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第五十九話 歓迎会

「……ルゥ……ルゥ、起きてください」


 俺は心地よい眠りの中で、誰かに呼ばれる声を聞いた。


「ルゥ、お客様ですよ」


「あと十分……」


「ルゥくん! おはよ!」


 聞き覚えのある声に俺の意識は急速に覚醒した。


「カナエ!? 何でここに!?」


「えへへ、来ちゃった」


「来ちゃったって……。とりあえず、支度するからちょっと待っててくれよ」


 ルチアとカナエを部屋から追い出した後、俺は顔を洗い歯を磨き、寝癖を直した。

 窓から見える太陽は、既に少し傾いていた。

 ……結構寝ちゃったな。おかげで頭はすっきりしたけど。


 宿のロビーへ移動すると、ルチアとカナエが並んで座っていた。

 なんか……気まずいな。


「……お待たせ。カナエ、よくここが分かったな?」


「これでもBランクだもん! 私のギフト『忍者』にかかればお茶の子さいさいよ!」


 カナエは自慢げに胸を張った。

 『にんじゃ』か。初めて聞いたな……。


「んで、今日はどうしたんだ? 昨日の謝罪か?」


 俺の言葉にルチアがかすかに反応する。


「いやっ、あれはー……ごめんなさい」


 慌てながらもカナエは素直に謝罪した。


「いいよ。じゃあ、本題は?」


 カナエは姿勢を正し、まっすぐに俺の目を見て口を開いた。


「ほんとは昨日、言おうと思ってたんだけどね。私も仲間に加えてくれないかな?」


 うーん……どうしたものか。

 ルチアに視線を投げるも、目を伏せて微動だにしない。

 はぁ。


「まず確認だが、俺たちの仲間になりたいって思った理由を聞かせてくれ」


「楽しそうだから!」


 子どもかな?


「……他には?」


「言葉にするのが難しいんだけど……この人たちと一緒に冒険したら、今まで見えなかった世界が見られるというか……仲間を大切にする人たちと一緒に冒険したいなって、思いました」


「昨日、俺の話を聞いた上で、そう思ったのか?」


「そうだよ! 私もルゥくんの力になりたいの!」


 ……再びルチアに視線を向けると、うっすら微笑んでいるように見えた。


「分かった。今日から俺たちの仲間だ。よろしくな」


「やったー! ありがとうルゥくん! よろしくねルチアさん! 私、頑張るよ!」


 カナエは喜びを爆発させ、受付の人から『お静かにお願いします』と怒られた。


 ※※※※※


「ルシフェルー」


「あ! やっと来た! 昨日の話の続き待ってたんだよ!」


 なんか今日はやたらと騒がしいな……。


「はぁ……。ウリエル様から聞いた話だと……」


「ちょっと待って! ウリエル様? ウリエル様って呼んでるの? 僕の後輩だよ?」


「めんどくさい奴だなぁ……自分で『様』はいらないって言ったじゃねーか」


「ウリエルだっていらないよ! 気になるからやめて!」


 うーん……出会った時はもう少し威厳があった気がするんだが……。


「あー、ウリエルの話だと――」


 説明を聞き終えたルシフェルは、久しぶりに真面目な顔で考え込んだ。


「なるほど……『カミエル』の転移を使って『世界樹』を手に入れていたのか……盲点だったな」


「でも、カミエルが消えたからもう世界樹の心配はないって言ってたぞ」


「そうだね……。それでも、どれだけ悪魔が進化しているか分からないのが心苦しいよ」


「仕方ないさ。外のことは分からないんだろ?」


「ありがとう。……まぁ、何が来たってルゥなら大丈夫だよ」


 ……ウリエルと同じこと言いやがった。信頼なのか油断なのか、よく分からんな。


「次に目指すダンジョンなんだけどさ、俺が倒した『サマエル』のダンジョンに行きたいんだけど……どこか分かる?」


「分からない」


 即答かよ……まぁ、期待してなかったけど。

 また図書館でも行こうかな……。


 ※※※※※


 その日の夜。

 ダンジョンから帰ってきた対の刃がカナエと対面した。


「あれ? カナエさんじゃん。どうしたの?」


「あっ! グランさん! 私も仲間に入れてもらったんです! よろしくお願いします!」


「えっ……あぎゃっ」


 グランが俺を非難するような目で見てきたので、とりあえず目つぶしを食らわせた。


「やっぱり仲良しですね!」


 カナエは俺たちを見て楽しそうに笑った。


「ルゥさん、カナエさんにはルゥさんのこと、お話したんですか?」


 シルが心配そうに聞いてきた。


「ああ。全部伝えたよ。それでも一緒に来たいんだってさ」


「そうですか……それならよかったです」


 複雑な顔をしてるけど、大丈夫か……?


「ししょー! 歓迎会しましょう!」


「ああ、そうだな」


「えっ! いいんですか? やったー!」


「っと、その前に、サリア。これ食っとけ」


 俺はサリアに飴を投げた。受け取ったサリアは飴を見て戸惑っている。


「これ……私に?」


「おいルゥ! 俺を差し置いてサリアに飴を渡すたぁ……飴?」


「黙ってろ。管理者のウリエルが、仲間の魔法使いに渡してくれって言ってたんだ」


「管理者が……」


 サリアはおそるおそる飴を口にした。皆がそれを見守る。


「どうだ? 何か……感じるか?」


「普通に美味しいわよ」


 …………。


「冗談よ。今のところ、特に何も起こってないんじゃないかしら」


「そうか……」


 おかしいな? 意味ありげな感じだったんだけど……。


「ししょー。まだですかー?」


「ああ、待たせて悪かった。今度こそ歓迎会だ!」


 新たな仲間が加わり、今まで以上に賑やかな夜は更けていくのだった……。

読んでくださってありがとうございます!

ついにカナエが正式に加入しました(*‘∀‘)

色々とざわつくメンバーもいるようですが……( *´艸`)(笑)

さらっと世界設定のおさらいも、皆さまに伝わってたら幸いですm(_ _)m

それでは!次話もお楽しみに(*‘∀‘)ノシ

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