえず、今は村以外の場所を散策しようぜ」


 そんなわけで、俺たちは村と反対の方向へ歩き出したのだが……。


「こんなところに、お城があるんですね……」


「どう見ても場違いだよな……」


 森へ入り木の実や果実を採って歩いていると、なぜか門を備えた小城が立っていた。

 造りはしっかりしているようだが、ところどころ崩れている。

 ……ずいぶん放置されているみたいだな。


「よし、行こうぜ!」


 グランが興奮気味にそう言った。

 女性陣が一斉に俺を見る。

 ……まぁ、いいか。


「そうだな。行くか」


「よっしゃ!」


「あ、ちょっと待て」


 走り出そうとしたグランを止め、俺はスキルを使用した。


〘施錠〙


「……心配性だな」


「念のためだよ」


「……今、何か音がしませんでした?」


「私も……何か叫び声みたいなの、聞こえた……」


 叫び声?


「行ってみれば分かるって! 行こうぜ!」


 グランが門を勢いよく開けると――そこにはおびただしい数の骨が転がっていた……。

読んでくださってありがとうございます!

新章突入です!なんか話の途中から新章に移った感じですが、まぁいいでしょう!( ゜Д゜)笑

今回のMVPはサリア先生ですね!よく頑張った( ;∀;)

そしてラストに現れた謎の小城……(;゜д゜)ゴクリ

それでは、次話もお楽しみに!(*‘∀‘)ノシ

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